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昭和の味

さて、毎度のことですが、今日のランチは何にするか?
これが意外に迷うことがあります。
頭の選択とお腹の選択が妙に一致しないことがあります。
何故?なんでしょうか?
何かがしっくり来ないんですね。

池波正太郎の「昭和の味を求めて」と言う本があります。
池波正太郎と言えば「鬼平犯科帳」、「剣客商売」などの名作がたくさんありますね。
また、同時に食通でもあったようです。
これはお気に入りの旨い料理を紹介する本ですが、昭和探訪の本でもあります。
一品の料理を通じて、手間暇かけた職人の味わいを通じて、昭和と言う時代が浮き上がってきます。

以前、その本に影響されて、実店舗を訪れたこともあります。
期待を持ってお店に行って見ると、当たり前ですが、そうした時代はその空間にはもはやありません。
そう頭ではわかってはいますが、そうしたお店に伺うと、どこかにひょいと昭和が顔を覗かせてるのではないか?なんて思ってしまうものです。

味もやはり、その当時をどの程度偲ばせているかはわかりませんが、私には普通の味わいに感じられました。
食べ終わった頃には、いつの間にか現在に舞い戻っていました。
無意識に本の中の世界を、そこに昭和を思い浮かてしまうんですね。
やはり、昭和は私の記憶の中にしかないのですね。
まあ、当たり前と言えば当たり前のことですが、これは想像力がそうさせるのか、つい期待感がそうさせるのでしょう。
まあ、一時的にせよ、郷愁を心のどこかに感じつつ、ほろ酔いの頭に当時の面影を浮かべるのもいいものです。

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