ＡＭ８：０５の彼女
朝、だれかしらを駅に送った帰りのこと・・・・
そう、この時間。気になる彼女がひとり・・・・
最初の印象は「すげーファッションだな」だった。でもそれは蔑むとか、嘲るとかいうことではなく、ある意味羨望の感嘆詞だった。
次に気になったのは「年齢は、どのくらいなんだろうか？」ということ。なぜなら、その服装を見るに最初は年配の方かと思ったからだ。でも、背筋はぴ～んとしているし、歩みは早くはないが結構な距離を歩いてきている。
なんというか、この辺では見かけない服装…だったから目を惹いたのだと思う。ファッション雑誌に載っているような、とにかく凡人ではないファッションで、年齢を高く見てしまったのには、その服装の模様が昭和というか、幾何学模様のような、これまた凡人ではチョイスしないような組み合わせ
柄✕柄＝なのにうるさくない
例えばバーバルのような・・・・
俺✕俺＝厭味じゃない
もしくはＧ‐ドラゴンのような・・・・
最近、彼女は新しいがま口タイプのリュックを購入したようで、たくさんのアップリケのついたエナメル素材が朝日にてらてらと照らされ、ますます目を惹いた
自分を知っているって美しい
言葉で説明するにはどんな単語が適当なのかは解らないけれど、とにかく、そのままファッションショーで歩いていもおかしくはない恰好で、ゆったりとマイペースに目的地に向かわれているようなんです
朝なので、おそらくは仕事場に向かっているのだろうとは想像に難くないのですが、あのままの姿で仕事をするならば、アパレル関係かとも想像できるのです。でも、向かうところは駅から遠く、どうもそういう方角ではない。ならば！ あの服は出勤時のみで、職場では白衣に着替えるのか作業着に変わるのか、はたまた制服かと存分に想像を掻き立てられるという次第です
わたしの希望を申し上げるならば、あの服装のまま保育園でオルガンを弾いていて欲しいとか、実は白衣を着て歯科助手とかしてたら萌えるなぁとか、なんだったら制服に着替えて警備員もいい
明るすぎる電飾の下で、無難に洋服売っていて欲しくない。素のままを通して、当たり前に髪をカットしていて欲しくない。みたままの人を寄せ付けない不機嫌な様相で、とにかくそういう店頭に立っていて欲しくない・・・・というのがわたしのわがまま
いい迷惑ですね。でも、彼女を見掛けるたびにわたしの妄想は膨らみ、いつしか友だちになりたいとさえ思っている ⇐きもっΣ(ﾟДﾟ)
これは、素敵な邸宅を見つけていつかお邪魔したいと願う気持ちに似ている。でも、友だちになりたいは、お邪魔したいよりも比率は高い
そういえば昔、いや小学生自分、わたしはそろばんを習っていたのだが、試験に行くと必ず見掛ける美しい少女がいた。あまりにかわいくて、わたしは彼女といつかお近づきになりたいと願っていたものだ。一緒に試験会場に通っていた幼馴染にも「あの子かわいいよね」と言っていたくらいだ
そして奇跡は起こった！
中学生になったわたしは、なんと通学路で澄まして歩く彼女を見つけた！ 幼馴染と自転車をこいで学校に行く道すがら、わたしは憧れの君を見つけたのだ。自分を含め、まわりのみんなが個性のない紺色のウィンドブレーカーを着ているのに対し、彼女は真っ白なウィンドブレーカーを着ていた。さすがに、美しい少女は違うなぁと感心したものだ
さらに！
彼女は同級生だった。しかも同じクラス（わたしの学年は３００人強で８クラス）で、同時に名前も知ることとなった。これまた美しい名前だった
わたしは友だちになりたかった。だからすぐさま声を掛けた。「わたしはあなたを知っている！」「ずっと見ていた」と。今考えても不躾で気持ちの悪い、無邪気を振りかざした行為だったとは思うが、わたしはなんとしてでも彼女に印象付けたかったのだ。それゆえ、彼女に変なあだ名をつけた
もちろん彼女は「嫌だ」と言った。だが、わたしは彼女のファーストネームを気安く呼ぶことができなかった。にもかかわらず、代わりにセンスのないへんてこなあだ名をつけてしまって今に到る。そう、彼女とは未だつきあいがある。わたしは惚れた女を落としたのだ笑（実はこういうケースは小学生以来２度目だった⇐執念）
ところ変わって現在。またわたしはタイヤのついた乗り物の上から、颯爽と歩いていく美しい女性をロックオンした。あの頃は自転車で、今は車に変わったけれど、しかし目的地は違う。同じ方向、同じ場所なら或いは・・・・
でも「ＡＭ８：０５の彼女」は歩道を歩いてどこかに向かっていて、わたしは車で通り過ぎるだけ。あとをつけるわけにもいかない⇐犯罪だから
わたしは仕事もしていないし、この先どこかで接点があるとも思えないのだが、なにかの気まぐれで、あの奇抜で素敵な彼女をgetできる日が来るのだろうかと妄想を膨らませるのだ。３度目の正直っていうし？ 不毛かなぁ笑
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