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仕事帰りに時々、夫が缶ビールを買ってくる。 夫はお酒を飲まない。だからその缶ビールは私のためのモノだ。いつからか、そうするようになった。 だからと言って買ってきたその日に飲まなければいけないわけではない。冷蔵庫にストックがないわけでもない。 それでも時々、夫は私のために缶ビールを買ってくる。それは私たち夫婦の会話のようなもの、無言のルール。 夫はお酒を飲まない。だから私のための缶ビールは、夫のアピールであり、意思表示。 時折、寝室に向かう夫が、無言でテーブルに缶ビールを置
彼はわたしたち夫婦の恩師・・・・ 今日はふたりでランチ。 最近そんな時間が増えた。 高校時代に付き合っていたわたしたち夫婦は、進学や就職で気持ちが離れてしまっても、お互い恩師との連絡だけは欠かさずにいた。わたしたちはそれぞれ恩師に、自分の悩みや身の上の相談をしていたのだ。ゆえになんとなくではあるが、間接的にお互いの状況は把握していた。 それが功を奏したのか、同窓会で再会し結婚するまでに至った。だが、同窓会で再会していなければ、もしかしたら結婚はしていなかったかもしれない
ケンカした でもケンカにならない ケンカにならないから、イライラする だから、悪いのはいつもわめいてるあたし 落ち込む前に、反撃して見せろよ 困らせたくないのに そう思っていても、 無理なことは言えないと解っていても、 抑えきれないわがままと、 いとしさのジレンマ 傷つけてる でも謝らない 優しいにもほどがある ばか、の~天気 日頃の言葉の足りなさが、 いつもあたしを惨めにする もう少し、気の利いたこといえないのかしら まったくボキャブラリーが足り
「あたしたちって、夫婦なのよね?」 パソコンの画面に夢中の彼の顔を覗き込こむ。 彼はきょとんとして、彼女を見返し、 「なに言ってんの?」とすぐにパソコンに目を落とした。 彼女は目線をそのままに、 「実感あるの?」と更に問いかける。 彼はパソコンの手を止め、 「あるよ」と彼女に目を移す。 「ふーん。どんな?」 いまさらながらな質問を投げかけておきながら、 バツが悪そうに視線をそらす彼女。 ダイニングチェアにもたれ、天井を仰ぐ。 「たとえば、こうして帰っ