教師のバトンについて一考察
とりあえず、思い付くまま書いてみる。時間が経つにつれ、推敲を重ね何度も書き換えるつもりもあるので、その点ご容赦ください。
私は、某地方都市で高等学校教諭をしている。昭和38年生まれ。平成元年より「教諭」として禄を食んできた。と言うことで、現在34年目のシーズンだ。そして、35年のシーズンが終わると、イコール還暦のシーズンなので、ここで定年を迎えるはずなのだが、定年延長が始まる最初の世代となり、その一年先が定年と言うことらしい。
ここで一つ整理しておきたい。大学卒業までが「昭和」、就職して以降が「平成・令和」ときれいに分けられる。それは、「昭和=インフレ」、「平成・令和=デフレ」とも言える。
※昭和=インフレ時代の預金通帳だ。昭和60年11月に20万円、期日指定定期を組んでいる。利率は、5.75%。これが昭和である。実際その三年後の満期時の手取りは、234,983円である。令和のこの時期には考えられない利率である。これを頭に置いていただきたい。
就職したての職場(新採用の学校)は、半数が20代、3分の1が50代、30代、40代が少々と言う年齢構成もかなり若い職場だった。そんな中、給与明細の中に「日本銀行券」が10数枚入っていて、硬貨分は銀行振り込みというような給与の渡され方だった。その時、遠い将来困らないようにするためには、定年までにどんな財産形成をして、資産を持つかを考えていたかを書いてみよう。
年金が60歳から始まる。おそらく月に20万弱。加えて、退職金が2.5千万だろうから貯蓄で1.5千万積み立てて、合わせて4千万あれば、その定期預金利息が、5%つく。その内、源泉分離課税20%が差し引かれて、8割が手元に残る(これで約160万円)。合わせて月に30万円程度が、自分の自由に使えるお金だ。その為には、年ベースでボーナス丸々分を貯めていけば、軽く三千万を超える。
だから、この他に個人年金保険と貴金属金の定額購入を合わせておけば、十分な「ご隠居」生活が送れるはず。だから、せっせとお金を積み立て、ひたすら元金を増やすことに集中すれば良いと思っていた。
そして、それから34年経った今、どうなったか。30年以上にわたる政策の間違いにより、デフレ景気いやデフレ不況が放置されたまま。定期預金利息は、ゼロ。そして、年金も先送りとなった。期待していた所得は、年360万、月当たり30万のはずが、70歳まで所得即ち収入は、ゼロである。見事なまでに。10年単位で言えば、3600万円がゼロなのである。
「失業者にする」と表現するのは、まさにこういう理由である。あまりと言えば、あまりの仕打ちである。あろうことか、現職の大臣からは「退職者を活用する」などと言われる始末。安い労働力でフルタイム働かせるには丁度良いのだろう。何てこったい。誰が言ったか「定額働かせ放題」そのまんまだ。
現在まで、経済に関しては、ずっと「しっくりこない」状況のまんま、過ごしてきた。消費税率もうなぎのぼりで、社会保険料の負担も増えたため、現在の手取りは、平成16年度のものより少ないのである。本俸は10万円程度上回るはずなのにである。これは一体全体どういうこと?
私と同年代の人たちは、「教員を続けたいかどうか」で延長しているのではなく、「やらざるを得ない」から教員を続けているのである。これが果たして職場に良い変化をもたらすのであろうか。
やはり、親方には言いたい。教師のバトンを大切にしたいのなら、現職を大切にしないととんでもないことになるよ。