群馬県の醤油・味噌について知るイベント第4回「群馬発酵ごはん」御食事会 at ラリューシュに行ってみた。
「群馬発酵ごはん」って?
2023年9月14日に、群馬県醤油味噌工業協同組合が主催する「群馬発酵ごはん」の4回目が行われました!
いつもは縁の下の力持ちに徹しているけれど、なくなったら毎日の食生活が成り立たない存在の醤油や味噌を想像力豊かな料理人に活用してもらい、それぞれの個性を知ってもらうというコンセプトの試食会イベントです。
今回も抽選で12名の方が招待されました。
第4回目の参加店はこちら!
緑とバラに囲まれた家庭的な雰囲気のフランス料理店「レストラン ラ・リューシュ」。
「四季の味を一皿に託して」をテーマに、地元群馬を中心とした日本各地の厳選した食材を使った温かみのある料理を提供しています。
今回のお食事の献立は、
・アミューズ
セミドライトマト・米味噌・カマンベールのイソベサンド
・オードブル1
焼きナス・麦味噌・バニラの香るムース 白ワインのジュレ
・オードブル2
豚フィレのルーレ 燻醤油のオランデーズ
・オードブル3
シャンピニオンのポタージュ 麦味噌の泡と粉末みそふりふる熟成
・魚料理
塩麹でマリネした真鯛 麹香るまろやかなソース・ヴァン・ブラン
・肉料理
鴨胸肉のロティ オレンジと天然醸造群馬醤油のソース
・デザート
2種のアイス(アーモンド×麦味噌・日本一国産有機再仕込みしょうゆ×樋口豆腐店の豆乳)
・焼き菓子
10秒マドレーヌ 生揚げ醤油
そして、群馬県醤油味噌工業協同組合から参加されたのは、
「有田屋」湯浅 康毅さん、湯浅 雄太さん
「糀屋」飯島 藤平さん
「せい」清水 正行さん
それぞれのお店の商品を使用したお料理が出るそうです!
3つのテーブルに分かれ、それぞれのテーブルに1人ずつ組合員の方が座りました。
徐々にお客さんも集まり、各テーブルでは参加者の方と組合員さんの自己紹介をしていただきました。
組合員さんは主な製造・販売内容や活動の紹介、参加者の方は醤油作りを体験したお話や、麹味噌を家で作ってみたなどを話されていて、醤油味噌に興味のある方々が集まっているように感じました。
その後、群馬県醤油味噌工業協同組合の湯浅副理事長よりご挨拶がありました。
組合の簡単な説明と、最近は代替わりも多く、青年部主体でイベントなど精力的に行なっているとお話しされていました。
湯浅さんは今回のお店「ラ・リューシュ」とはご縁が深いようで、初めてフランス料理を味わったのは櫻井シェフの料理だそうです。
群馬の風土が作った醤油味噌と36周年を迎えるフランス料理店とのコラボをぜひ楽しんでほしいとのことでした。
そして、オーナーシェフの櫻井さんからもお話が聞けました。
お醤油のチャレンジは以前に有田屋さんとも行ったことがあるそうですが、お味噌は今回が初めての試みだったそうです。
その中で、一緒に働く息子さんたちがこの企画は面白い!と前向きにメニューを考えてくれました。
そんな息子さん(長男)は、今回のメニューを考えるにあたって沢山の新しい発見があり、日本を代表する調味料の奥深さや力強さを再認識し、メニュー作りを楽しまれたようで、ぜひみなさんにも今日は楽しい気持ちでフランス料理と日本の調味料の融合を楽しんでいただきたいと語られました。
「発酵!」の発声で乾杯、お食事のスタートです!
