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Misojimae Diary 1/17「長年の謎、スックス」

①デヴィッド・リンチが亡くなった。俺はこの監督の映画を沢山見たという訳ではない。どっちかと言えばドラマ「ツイン・ピークス」の印象が強すぎる。この人アカデミー賞の監督賞を受賞してないんですかってのが意外だった。デヴィッド・リンチが亡くなった今、色々観てみようかなと思うのはなんかちょっと違うかなとは思う。まだ「ツイン・ピークス」は観てもいいけど。50歳くらいの時に「ロスト・ハイウェイ」を作っていて、これを最高傑作に選んでいる人も多い気がする。50歳くらいで日の目を浴びたり、ピークが来たりするのは俺のこの先の未来では考えられないなとか考える。何が三十路前だって事にもなる。日に日に本を作る気があまり無くなっているんだけど、やっぱ何か俺も創作して50歳くらいで創作したやつを面白いと言ってくる方が現れたり、俺という人間を発掘してくれる人がいたらこの先も50歳くらいまでなら希望を持って生きられるかもしれない。そもそも全然読まれてもないんだけど。

②「長年の謎、スックス」
「スックス」という言葉と出会ったのは高校1年生の時だった。俺が高校から家へと帰る途中に駅のホームでNEWDAYSで買ったミルクフランスを齧りながらとにかく今の高校での生活が嫌だなと感じていて、もう本当にどいつもこいつもどうしようもねえなとムシャクシャしていて、付けてたイヤホンからはFACTのアルバム「In the blink of an eye」が流れていた。明日から能面をかぶって登校しようかなとか思っていたら、どう見てもカタギには見えないスーツを着た高身長の男性が俺に向かって一直線で歩いてきて、その男は酷く酔っ払っている様子で俺の事なんか全然気づかずに俺はぶつかりそうなので避けたら、その男は俺の肩に手を置いて「おっ、なぁ、手ぇ貸してくれや」と言ってきたので「嫌です、酒臭いです、消えてください」と言い返してやろうと思ったんだけど、コイツが万が一怖い奴で逆上してきたら嫌だし、指にはギラギラした金とか銀の色の指輪が嵌められていて、綺麗に全ての指に嵌められていたからそれがメリケンサックのように見えたのでこの手で殴られたら痛いだろうなと感じ、色々俺は一瞬の間で考えた結果、無視する事にした。俺は今、FACTのアルバムを聴いている人ですよ、と。俺は俺の肩に手を置く男が並列になって電車を待っているのが、傍からみたらすごい気味の悪い画である事は間違いなくて、俺は一刻も早くこいつがどっか消えてくれないか、電車はまだなのかとイライラしていた。そうすると男は酒臭い口で言ってきた。「なぁ、兄ちゃん。いいか。靴と歯と自分自身の事は毎日磨かんとダメだがんなぁ。」と言った。靴と歯を毎日磨くのはまあ分かるとして、自分自身を磨くとはどういう事なのか。ただこいつと会話はしたくないし、話をしたところで会話にならなそうだと思ったのでやっぱりここも無視を決め込んだ。そしたら電車がやってきて、男は自然と俺の肩から手を離した。やっと解放だと思ったら男は最後に俺に「スックスだ!スックスを大事にしろ!」と言ってきた。俺は「スックス、、、?」とスックスという聞いたことない単語を聞いて戸惑いながら電車に乗った。男はどこにもいなかった。この時から俺はスックスについて考え続けている。あの時男は酔っ払っていたのでもしかしたら他の言葉と言い間違えたのかもしれない。だとしても何と間違えたのかが分からなかった。

「スックス」とは何か。そもそも「スックス」という言葉は無い。「スックス」という言葉を聞いてから10年以上経ったがその間に「スックス」というコンテンツとかが出てくる訳でもなかった。ただ同じサ行でも「サックス」「シックス」「セックス」「ソックス」は存在しているのに「スックス」は存在しないのだ。これは非常にモヤモヤとする案件であるのは間違いない。

「サックス」は別名サキソフォンなどと呼ばれる管楽器の一つで、管楽器の中でも音が出しやすく様々なジャンルの音楽にマッチする楽器で人気が高い。昔、路上でサックスを吹いてる男が「どうしてサックスを吹いてるのか」という理由を聞かれて「サックスを吹くとさ、女が寄ってくるんだよね。だから女のために俺はサックスを吹いてるんだよ」と言っていて救いようないけどある意味清々しさを感じたりした。それくらいサックスというのは魅力があるのかもしれない。

「シックス」は数字の6を英語で表したものだ。6はサイコロだと1番出目が大きい数字であり、小学校だと1番学年が上になる。ただ一方で6という数字は日本では直接的には関係ないが世界で見ると不吉な数字とされており、666と6が3つ続くのが“悪魔の数字”と呼ばれてきている。世界の終末を描いた新約聖書最後の書「黙示録」において、悪魔と結びつけられてきたからという話もあるし、エンジェルナンバーにおいても6が持つ意味はお金や物などの物質的なことに執着し過ぎているという警告とされている。ただ今回は数字の6ではなく「シックス」というカタカナ表記なので実際にはあまり関係ないが参考までに。

