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捨てるだけの食材を再利用したら犯罪?
給食の残った食材(そのままだと廃棄されるもの)を使って、まかないを作った給食調理員が減給処分を受けた、とのニュースを見た。
これがまた、賛否両論を巻き起こしている。
どうせ捨てるだけの余った食材を活用して何が悪いのか、フードロス対策にもなるじゃないか、という批判意見。
それに対する、保護者の支出や税金で買った食材を流用したらそれは横領だ、万一食中毒になった場合の責任は誰がとる、余った食材を自由に使えるなら意図的に余らせるようになりかねない、といった反論意見。
いずれも一定の理があるもので、どちらを聞いても「うんうん、そうだよねぇ」と頷きたくなってしまう。こういうのを小中学校の道徳の授業あたりで取り上げ、児童・生徒らにディベートでもしてもらえばいいんじゃないかと思った。
個人的には、横領や責任や不正への懸念といった考えが現代社会の法制度の枠内での真っ当な発想であるのに対し、無駄や廃棄ロスの削減という意見は、その枠組みを超えた視座からの問題提起であるように思われる。
もちろん現行の制度の話で言うと余った食材の流用は罪なのだが、食べられるものを廃棄して地球上の限られた資源を一段と枯渇に近づけるのは、個別の国や社会という単位ではなく、もっと大きな人類レベルでの罪とは言えないだろうか。
そういう感覚があるので、「はい、目の前の余った食品を誰にも食べさせずに捨てるのが所有者の権利だし、経済社会の基本的なお作法なんですよ」みたいに言われても、そもそもその理屈の土台からしてどこか変じゃないのか? とうっすら思ってしまう。
間違った積み上げ方をした制度や構造が、間違ったままで論理的に正しく処理された結果、間違った結論を導き出した、という感じだ。今の社会は、わりとちょくちょくそのように感じられることがある。
現実的な処理としては、あらかじめ余った食材の処理方法を決めて学校側や保護者らとの間で合意を取り付けておき、食中毒などの責任は本人が引き受けることにして、わざと余らせることはできないように管理システムを組む――あたりが落としどころか。
なるべく食材のロスが生じないよう配慮したいものだ。