ぐん税ニュースレター vol.33 page02 -令和5年度税制改正のポイント (相続税・贈与税)-
相続時精算課税制度の見直し
【基礎控除額110万円の追加】
相続時精算課税制度を適用した場合、暦年課税の基礎控除額110万円は控除できず特別控除2,500万円(前年以前において既にこの特別控除を適用している場合は、残額が限度額となります)を控除した後の金額に、一律20%の税率で贈与税を計算していました。
今回の改正では、現行の特別控除2,500万円とは別に、基礎控除110万円を控除することができるようになります。また、特定贈与者が死亡した場合の相続税の課税価額に加算される金額は上記の控除(基礎控除110万円)をした後の残額となります。
この改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されます。
【災害を受けた場合】
相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が当該贈与の日から当該特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合には、当該相続税の課税価格に加算される土地又は建物の価額は、当該贈与の時の価額から被害相当額を控除した残高となります。
この改正は、令和6年1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用されます。
相続時精算課税に毎年110万円の基礎控除
特定贈与者死亡時の相続税課税価格加算時に基礎控除分を除外
土地・建物が災害で一定以上の被害を受けた場合は、相続時に再計算する
適用関係 令和6年1月1日以後の贈与から適用
生前贈与加算の加算期間の延長
相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行は3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算します。
なお、上記の加算のうち3年超7年以内に贈与した財産については、その財産の価額の合計額から100万を控除した残高を加算します。
この改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用されます。
相続又は遺贈により財産を取得した者が、相続開始前7年以内(現行3年以内)に被相続人から贈与により取得した財産を相続税の課税価格に加算する
3年超7年以内の贈与により取得した財産については、総額100万円を控除する
適用関係令和6年1月1日以後の贈与から適用
教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
【教育資金】
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上、その適用期限が3年延長されます。
また、現行は贈与者の相続時に教育資金として利用していない金額があっても受贈者が23歳未満であれば受贈者が相続等により取得したものとみなされませんが、改正後は相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、使いきれなかった金額は相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
制度の流れ
制度の概要
【結婚・子育て資金】
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上、その適用期限が2年延長されます。
医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等
医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等について、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提に、一定の措置を講じた上、その適用期限が3年3か月延長されます。
最後に
以前から検討されていた相続税と贈与税の一体化について、今回の改正で生前贈与加算の期間が3年から7年に延長され税制に反映されました。適用開始が令和6年1月1日以後の贈与からとなりますので、生前贈与を活用した節税を検討している方については、適用開始前からの早めの実施をおすすめします。
税理士 鈴木
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