ゲストハウス萬家

神戸市灘区にあるゲストハウス萬家のスタッフnote ✍ 『萬家』と書いて『マヤ』と読みます https://kobemaya.com/

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一萬一秒物語🌟🌛#2

【14:59】から【15:00】へ。 一階のラウンジのフリップ時計がパタパタと音を立てて変わった。 シルバーの土台に、黒の文字盤。黒の上に映える数字は太めの白いゴシック体である。 「この時計ってどこで買える?」 初めて尋ねてきたのはドイツ人のゲストだった。 「えっと……どこだったけ」 すぐに答えられずにいると、 「何ていう名前の時計? ドイツに帰った時に調べて、同じようなのを買いたいんだ」 スマホを手に取り、ネットの検索画面を見つめる私。さて、どうしよう。 一度、目線を

    • 一萬一秒物語🌟🌛#1

      屋上の扉を開けて一瞬、目の前をマルーンカラーの車体が通り過ぎていく。 ――阪急電車だ。 小豆色とも、チョコレート色ともいう。上質な赤ワインのような色にも見える。 風が立ち、車輪の音が遠ざかっていく。 顔にかかった髪をかき上げた時には、電車はもうほとんど見えなくなっていた。 ここはゲストハウス萬家―〈マヤ〉と読む―の屋上。そう、うちの宿には屋上がある。 秋は半ば。早いもので、萬家で働き始めて四度目の秋になる。 どこからともなく金木犀の香りが漂い、鱗雲がたなびく水色の空。 阪

      • 一萬一秒物語🌟🌛#0

        ○はじめまして こんばんは。ゲストハウス萬家スタッフのemiです。 スケジュール帳を見ていたら、昨日8日の欄に「寒露」との字。 「寒露」とは、夜が長くなり冷気で露が冷たくなる頃のこと。 口をついて出るのも、気が付けば「暑っ」から「寒っ」へ。 皆様お風邪など引かれませんよう、お過ごし下さいませ。 今日も一日中、雨が降り続いています。秋の長雨です。 こういう日には、温かいコーヒーと本や映画でぬくぬくと過ごすに限ります。 さて、タイトルの「一萬一秒物語」について。 ピンと

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      • 一萬一秒物語
        3本