あれ、平気そうな人って思いっきり殴られる
実家にあったサンドバッグ。
空気を入れて膨らませたものなのだが、パンチすると、倒れそうになりつつも、起き上がりこぼしのようにまた、すい〜とこちらに起き上がってくる。
倒れなかったそいつをみると、次はもっと強い力で殴りたくなる。殴っても大丈夫だと思う。
思いっきり殴る。それでも、「全然、なんのこっちゃないね」と起き上がってくる。何度も何度も起き上がってくる、こちらも何度も何度も強い力で殴り続ける。
現実世界で、このサンドバッグのように扱われる人たちがいる。
平気そうな人だ。
人から頼まれても、何でも大丈夫ですよ〜と請け負っちゃう人。
そういう人は、どんどんどんどん頼まれる。ちなみに、その人に対する感謝はどんどんどんどん減っていく。
残業とかも、そう。
大丈夫ですよ〜なんて言ってたら、残業続きになる。
むしろ、大丈夫ですよ〜なんて言ってなくても、次の日もちゃんと出社してくるだけで、さらなる残業が課される。平気そうだから。
いじられても、気にしなそうな人、ニコニコしてる人には、どんどんいじりがキツくなる。
悪口を言われても、効いてなさそうな人には、どんどんひどい悪口が浴びせられる。
その人を傷つけるようなことをしてるかも、なんて思わない。
だって、平気そうなんだもん。
平気そうな人に対して、人はどんどん殴る力を強めていく。
硬い岩を砕くみたいに、その人を殴り倒すのがなにかの使命だと思っているみたいに、殴りまくる。
芸能人なんかは、よほど平気そうに見える。
人って、結構、人の苦労とか痛みに鈍感だ。
気づいた頃には、もうとっくに手遅れだったりもする。
殴ってくる誰かに打ち勝つには、相手の腕が疲れたり、折れたりするくらい固くて丈夫なサンドバッグになるしかないのかしら。なんで、殴ってくる人のために、そこまで頑張らないといけないんだ。強くならないといけないんだ。
誰も、誰かのサンドバッグになるような義理はない。義務もない。事情もない。
でも、誰かをサンドバッグにしてることって、気付かない。
私だって、しているかもしれない。
人は、すべての「平気そうな人」に容赦ない。
だから、「人を傷つけても平気そうな人」にも、誰かが思いっきり振りかざしたパンチが当てられちゃうよ。
とりあえず、いつも当たり前のように世話してくれる母親に、もっと感謝するところから、私は始めたい。