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なぜ日本人はモネが好き?答えは「睡蓮のとき」にあり!
なぜ?モネは日本でこれほど愛されているのでしょうか?
また、モネの絵は日本人の心をなぜこれほどまでに掴むのでしょうか?
今、上野の国立西洋美術館で開催中の『モネ 睡蓮のとき』
平日の開館時間に合わせて訪れたにもかかわらず、目の前にはまさかの長蛇の列。
改めてモネの人気の高さを実感しました。
展示室に足を踏み入れると混雑の中でも、まるでモネの庭を歩いているような感覚に。
水面に浮かぶ睡蓮やアイリス、しなやかに揺れる枝垂れ柳、そして日本庭園を思わせる太鼓橋の風景が広がります。
数々の作品に引き込まれ、時間を忘れるひとときでした。
日本人がモネを好きな3つの理由
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モネの作品が日本人の心に響くのは、『自然の風景』『色と光の美しさ』『癒し』の3つの魅力があると考えられます。ここでは、その理由を少し深掘りしてみましょう。
① 自然の風景
モネの《睡蓮》が日本人に親しまれるのは、その風景が日本庭園や池の景色に通じるものがあるからです。
水面に映る光や風に揺れる枝葉の表現は、日本の庭園の穏やかな雰囲気に似ていてどこか落ち着く印象を与えます。
こうした自然の美しさが日本人の感性に響き、モネの作品に惹かれる理由の一つになっているのかもしれません。
② 色と光の美しさ
モネの作品は、細かい部分ではなく全体の雰囲気を楽しむのが魅力だと考えられます。光の変化や色の移ろいが日本人の感覚にしっくりくるからです。
例えば、朝と夕方で風景の表情が変わるように、モネの絵も見る時間や角度によって印象が変わります。
こうした色や光の微妙な変化が、日本の四季の美しさを思い起こさせるのかもしれません。
③ 癒される雰囲気
モネの作品には静かで穏やかな世界に引き込まれ、忙しい日常を忘れさせてくれる力があると考えられます。
今回の展示室でもモネの作品に囲まれると、
まるで自然の中にいるような癒しを感じます。
水面に浮かぶ睡蓮や柔らかい光の表現が心を落ち着かせてくれるからかもしれません。
こうした穏やかな雰囲気が日本人にとって
心地よく、モネの作品が愛される理由の一つに
なっているのでしょう。
私がモネを好きな理由は「空気」にある
モネの絵画にはまるで“空気”が描かれているように感じます。
例えば、私が特に好きな1875年の《日傘の女性、モネ夫人と息子》。この作品からは、その場の時間帯や風の流れ、温度までもが伝わってくるようです。
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日傘やスカートがふんわりと揺れる描写からは、やわらかな風を感じ、草むらもそよいでいるように見えます。
夫人の姿に差し込む日差し、足元に落ちる柔らかな影からは、穏やかな午後の光の暖かさが伝わってきます。
さらに、視線が下から見上げる構図のため、まるで自分が草むらに座りこの風景を眺めているかのような気分に。
こうした風や光の自然な表現が、モネの作品に独特の「空気感」を生み出しているのでしょう。
モネの絵に浸り、空気までも感じられる――
それが、私がモネを好きな一番の理由です。
モネの作品は理屈よりも感覚で!
モネの作品に決まった見方はありません。
細かいことを考えず、自由に感じるままで楽しめばいいのです。
例えば、絵に近づくと、色のタッチや独特な筆使いがより際立ちます。
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一方で、少し離れて眺めると、光や空気がやさしく広がるような雰囲気が伝わってきます。
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モネの絵の魅力は、知識がなくても「きれいだな」「心地いいな」と直感的に感じられること。
細部と全体で異なる表情を楽しめるのも特徴です。
モネの作品は理屈よりも感覚で楽しむもの。
自由に、そして感じるままに味わうのが一番の
楽しみ方なのかもしれません。
モネの世界を感じてみよう!
絵画を言葉で表すのは、どこか無理があるように思います。
本当のところは、描いたモネにしか分からないのに私たちはつい意味を求め、分かろうとしすぎてしまうのかもしれません。
でも、絵の感じ方は人それぞれ。
何も考えず、ただ絵の前に立ち、静かに眺める。
そんな時間こそが、モネの魅力を味わう一番の方法なのではないでしょうか。
忙しい日常の中で、ふと癒しを求めてモネの絵に触れてみるのもいいかもしれません。
世界最大級のモネコレクションを誇る『マルモッタン・モネ美術館』より日本初公開作品を含むおよそ50点がパリより来日。
さらに、今回は国内に貯蔵されている名作も一堂に集結!
美術館を訪れ、ぜひ!モネの世界に浸る時間を楽しんでみてください。