旅に出ると早起きになる
海の日に行った海への旅行の帰りに彼女が「海にもう一度行きたい」と言うので、色んなことが落ち着いたこのタイミングで白浜まで来た。
お互いの仕事が終わる夕方から車で白浜に。到着してホテルに荷物を置き、ご飯を食べに行く。ホテルに戻り風呂に入りラグビーの試合を見て、ニュースを見て2時ごろに眠る。
せっかくの休みなのでゆっくりしたいところではあるが、旅に出ると旅情がそうさせるのか早く起きる。
海が見える部屋を予約していたのでベランダに出るとちょうど日の出の前だった。
空の色は群青色。ほのかに雲が赤みがかったような金色に見える。
話は逸れるが柳家喬太郎師匠の大好きなネタに「歌う井戸の茶碗」と言うものがある。詳細はリンクを見て貰えばいいとして、その中で夕暮れ時の青空の美しさについて触れてmy blue heavenの日本語カバーを歌うシーンがある。その直前の空の青さについて触れるくだりや、my blue heavenの日本語歌詞にもあるように夕暮れの青は美しい。
群青の空の中に自分の部屋のベランダの右端に見切れるように橙と金色の混じった光が稜線の中から顔を出す。
カメムシのへばりついた窓を開けベランダに部屋に備え付けの一人がけの椅子を出す。椅子に腰掛け山下達郎さんのSPARKLEを再生する。となりの部屋に迷惑をかけないようにできる限り小音で。
ギターのカッティングからホーンの音がはいってくる。それに呼応するように海の奥の稜線から顔をのぞかせる橙の光はより白い金色に色を変える。
目を細めさせる眩い光は、群青色の空の色を少しずつ見慣れた水色に変え、昨夜には見えなかった部屋の前に広がる海にディテール与える。
空気は限りなく透明に近いブルーに包まれる。コーラスが終盤の“sparkle in my heart. wonder in your world”に差し掛かると朝は完成していた。
朝風呂に向かう。胸に入れた小さなタトゥーが見つからないようにタオルで隠しながら露天風呂に浸かり、もう一度日を眺める。眩しすぎてもう直視できなかった。