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みずほ銀行でATM障害発生したので、過去のシステムトラブルについて振り返ってみました

こんばんは!

このnoteでは、現役銀行員や銀行出身者の方向けの副業ノウハウをお伝えしています。

今日は、以下の記事を紹介します。

みずほ銀行は28日、一部のATMで取引ができなくなる障害が起きたことを明らかにした。ATMが正常に稼働せず、預金を引き出せなくなっている。午後3時半の時点で復旧しておらず、銀行側は原因や影響の範囲を調査中としている。操作中にATMが止まってキャッシュカードが戻らず、店舗内で足止めを余儀なくされた利用客が少なくないようだ。インターネットバンキングでも一部の取引ができなくなっているという。みずほ銀行はホームページで「ご不便をおかけし、おわび申し上げます」と謝罪した。(前掲記事より引用)

「またか…。」というのが正直な感想です。せっかくの休日なのに、ATMで1時間以上足止めを食らっている人が大勢いらっしゃるようです。
日曜日ですので、みずほ銀行側も現場で対応できるスタッフの派遣が難しいようで、システムトラブルに巻き込まれる人が余計に増えてしまったものと思われます。

2021年2月28日17:15現在においても、障害は継続中のようですので、みずほ銀行の利用者はお気をつけください。

ちなみに「ATMにキャッシュカード、通帳等が取り込まれた場合、後日弊行よりご連絡、ご返却」される(みずほ銀行公式HP)ようですので、すでにトラブルに巻き込まれている方であっても、キャッシュカードや通帳の返却を急がない方は、その場を離れて大丈夫だと思います。

こういう障害があったタイミングですので、みずほ銀行が起こした過去のシステムトラブルについて、振り返ってみたいと思います。

みずほ銀行のシステムトラブルその1(2002年)

2002年4月1日に、富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の3行が合併し、みずほ銀行が誕生しましたが、記念すべきその日に大規模なシステムトラブルが発生しました。

システムトラブルの内容は、大きく2つです。

1.ATM関連のトラブル
旧富士銀行のキャッシュカードは旧富士銀行のATMでしか利用できず、他2行のキャッシュカードは旧富士銀行のATMで利用できない、というものです。さらにいうと、現金は引き出せなかったのに、通帳の残高は減ってしまうというトラブルが147件も発生していたようです。

2.口座振替・引落し関連のトラブル
口座振替の処理に遅れが生じ、4月5日の時点で、口座振替の未処理分が250万件、振込遅延が2200件に膨れ上がり、このトラブルを対応するためのミスが原因で、二重引落事故が3万件、二重送金事故が5000件も発生しました。

ATMのトラブルはすぐに解決したようですが、口座振替のトラブルは、膨大な件数の口座振替を人手で対応する他なかったため、解消まで18日もかかってしまいました。

みずほ銀行のシステムトラブルその2

2回目のシステムトラブルは、2011年3月14日に発生しました。

某テレビ局が東日本大震災に係る義援金を募り、その振込先口座として、みずほ銀行東京中央支店の口座を指定しました。
そのため、多数の振込がその口座に集中し、取引明細の件数が1日に格納できる上限値を超えてしまったことが、トラブル発生のきっかけです。

ちなみに、銀行口座には通帳口とリーフ口との2種類があり、通常、義援金口座はリーフ口を設定します。リーフ口には取引明細の件数に上限がないためです。しかしながら当該テレビ局の口座は過去の経緯から通帳口が設定されていました。本来銀行側がリーフ口に設定するよう顧客に薦めなければならないところ、そうなされていなかったようです。

このトラブルの対応に手間取ったため、玉突き的に後続のシステム処理にも影響が発生し、その結果、15日に振込遅延が31万件生じます。また、16日にはATMが利用できないトラブルが発生し、19〜21日にはトラブル対応のためATMとネットバンキングの稼働を3日間にわたって停止させました。

一連のシステムトラブルが解消したのは24日になってからであり、10日間にわたってトラブルが継続しました。

東日本大震災という未曾有の災害の中で、起こしてはならない事故を起こしてしまったみずほ銀行に対して、世間からの非難は強く、金融庁は立入検査を実施したほか、当時の頭取とシステム担当役員は責任を取る形で辞任をしました。また、みずほフィナンシャルグループの当時の社長である塚本社長は、自らがトラブル解決の陣頭指揮に当たるために、FGの社長を退任し、みずほ銀行の頭取に就任しました。

まとめ

この2度のシステムトラブルは、様々な歴史的経緯があり発生したものですが、特に旧行のシステムをそのまま使っているという要因が大きかったことから、みずほ銀行は「3度目は絶対に起こせない」という思いのもと、新システムの開発を推進します。

そして、2019年に新システムを全面的に稼働させ、みずほ銀行は気持ち新たに事業に邁進した…はずだったのですが、今回のシステムトラブルでまたしても、みずほのシステムの信頼性に疑義が生じる結果となってしまったように思います。

今回のシステムトラブルの原因が何なのかはこれからわかるとは思いますが、メガバンクの一角であるみずほ銀行には、ぜひ今後このようなことがないようにしてほしいと思います。

なお、みずほ銀行で発生した2度のシステムトラブルについて、もう少し詳しく知りたいという方は、ぜひ以下の本を読んでみてください。トラブルが発生しているまさにその瞬間に担当者がどのように対応したのかが詳しく書かれています。

「自分がそのときみずほ銀行の行員だったら…」「システム担当者だったら…」といった視点で読むと、結構心臓に来るような内容が多いので、読むときには注意してください笑

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続報についても書きましたので、こちらをご覧ください

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