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ぐん税ニュースレター -お客様訪問- バックナンバー 2020年4月号

お客様との対談 ~有限会社ケイティエスホテルシステムズ~

この記事は2020年4月に発行されたニュースレターvol.14から「お客様訪問」の記事を再編集したものです。最新情報ではなく、掲載当時の内容に基づいておりますので予めご承知おきください。

ホテル、日帰り天然温泉施設の経営を始めたきっかけ

小林浩一:こんにちは。本日は「湯の道利久吉岡店」に伺っております。先ほど、ソフトクリームを頂いたのですが、大変美味しかったです。
久保田利雄社長:ここのソフトクリームは仕入れが高いのですよ。銭湯なので限度はありますが、メニューや価格も工夫し、お客様に喜んでいただけるお食事を提供しております。
小林:カレーライスが290円で驚きました!御社は平成14年に設立されたそうですが、日帰り天然温泉施設のビジネスを始めたきっかけを教えてください。
久保田社長:最初はホテル経営から始めました。平成14年6月に「グレースイン前橋」、平成18年4月に「湯の道利久吉岡店」、平成20年11月に「グレースイン太田」、平成27年9月に「湯の道利久前橋南店」を開業しました。その前は、賃貸マンションを経営していたのですが、仕事をしなくてもお金
が入る商売でやりがいがないため、お客様と対面する仕事がしたいと考え、ホテルの経営を始めました。
小林:ホテルや日帰り天然温泉施設を始めるにあたり、資金はどうされたのですか。
久保田社長:親から引き継いだ資産などはありませんでした。10代の頃には重量物や建築材料を対象とした運送業を行っておりましたが、なかなか安定した収益は得られず、最後は売却しました。そのため、ホテルや日帰り天然温泉施設を始めるための資金は金融機関から借りました。
小林:ホテルから日帰り天然温泉施設へはどのようなきっかけで展開されたのですか。
久保田社長:ホテル経営をする間に、ビジネスアイディアを紹介してくださる方がいて、日帰り天然温泉施設を始めました。ちょうど、「ふるさと創生一億円事業」の後だったと思います。
小林:なかなかビジネスチャンスを掴むのがお上手なのですね。
久保田社長:いやあ、情報が入ってくるだけですよ。
小林:その情報を得るのが大変だと思います。久保田社長はホテルに日帰り天然温泉施設にフィットネスに賃貸マンションと、いろいろな業種に参入されていてすごいですよね。普通は他の業種は分からないため手を出さないと思うのですが。
久保田社長:情報を得るためのアンテナは高くしていますよ。また、いろい
ろなことを知っていますから、マンションを建設するときも重機を自分で動
かしたり、業者に頼まずにコストを削減しました。息子の野球の練習場も自分で作りましたよ。
小林:複数の店舗がありますが、どこの収益が一番高いですか。
久保田社長:どこもあまり変わりませんね。返済は利益からですので、金融機関に交渉し、減価償却と返済が見合うように、金利を下げて返済期間を延ばすよう、返済条件を変更しました。
小林:ところで、御社はこれだけ各地に店舗を展開されているのに、広告をあまり出されていませんよね。何かお考えがあるのですか。
久保田社長:集客で重要なことは、お客様がどこにお得感を感じるかだと考えています。実際に店舗にお越しいただき、お客様自身が体験してリピーターになっていただくのが一番確実な方法です。一方で、広告会社でも対価に見合うアイディアを提案できる会社があれば使用すると思いますが、残念ながらそのような才能ある広告会社には群馬県では出会いませんね。

久保田利雄社長

全員野球で事業承継

小林:こちらの壁にかかっている子供たちの野球の集合写真ですが、海斗常務が監督されているチームですか。
久保田社長:そうです。息子は少年野球をやっておりましたが、中学生からはプロを目指して硬式野球の高崎ボーイズに所属しました。その後、プロには進まず東北福祉大学に進学しましたが、現在は高崎ボーイズの監督として、平日の夜だけではなく土曜、日曜、祝日も監督業に励んでいます。
小林:野球チームの監督として選手の育成やチームの管理運営を行うことは、経営者としての管理能力を養うことになると思います。昔も今も採用担当者から、体育会系の出身者は礼儀·規律を身に付けているだけでなくチームワークを尊重するので人気が高く、特にキャプテン経験者はリーダーシップがあるため引く手あまたです。ところで、御社では人材育成で工夫されている点はありますか。
久保田社長:社員の採用やシフト管理は現場の管理者に任せています。私は履歴書も顔も一切見ておりません。海斗常務は応募者の顔と経歴だけは見ておりますが。全て採用の判断は現場の管理者に任せております。採用してからは、特別な教育は行っていませんが、業務を任せて失敗を経験させることで成長させています。小さい失敗では人は成長しない、大きい失敗をさせることで成長すると私は考えています。
小林:だんだんと御社の経営方法が分かってきたような気がします。やはり、常務が野球監督をされていることも、このような人事マネジメントにつながるのではないでしょうか。
久保田社長:監督は相手のベンチとの駆け引きが仕事ですが、選手に怒っていれば良いわけではありません。野球監督の経験が企業経営のケーススタディーにもなっていると思います。
小林:ところで、御社は年中無休とお聞きしましたが、夜勤もありますし、人の採用は大変ではありませんか。
海斗常務:夜勤は日勤に比べて出勤日数が少ないため、むしろ人気があるのですよ。これからの時代、人を集める職業は厳しいと思いますね。逆に、人が集まったところだけが独り勝ちになると思います。
久保田社長:やはり、人を集める要素は報酬だと思いますよ。
小林:御社では就業規則もきちんと製本して、タイムカードの隣に置いてありますね。それを見て労務管理がしっかりしている印象を受けました。最後に、御社の今後のビジョンをお聞かせください。
久保田社長:今は、店舗数を増やすことよりも常務に事業を引き継ぐ準備として、負債を減らし、安定成長に持っていく努力をしています。その一環として、賃貸マンションの経営は今の時代に合わないと考えて売却しました。設備の経年劣化とともに空室率が増え、修繕費が増大することに加え、デ
ザインも時代が変われば感性が変わりますからね。
小林:事業承継の真っ最中というわけですね。海斗常務からも2代目として、御社をどのような会社にしたいかお聞かせいただけないでしょうか。
海斗常務:事業継承の成功が2代目としての責任だと考えています。まずは既存店舗を安定的に経営することを考えていますが、タイミングがあれば大きくしたいという野望もあります。
小林:御社であれば、野球と関連した施設の併設などの事業展開が考えられますね。
久保田社長:それはありますね。現在も野球を通じた人脈を生かして、全国各地から野球チームの合宿でホテルを利用していただいております。
小林:全員野球で将来が楽しみですね。本日はありがとうございました。

久保田利雄社長(左)と小林浩一

社名:有限会社ケイティエスホテルシステムズ
住所:群馬県前橋市千代田町5丁目20番6号
業種:ホテルの経営、温泉利用施設の運営
創業:平成14年6月
売上高:14億円
社員数:91名
平成14年6月に久保田利雄氏が設立し、温泉施設やサウナ等の設備を有するビジネスホテルや日帰り入浴が可能でフィットネスクラブを増設した「湯の道利久」を運営している。平成14年6月に「グレースイン前橋」、平成18年4月に「湯の道利久吉岡店」、平成20年11月に「グレースイン太田」、平成27年9月に「湯の道利久前橋南店」を開業した。平成22年12月1日に分社化し、「グレースイン太田」と「湯の道利久吉岡店」は株式会社KKKが運営している。

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