捨てられるものでもなかった
結婚して人の目を気にしなくなった
もう、誰かのために着飾らなくてもいいと思ったからだ
もともと化粧やオシャレに興味はなかった
だからもうなにもしなくていいと思ったらタガが外れたように太った
緊張だけで人は痩せていられるんだと思った
でも、緊張がほぐれたら弾け飛んだ真珠のように元に戻せなくなった
女を捨てる…とはこういうことかと思った
自分は結婚できないと思っていた
だから、好きじゃないけど「いい人」に求められた時、ここで結婚しないと自分にはもう2度とチャンスは巡ってこないと思った
女しての役目は果たした
男を受け入れ結婚をした
それができれば一人前の大人なのだと思っていた
いちいち自分で理解するのに時間がかかった
好きな人と結ばれる喜びや、通じ合えるしあわせなんかは
自分にはないカテゴリーだと思っていた
だから、ドラマの中のカップルがしていることを真似れば、それなりに感じられるものだと思っていた
綺麗な人を見て、あんな風になりたい、あんな生活をしてみたいと夢見ていた少女の頃
大人になったら自分も、そんなふうに綺麗になって、生きていれば自動的にそんな生活がやってくるのだと思っていた
だってお話の中のお姫様は皆、黙って泥まみれでいようとも、こき使われて灰だらけでいようとも、必ず綺麗になって王子様が迎えにきてるじゃない!
まぁ、いくらなんでも王子様が迎えに来るとは思っていなかったけれど、
でも綺麗ではなくそれなりで、素敵でもないわたしらしい地味な生活しかやってこなかった
なんで? なんでちゃんと本当のことを教えてくれなかったの?
だけどよくよく考えてみたら、自分の家は裕福でもなく、わたしは両親によく似ている…すてき要素が見当たらなかった
ちゃんと覚えられなかったのはわたしだ
夢見ることが罪なのか、夢見る世界が愚かなのか、いや多分わたしの捉え方が間違っていたのだ
激しく夢を見、その激しさの分だけの振り子で現実を見たのだ
小さく振れよう…大きなのっぽの振り子はいらない! 小さなかわいいネズミのしっぽがいい
夢見る少女は個性が強すぎてしばしばいじめにあいました
落ち着きのない喋りすぎる子どもは、さぞウザかったことでしょう
あのころ『無邪気』という言葉を知っていたなら、この言葉は永遠に葬られただろうくらいに、わたしは空気を読めない子どもだった
でも、あのころの無邪気さのまま大きくなっても、今のわたしにたどり着いたのかしら?
そんな経験から「人の役に立つ人でいよう」と思った
蔑まれても、馬鹿にされても、その人の役に立つなら飛んでいける便利な人であろうとした
結果、つかれた
けど空気はなんとなく読めるようになった
その代わり読めない頃より乱せるすべも身についた
大人になったということか…
女は捨てられると思っていた
特に身なりも気にせず、化粧もしない、精製されないざらばん紙のような日々
その割に出かける時の人の目や、子どもの友達の母親が気になる
いつまで経っても女なのだ
女は諦められると思っていた
痩せようにも運動は嫌いで、食べるのは大好きだ
健康食品やダイエットフードをたくたん知っているが、アドバイスは的確でも灯台はもとを見ていない
腐っても女だった、そこが嫌だったけど男にもなれない
これからはせめて「邪魔にならない人になろう」と思っている
まだなれていない
まだ、邪魔をしている
邪魔にならない人、邪魔にならない妻、邪魔にならない母、
邪魔にならない友、邪魔にならない女、邪魔にならないばあさん、
今まで割と嫌われたから孫には嫌われたくはない
でもな、性格ってそう簡単じゃない
心がけることは出来ても、うっかり戸棚の骸骨が出てきてしまうものだ
自分じゃないものになるのはしんどい
かと言って自分を甘やかすこともまたしんどい
自分を楽にやれるのが一番いいのかなとも思う
昔『あばれはっちゃく』に出ていた女優の早瀬由香子さん → いい女~
彼女が歌ってた『私が女』って歌と『2/3』が好きだった
あのけだるい声と、けだるい仕草、絶対わたしがなれない憧れの人
曲探したんだけど、見つけられなかった…残念(。-_-。)
私は女 生れた時から ずっと
私は女 きっとそう いつまでも・・・・
て、確かこんな感じの歌詞、だった、よ、う、な、?