【超能力推理ADV】『Staffer Case』感想
『Staffer Case』は、2023年にリリースされた超能力推理アドベンチャー。
人口の1割という冷静に考えると非常に多い割合で超能力者が存在する世界で巻き起こる事件を、新米捜査官「ノートリック」が解決していく物語となっている。
【概要】
全体的なゲーム構成としては「逆転裁判」に近い。
事件の捜査を進める中で手元の資料から矛盾点や真実に繋がる記述を見つけ出し、物語の中でそれらを指摘していくというものだ。
「逆転裁判」との大きな違いとして、冒頭で述べた通りこの世界では超能力者が非常に多い(あちらも我々の世界に比べたらまあまあ多そうではあるが)。
言うまでもなく作中で発生する事件には超能力者の持つ不思議な力が絡み、また、捜査に協力してくれる仲間たちもそれぞれ独自の能力を持ってノートリックを補佐してくれる。
推理要素としてはもちろん、物語的にもこの世界観が根幹となっており、これが『Staffer Case』最大の特徴と言えるだろう。
【良かったところ】
①推理要素を筋肉で突破できる
推理を間違ってもなんのデメリットも無く、更にヒント機能もあるため総当たりで全てを突破できる。
自分の場合は詰まったらヒントを活用したが、逆に真剣に推理を楽しみたいという人は画面に常時されてるヒントボタンが目障りに感じるかもしれない。
個人的には物語を追いたかったのでありがたい作りだった。
②単純にストーリーとキャラクターが良い
「超能力者が存在する世界」を題材としたストーリー、及び要所要所で登場するキャラクターの個性は中々秀逸だった。
ゲームそのもののボリュームは長すぎず短すぎずと言った程度で、全4~5巻くらいの良作漫画を読み終えたような読後感を味わえた。
【気になったところ】
①全体的にややテンポが悪め
推理パート(逆転裁判で言うところの証拠提出画面)の演出のテンポがやや悪い。
前述の通りミスってもノーリスクのため、総当たり戦法が有効なだけにやや気になるところ。
それとは別に物語の合間合間で推理パートが挟まるので、物語を追う上で邪魔と感じることも少なくなかった。
②各事件に登場するキャラクターの出番が物足りない
本作に登場するキャラクターは中々に個性的で、それは各エピソード(事件)のゲストキャラも例外ではない。
しかし1つ1つの事件がそこまで長くはない点、そして事件が終わると以降の登場シーンがあまり無いため、登場人物の魅力に対して出番が物足りなかった。
ここに関してはゲーム全体のボリュームがもう少し欲しいところだったかもしれない。
【総評】
逆転裁判を意識しつつも、独自の世界観によって異なる道を歩んだ良作。
良くも悪くも大ボリュームの超大作という訳ではないことは念頭に置いた上でなら、お値段以上に楽しめるのではないかと思う。
同一の世界観で続編なども出ているようなので、今後も『Staffer Case』の世界が広がっていくことに期待したい。