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【練習会】坂道走〜走るとは考えること

「100m坂道×30本を1分サイクルで」
オーストラリアのクラブで走っていた時に行ったトレーニングの一つです。
それまで私が中・高・大学と長距離走をやってきた中では馴染みのない練習で、少し戸惑いもありました。
それはきつそうというよりは長距離なのに100mを何本も繰り返す練習は必要なのだろうかという疑問からでした。
坂道と聞くとダッシュの印象が強く、短距離走のようなトレーニングをイメージしがちだったのもあると思います。

必ず100mというわけではなく、100m地点を基準に前後10m間隔でポイントが用意されています。走力に合わせて110m、120mと距離を長くしたり、90m,80mと距離を短くすることができます。
坂を駆け上り、自分がスタートした位置までに1分以内に戻ってきて再びスタートの繰り返しです。

まあトータルで30分、1回は100m程度で終わるなら大したことではないだろう、そんな思いでスタートを切ったと思います。
20秒程度で上り切り、ゆっくりと下りながらスタートに戻ると数秒もしないうちに次がやってきます。
まだ5本くらいしか走ってないのに内心「これは最後までもたないかもしれない」そんな思いがよぎり始めたのを覚えています。
半分に達する頃には辞めたくて仕方ないそんな思いでした。
しかし前にも人がいて、後ろからも誰か追ってくるこの状況では、特に手を抜いてペースを落としても何も言われないし、みんな自分のことで必死で気にもしないだろけど、自分だけ手を抜くというのにはどうも後ろめたさを感じました。(実際には手を抜いていた人もいたと思いますが)

今日の練習では90m程度の距離で20本行いました。
表情を観察していると私が感じた時と同じようにまだ4分の1も終わってないのに思った以上のキツさを感じているようでした。
内心、「ちょっとやりすぎたかな」と思いもしましたが、そこからはみんなで苦しさに耐えながら頑張り抜きました。

本数をこなす中で上りのペースを少し落として下りを速くするのか、それとも逆がいいのか、色んな考えを少しずつ試しながらそれぞれが考えて調整していると思います。
「Running is thinking」
走るとは考えることだ
というエリウド・キプチョゲ選手の言葉があります。

走りやすいコースでペースを設定して誰かが先導してくれる。こんな練習も自信をつける時や肉体的に掛ける負荷を最優先するときは役に立つと思います。

慣れ親しんだコースで慣れ親しんだ練習を行うと「どのくらいペースでいけばいいですか」とどうしても聞いてしまう傾向があります。

「どのように走れば良いのか」を考えるには時に慣れた環境、練習から離れることも大事だと思います。

最後まで勢いを失わずに走り切るには自分自身の走力と練習の関係性を常に考えてペース配分をする必要があります。
感情任せでは最後まで持ちません。
色々こちらが言わなくて「このペースは持たない、これは遅すぎかな、もう少し上げてみようかな」試行錯誤して自分自身を理解していく能力は誰でもあると思います。

良い練習とは「どれだけ設定通りで走れたのか、速く走れたのか」よりも考えることでどんな自分自身の新たな一面を発見できたかどうかにあるのではないでしょうか。

これは走ることに限らず、何かを練習する上で全てに共通することだと思います。

練習の様子をInstagramで、また情報はHPよりご確認いただけます。


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原口孝徳
日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。