最初の料理が運ばれてきました。
手でつかんで一口で楽しむことができるサイズのアミューズでした。
軽やかでサクサクの磯部せんべいに挟まれたカマンベールチーズとほんのり感じる味噌、バジル、そしてドライトマトの香りが絶妙に組み合わさっていました。
甘みと塩味が絶妙に混ざり合い、食欲を刺激する一皿となりました。
続けてオードブル。
お店創業の10日前に産まれたという息子さん(次男)がオードブル1品目についてお話してくださいました。
焼きナスにバニラの香りを漂わせ、クリームには麦味噌をブレンドして深みを加える、そんな贅沢な一皿が登場しました。
上には旬の夏野菜と白ワインのジュレが華やかに広がっています。
この料理のコンセプトは「夏と秋の間」で、キラキラと輝くジュレと、その下に広がるナスと味噌のクリームを小さなスプーンで混ぜずに下からすくってお召し上がりいただきたいと説明がありました。
白ワインのジュレと、まったりとしたムースの中に広がる野菜とエビの歯ごたえが印象的で、混ぜないことによってそれぞれが主張していました。
口いっぱいに広がる爽やかで甘い香りは、なんだか夏の終わりを感じさせ、料理の美味しさを一層引き立てました。
江戸味噌の伝統
糀屋さんから提供された味噌についての説明がありました。
秋田こまちのお米を使用した「米麹味噌」と、栃木産の六条麦を用いた「麦味噌」の2種類が紹介されました。
どちらの味噌も甘みが強く、江戸味噌の伝統をアレンジしたものとのことです。
これらの味噌は、約300年前の江戸時代の庶民が愛用していたとされています。
古典的な味噌の伝統を継承しながらも、現代の食文化に合わせたアレンジが施されており、美味しい料理の要素として提供されていることが伝えられました。
オードブル2品目です。
キノコ、豚のひき肉、ナッツ、そして燻製醤油を組み合わせて混ぜ、それを豚バラ肉で巻き、さらに網脂で包み、表面を丁寧に焼きながらローストしています。
元々のメニューにはオランデーズソースと書かれていましたが、急遽、醤油の素晴らしい風味を引き立てるために、「卵黄のソース」に変更されたそうです。
キノコ、ひき肉、ナッツ、そして燻製醤油の組み合わせが、豚バラ肉の中で美味しい層を作り出し、網脂の巻きによってさらなる風味と食感が加えられています。
新たに発見!醤油の世界
燻製醤油について有田屋の湯浅康毅さんが説明してくださいました。
燻製醤油は、火入れをしながら一緒に燻製していく製法で作られています。
肉や魚料理との相性が抜群で、和食の料理人からは出汁のような風味を感じることがあると言われるそうです。
興味深いことに、動物性たんぱく質が含まれていないにもかかわらず、燻製の香りがその要素を思い起こさせるらしく、ビーガン料理にも使用されるとのことです。
燻製醤油の製造には、主に桜チップが使用され、地元の梅の捨てられてしまう種や枝の部分などもブレンドされているそうです。
有田屋さんは、創業190周年記念事業として「Annaka Terroir」という特別なプロジェクトを行なっています。
このプロジェクトでは、テロワール(土地の特性)を活かした天然醸造醤油を製造しています。
土づくりから始まり、ワインボトルに入れた醤油を碓氷トンネルで二次熟成させています。
さらに、購入いただいた醤油の一部を地元に寄付するなど、地域への還元を大切にしています。
また、有田屋さんは蔵の見学も受け付けており、醤油づくりや歴史を身近に学び、体験することができる場所としても魅力的です。是非一度訪れてみてはいかがでしょうか?
オードブルの3品目に提供された料理はポタージュでした。このポタージュには、味噌の泡が特徴的に使用されており、その製法には工夫が凝らされています。味噌の香りを逃さないよう、一晩かけて牛乳と味噌を組み合わせて味噌風味に漬け込み、それを泡立てて仕上げています。最後に、味噌のパウダーを振りかけることで、食事を楽しむ際に味噌の香りを存分に楽しむことができるようになっています。
クリーミーで濃厚な質感と深いマッシュルームの風味に、味噌パウダーが独自の要素として加わり、スープにさらなる風味や食感を提供しています。寒い季節には特に温かさを感じさせ、飲んだ後も思い出して飲みたくなるような、ほっとする一品でした。
万能味噌パウダー登場!
組合員の清水さんは、群馬県産のものを使い有機大豆を栽培し、米から麹を製造し、熟成した味噌からパウダーを作っています。
このパウダーは、クラッシュしたように細かく砕かれていますが、スープの中でも比較的溶けずにいてくれるという万能パウダーです!
