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味の記憶

子どもの頃に食べた物ってもしかしたら美化されているかもしれないけれど、それでももう一度食べたいものがある


最近、思い出したことがあって・・・・


子どもの頃、近所の奥様方が集まって、月一で「温泉に行く」というサークルのようなものがありました。わたしの母もそのグループの一員で、わたしも小学校の中学年…くらいまで一緒に行っていたかなぁ
お母さんたちが周り順で、日取りと宿を決め、子どもの人数分のお菓子を用意してくれて、いつもたくさんの荷物を持って出掛けて行く…ちょっとした遠足気分でした
もちろん皆さん主婦なので、温泉旅行というような大げさなものではなく、日曜日に日帰りで行ける、それこそ近場の温泉や、隣町だったりと移動に一時間を要さない場所ばかりでしたが、それでも充分に楽しかった
あの頃は、そういう温泉場が気楽に行ける距離にたくさんあったのです

だからというわけではないけれど、子どもの頃から大きなお風呂が大好きで「ながっぷろ」と言われるほど家でも長湯してました。なにより温泉宿で食べるごちそうが本当に楽しみだった
わたしの地元の方ではわりとを食べるのですが、中でも鯉一匹を贅沢に使った料理を出す温泉がわたしはいちばん好きだった。記憶の中のその料理はオレンジ色をしてました。大きなお皿に鯉一匹、悠々とのせられていて、一緒に煮込んだ(?)であろう野菜やお豆が一緒に盛り付けられていたように思います
最近ふとそれを思い出すことがあり、母にあれはいったいなんという料理だったのかと聞いてみましたら、あれは「鯉の唐揚げ」だと言われました
え?「オレンジ色だったよ」と申しますと、鯉一匹を大きな鍋でから揚げにして、二度三度と揚げ、とろみのある野菜のソースのようなものがかけられていたのでオレンジ色に見えたのだろうと言われました
思うに、その記憶の中のオレンジ色は、とろみの餡の中に入っていた人参…だったのかもしれません

鯉の唐揚げ!?

それは意外だった。まったくから揚げ感が思い出せない
子どもの記憶ですねぇ・・・・

現在、その温泉宿はなく、鯉もあまり簡単には食べれなくなってしまった。時折スーパーで甘露煮を見掛けることはあり、温泉地でも鯉の甘露煮を出すところはあるが、あの大好きだったお料理を食べさせてくれるところは、今はどこにもないらしい

我が家では父親がそういう料理が好きだったからか、鯉こくや鯉のあらいなどは普通に食卓にありました。どじょうの味噌汁も子どもの頃は食べましたが、今は食べられなさそう(;一_一)

netで調べてみると、どうやらそれは鯉一匹を使った「甘酢あんかけ」のようで、もとは中華料理らしいです。いつかどこかで会える日を夢見て「そうだ、京都行こう」ばりに、温泉に行きたくなったのでした


今日は生前の父の誕生日。だからこんなことを思い出したのかな?
仏壇に生臭は上げられないけど、父を思って母と思い出を語る時間もいいかもしれない



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たゆ・たうひと
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