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トレーナーが本当に伝えるべき"基礎代謝神話"の真実

はじめに

みなさんのジムでも新年に入って、新規のクライアントの方が増えているのではないでしょうか?
特にダイエット目的の方は年明けを契機に新たな気持ちで取り組みたい方も多いでしょう。

その時に質問される中でよく耳にするキーワード、それは「基礎代謝です」。

メディアやダイエット関連業界では、「基礎代謝を上げる」というフレーズが商品や情報の宣伝で多用されています。
もしかしたらトレーナーでもその表現を使っている人がいるかもしれません。

しかし、トレーナーとして本当に重要なのは、その情報がクライアントにどのような影響を与えるかを理解し、正確で有益な指導を行うことです。

このnoteでは、基礎代謝に関する誤解を問い直し、トレーナーとしてどのような情報発信が信頼を築けるのかを段階的に解説します。

ぜひ最後までお読みください。


1. 基礎代謝の正しい理解

基礎代謝とは

基礎代謝(Resting Metabolic Rate, RMR)は、完全に安静状態で生命維持のために必要なエネルギー消費量を指します。
これには心臓の拍動、呼吸、体温維持などが含まれます。

基礎代謝のポイント

基礎代謝は全エネルギー消費の60~70%を占めますが、その個人差が大きいのです。
筋肉量が増えると基礎代謝が増加すると言われるが、その影響は非常に限定的で、筋肉1kg増量した時の基礎代謝増加量は1日約13kcal程度にしかすぎません。
また短期的な運動では基礎代謝はほぼ変化しません。

基礎代謝が「上がりにくい」ことの進化的背景

人類の進化の過程で、効率的なエネルギー保存が生存に有利だったため、基礎代謝が上がりにくい特性が選ばれた可能性があります。

  • 飢餓耐性:食糧が不足する環境では、エネルギー消費を抑える身体が有利だった。

  • 現代のギャップ:現在の環境はエネルギー過剰(高カロリー食品、座りがちな生活)が主流で、進化的な特性が逆に肥満や健康問題を引き起こしている。

トレーナーが理解しておくべきことは、基礎代謝を劇的に上げることは現実的に困難であり、クライアントに過度な期待を持たせないことが重要です。

2. 基礎代謝を強調しすぎるリスク

クライアントの誤解

1.「基礎代謝を上げる」という情報はクライアントに次のような誤解を与える可能性があります。
2.「動かなくても痩せられる」と期待してしまう方もいます。
3.努力よりもサプリメントや特定のプログラムに依存する傾向が高まります。
4.ダイエットや健康改善の主体性を失う方もいます。

トレーナーとしての問いかけ

1.あなたの発信内容はクライアントに不正確な期待を与えていないか?
2.「基礎代謝を上げる」という簡単な表現で終わらせていないか?
3.活動量や行動変容の重要性を十分に伝えられているか?

3. 活動量を重視した指導の提案

活動量とは

活動量(Activity Thermogenesis)を重視した指導は、クライアントの行動変容を促し、実際のエネルギー消費を増やすために欠かせません。
ここでは、特に重要なポイントを具体的に解説します。

活動量の重要性を強調する理由

・持続可能な方法である
 基礎代謝を直接上げることが難しい一方で、活動量の増加は生活習慣として取り入れやすい。

・身体全体の健康を促進
 活動量を増やすことは、心血管系や筋骨格系の健康にもプラスの影響を与えます。

・心理的な効果
 活動的な生活は達成感やポジティブな感情を引き出し、クライアントのモチベーションを高めます。

4. 正確な情報発信のポイント

正確で信頼性の高い情報を発信することは、トレーナーとしての信用を築くための基盤です。
以下は、情報発信時に注意すべき具体的なポイントです。

クライアントに伝えるべき情報

1. 基礎代謝の仕組みを誤解させない
・「基礎代謝を上げる方法」という簡易な表現は避け、基礎代謝の変化には長期的な努力が必要であることを明確にしましょう。

2. 活動量増加のメリットを強調する
・「動くことが健康や体型維持に最も効果的である」ことを具体例を交えて説明します。
・ 活動量増加が心血管系、メンタルヘルス、睡眠の質など多方面に良い影響を与えることを伝えます。

3. 行動変容のプロセスを教える
・クライアントが「できること」から始められるように、小さな変化の積み重ねの重要性を示します。
・「変化は難しいが可能である」ことを実例や成功体験を交えて説明します。

発信内容を精査するチェックリスト

・科学的根拠に基づいているか?
 根拠のない主張や極端な表現を避ける。

・クライアントの行動に具体的な影響を与えるか?
 実際に実践可能な内容かを常に確認。

・誤解を招く表現がないか?
 「楽して痩せる」などの表現を慎重に避け、行動変化の重要性を明確に伝える。

5. トレーナーの方へのメッセージ

トレーナーの発信内容は、クライアントの行動に直接影響を与えます。
そのため、基礎代謝に頼らず、**行動を変える力を伝える情報発信を意識することが重要です。

「正しい知識はクライアントの未来を変える力になる。」

基礎代謝という言葉に頼らず、クライアントが実際に行動を変え、健康的な生活を築けるような指導と情報発信を心がけましょう。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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