チーズなどの発酵食品と相性が良く、発酵のステージによって風味が濃厚に変わるため、さまざまな料理に合わせて使える可能性があります。
現在は2つの異なる種類のパウダー味噌を製造しており、それぞれ独自の特徴を持っています。
1つは有機の白味噌系で甘いものであり、もう1つは紫の花豆を使用した粉末味噌です。
清水さんは農業と食品生産を組み合わせた事業を行なっており、お客さんからの声を励みに新しいアイデアや製品の開発を進めているそうです。
今後の新商品も楽しみですね。
奥深いフランス料理のソース
塩麹を用いたお魚料理が登場しました。
この料理は、お魚を塩麹に漬け込んで蒸し焼きにしています。
さらに、白ワインのクリームソースにも塩麹が使用されているのですが、ソースを作るにあたって難しい課題があったそうです。
塩麹の味を強くしようとするとソースが濃くなってしまい、魚の出汁をとって煮詰めているものを薄めると旨味が少ないソースになってしまうので、塩麹を調和させるバランスを見つけることが難しかったとシェフがお話してくださいました
塩麹を入れることによって味に深みが出て香りも変わるので新しい挑戦だったそうです。
20種類以上の醤油と味噌が提供されたこの企画では、季節の野菜など素材の味を生かす料理を日頃作っているシェフにとって、非常に挑戦となりました。
日本の調味料は一般的に塩分が強いため、強い味の食材に対してはうまく使えると言えますが、優しい味わいの食材と組み合わせるのは難しいという点があるそうです。
お肉料理が運ばれてきました。
定番のフランス料理に隠し味として醤油が使われています。
醤油の存在によってソースが奥深く、独自の風味を持つものとなり、シェフ自身も大変気に入っている料理とのことです。
フランス料理は、素材の旨味を濃縮させ、さらに新たな旨味を生み出すために、何もないところから食材の旨味を抽出し、ソースを作り上げる特徴があります。
一方、日本食は出汁を中心にして昆布やかつお節などの素材を使用し、醤油や味噌などの調味料を組み合わせることが一般的です。
そんな日本の調味料の家庭で使えるワンポイントをシェフが教えてくれました。
普段あまり使わない部分の貝や香味野菜を活用し、自家製の出汁を作り、この出汁に少しずつ味噌を加えて煮詰めることで、フランス料理のような奥深い風味を持つソースやスープを手軽に家庭で作ることができるそうです。
皆さんこれなら家でもできそうだと興味津々にお話を聞かれていました。
デザートは醤油と味噌を使ったアイスクリームが提供されました。
醤油のアイスは豆乳をベースにしており、味噌のアイスはインパクトが強すぎると感じられたため、牛乳をベースにしアーモンドを煮出して味噌の直接的な塩分をマイルドに和らげて作られました。
醤油や味噌の塩味をマイルドな味わいに仕上げる工夫が凝らされていて、さっぱりと食べられました。
「10秒マドレーヌ」は、焼きたての味わいを楽しむために、賞味期限が10秒とのこと!
つまり、届いたらすぐに食べていただきたいということです。
テーブルに届いたマドレーヌに急いで手を伸ばしました。
マドレーヌには、仕上げに生揚げ醤油が塗られており、フワッと醤油の香りが広がりました。
焼きたての甘い香りと醤油の風味が絶妙に組み合わさったマドレーヌは、食べる瞬間の美味しさを最大限に引き出すために賞味期限が限られているというユニークな焼き菓子で、とても楽しめました。
今回参加された方の感想をいくつか紹介します。
「想像以上に楽しく、勉強になったし、自分へのご褒美のような特別な日になりました。」
「どのお料理も素晴らしく、器にも楽しみを感じました。」
「自身でも醤油麹を作っていることから、今回の企画に特に興味を持ち、群馬の醤油と味噌の企業について知る有意義な機会となりました。」
「地元の調味料を使ってみたいという気持ちが芽生え、今後は蔵の見学などにも行ってみたいです。」
これらの感想からわかるように、群馬発酵ごはんは参加者にとって特別な体験となり、地元の調味料を知れるきっかけになったのではないでしょうか。
和と洋の組み合わせに対する期待も高まっており、食の楽しみがさらに広がっているように感じます。
次回の開催店は前橋市にある「ピッツェリア・ペスカ」さんです。
第5回 群馬発酵ごはん 概要
お申込み方法
以下のリンク先の応募フォームに必要事項を入力ください。
抽選の上、当選された方にご連絡させていただきます。
応募期間:2023年8月21日(月)~2023年10月22日(日)23時59分
応募フォーム
https://docs.google.com/forms/d/10MNX0z8hNrSCWxSx0TXVqZfBpjH-ZFNpNGaZwa8Bojo/edit
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文:NiRO inc. 小池 香
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