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うたかたの…

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短編…より短いかな。小話かな 詩…とか、心のささやきとか
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2020年2月の記事一覧

”彼”の事情~奏詩side

彼女ってなによ? ガールフレンド? 友だちだろ? 「千堂、次…、あぁそうか」 「なんだよ!?」 気がつくといつも一歩うしろに翔子がいた。 なんだか最近、不自由だ・・・・ 「ねぇ、私あなたに一度聞きたかったんだけど」 「あ、俺も」 「なに?」 「なんで俺たちいつも一緒にいないとなんないわけ? お前といるとみんな遠慮すんだよな」 「なんでって…邪魔しちゃ悪いと思って遠慮してるんでしょうよ。当然じゃない? 私たちつきあってるんだから」 「え、俺らってつきあってたの?」 俺ら

”彼”の事情~粧子side

「ねぇ、あなたのお友達、そろそろ留学先から帰って来るんじゃない?」 「そうなんだよなぁ…住むとこ決めないと」 「私のところにくる?」 「なんで?」 「なんでって…。ねぇ、私あなたに一度聞きたかったんだけど」 「あ、俺も」 「な、なに?」 「なんで俺たちいつも一緒にいないとなんないわけ? 別にいいんだけどさ、お前といるとみんな遠慮すんだよな」 「なんでって…そりゃ邪魔しちゃ悪いと思って遠慮してるんでしょうよ。ていうか、当然じゃない? 私たちつきあってるんだから」 「え、俺らって

”彼”の事情~おたおside

「月がキレイだな」 奏詩先輩が、空を見上げてそう言った。 これは、あれだ。文学的に答えねばならないやつだ…と、何故か咄嗟にそう思った。だけど、 「死んでもいい」 とは、答えられなかった―――― 「奏詩先輩、彼女と別れたんだってよ」 食堂で必死にレポートの仕上げをしていた昼休み、突然そんな言葉が耳に飛び込んできた。 「へぇ…でもなんとなく、先輩いつも退屈そうな顔してたしな」 「だって、この大学始まって以来の首席カップルだぜ!? キレイで頭いいだけで、ほかになにが必要なんだよ」