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ゲストハウス萬家
2020年10月23日 20:12
【14:59】から【15:00】へ。一階のラウンジのフリップ時計がパタパタと音を立てて変わった。シルバーの土台に、黒の文字盤。黒の上に映える数字は太めの白いゴシック体である。「この時計ってどこで買える?」初めて尋ねてきたのはドイツ人のゲストだった。「えっと……どこだったけ」すぐに答えられずにいると、「何ていう名前の時計? ドイツに帰った時に調べて、同じようなのを買いたいんだ」
2020年10月16日 20:31
屋上の扉を開けて一瞬、目の前をマルーンカラーの車体が通り過ぎていく。――阪急電車だ。小豆色とも、チョコレート色ともいう。上質な赤ワインのような色にも見える。風が立ち、車輪の音が遠ざかっていく。顔にかかった髪をかき上げた時には、電車はもうほとんど見えなくなっていた。ここはゲストハウス萬家―〈マヤ〉と読む―の屋上。そう、うちの宿には屋上がある。秋は半ば。早いもので、萬家で働き始めて四度目
2020年10月9日 20:00
○はじめましてこんばんは。ゲストハウス萬家スタッフのemiです。スケジュール帳を見ていたら、昨日8日の欄に「寒露」との字。「寒露」とは、夜が長くなり冷気で露が冷たくなる頃のこと。口をついて出るのも、気が付けば「暑っ」から「寒っ」へ。皆様お風邪など引かれませんよう、お過ごし下さいませ。今日も一日中、雨が降り続いています。秋の長雨です。こういう日には、温かいコーヒーと本や映画でぬく