「セックス」は男女問わず人気がある、性行為を指す言葉だ。そしてそれが無ければ我々は生まれない。ただ昨今の芸能界でいうと不倫や性加害などのスキャンダルが絶えず「セックスをしたらもうダメ」「芸能界にいたいならセックスはしない方がいい」などという考えもあるくらいだ。それは例えば男性の芸能人が一般の女性の方と普通に恋愛上でセックスをしたとしても、何かその男性を陥れようと思った時にその男性との行為とかの決定的な写真を撮っておいて、いざとなった時に流出したり口封じに使ったりという事でその時のセックスがきっかけで思うように活動ができなかったりする。霜降り明星の粗品も「今はちんぽがあるやつから消えていっている」と言ったくらいだ。

「ソックス」は靴下の事を指す言葉で、ほぼ人間であれば特にこの寒い冬の時期は履いているだろう。靴下が無いとスニーカーを履いた時に靴擦れが起きたりする。また中学、高校辺りだと身だしなみ検索みたいなので注意を受けたりするのが靴下だ。短すぎる、長すぎる、柄が多い、ワンポイントまでならOKなど理由は様々だが、振り返ってみても本当にどうでもいい時間だなと思う。

サックス、シックス、スックス、セックス、ソックス。なぜサ行で唯一スックスだけないのだろうか。気になって仕方がない。これを俺は長年追い求めている。コロンブスの卵の「誰にできることでも、最初に実行し成功するのは難しい」という言葉もあるが最初に「スックス」という概念を作り上げたとしてもやっぱり上手くいかないんじゃないか。「〇ックス」の中で頂点にいるのは「エックス」で異論は無いだろう。アルファベットそのものだし、日本だと「X」というバンド(X JAPAN)がいる。「紅」という日本のロックバンドの曲の中でもトップ10に入るくらいの有名な曲だ。「紅に染まったこの俺を慰めるやつはもういない」という歌詞はどんなに酔っ払っていても忘れないと思う。油断も隙も無い曲。そして長いイントロと間奏。どの角度から聴いても良い。B’zのultra soulと同じくらい全世代が楽しめる、盛り上がれる曲だと思う。多分人気があるのはエックス、セックス辺りで、人気が無いのはタックス、ノックスだろう。

スックスという言葉がはっきり存在しない以上、俺の中でスックスは生意気な存在になっている。サックス、シックス、スックス、セックス、ソックスとサ行のど真ん中で存在もしないくせに堂々としてやがる。

それでも「スックス」の謎に近づいた事は幾つかある。まずスターバックスの略称としての「スックス」だ。俺からすればスターバックスの略称はスタバしか有り得ないのだが、本当に極稀にボケなのか知らないが「スックスに行った」とSNS等で報告するウスラトンカチがいた。
次にGoogleで「スックス」と調べると1番上に出てくるのがニコニコ大百科の「スックス」という記事だ。これを「俺以外にもスックスについて考えている人がいるのか?!」と初めて見た時は驚いたが、結局は謎の言葉という結論に至ってる。
そして1番スックスに近づいたのはヴィトフスカ スックスというワインの存在だ。これはもうスックスと言ってるから。初めて知った時は興奮した。これの何がすごいか。ヴィトフスカとスックスの間にスペースがあるのだ。これがヴィトフスカスックスと言葉として続いていたらダメだったが、スックスと独立している。そして商品の説明が書いてあったので読んでみた。この瞬間、スックスへの扉が開かれるのだ。

白・1500ml
ヴィトフスカ 100%(樹齢40年)

収穫後、除梗した果実をそのまま木樽へ。果皮と種子と一緒の状態で24か月間醗酵~熟成。途中オリ引きも全く行わず、果皮と種子を取り除きオリと共にボトル詰め。果皮、オリによって守られることで、SO2を使わずに醸造した、ヴィトフスカ、さらには果皮の可能性を証明した実験的ワイン。

今回は攪拌せず、上澄みのみでボトル詰め。そして今回は瓶の中にわずかしかオリが残っていないという事もあり、ごくわずかにボトル詰め時にSO2を添加しています。理屈としては成り立つ。しかしそれを地で行うマテイの探求心には脱帽です。

そしてまた、このワインの味わいのすばらしさ。通常のヴィトフスカには感じられないような線の太さと液体のみずみずしさ。通常のヴィトフスカと比べていただけると、この滑らかさ、丸み、一体感に驚いていただけると思います。2018年からは新しいチャレンジを始めるため、この2017年が最後のリリースとなります。醸造したのはバリック一樽分、マグナムのみ150本のボトル詰め。ヴィトフスカの可能性、果皮の持つ力を証明した特別なワインです。

MARUYAMAYA

えええ?す、スックスの説明は!!?と腰を抜かした。正直ヴィトフスカがなんなのかワイン詳しくない俺はイマイチその凄みみたいなのが分からないから。俺はただ「スックス」が知りたいだけなのだ。

他にも「The Sooks」というインディーズバンドがいたりもするらしいが、俺はそうじゃないと思ってる。The Sooksがどう意味なんだと聞かれても存在しないからだ。ちゃんとサックス、シックス、セックス、ソックスのように強い意志を持たないと。スックスが何か証明されない限り、スックスが現れない限り、スックスを俺は追い求め続ける。そして高校生だった俺に「スックスを大事にしろ」と言った男にも今となっては言いたい。

「スックスって何ですか?」

③聴いた曲