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ぐん税ニュースレター vol.51 page02 -FP通信- Part 1

前回、金融所得課税について少し触れて、解説を後回しにしていましたので、今回は金融所得課税について記事にしたいと思います。

自民党総裁選の前は各候補者が持論を展開しメディアも取り上げていた金融所得課税。いまや国民民主党が掲げる「103万円の壁」ばかり報道され、すっかり影に隠れてしまいました。政府が投資を喚起する一方でその動機を削ぐような金融所得課税ですが、こちらで取り沙汰されているのは「1億円の壁」です。壁だらけですが金融所得課税の強化について議論すると「世の中に1億円も所得がある人がどれだけいるんだ」「あなたは1億円の所得があるんですか?」「一般人には関係ない」といった声も聞こえます。果たして金融所得課税は1億円の高所得者のみに関わる話なのでしょうか?金融所得課税は政府としてもまだ議論の段階で具体策というのは明示されておらず、立場や利害関係によっても考え方が変わるため現状では何が正解と結論づけるのは難しいテーマです。ですので今回はこの金融所得課税について基本的な論点に焦点を当てて解説したいと思います。

金融所得課税とは

これは文字の如く、金融商品から得られた所得に対して課税する制度です。金融所得とは譲渡益=キャピタルゲインと配当=インカムゲインがあります。預金による利子も金融所得になります。

1億円の壁とは

私たちの所得はご存知の通り累進課税となっており、課税所得が4,000万円以上の時に最高税率の45%が課せられます。一方で金融所得については一律20%(20.315%)となっています。ここで税の負担率を見ると事業所得者や給与所得者の負担率をみるとずっと急な右肩上がりなのに対して、それ以外の所得者(つまり金融所得者)の負担率は緩やかな右肩上がりとなっています。そして合計値でグラフにすると1億を超えたあたりから負担率が減少していきます。これは給与所得よりも金融所得が多い層において所得への課税が抑えられている状況、つまり金融所得が多い富裕層ほど有利な税制になっている、というのが格差是正や公平性の観点から議論されています。

参考:東京財団政策研究所

Part 2の記事では問題点や議論の争点について掘り下げてみようと思います。

ファイナンシャルプランナー 原


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