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進歩の鍵はゆっくり丁寧に

学業であれ、スポーツであれ進歩を実感できない時期というのは誰にでもあり、これがまたもどかしい時期でもあります。特に身近な人達、ライバルなどに著しい進歩が見られると居ても立っても居られません。
こんな時期ほど色んな感情が込み上げて予定していた計画を無視し、驚嘆な行動を起こしがちです。
長距離走も例外ではなく、記録が速くなるほどに、経験を積むほどにこの停滞の時期は長く訪れます。
こんな時期は色んな誘惑、都合のいい情報に惑わされやすく、自分の芯、トレーニングの軸というものを見失いやすくもあります。
〇〇をやれば解決、わずか〇〇ヶ月で達成、など嘘とまでは言わないものの、自身の状況とは異なる人の方法についつい魅力を感じてしまいます。多くの失敗が発生するのは短期的な解決を求めた極端な練習に手を出すことだと思います。
私自身もなん度もこの誘惑に負けてあれこれ手を出して自分の問題解決に集中できなかった経験はたくさんあります。
最終的な速さは個人の能力など色んな要素があるため記録の速い遅いではなく、またトップ選手やアマチュアなどでも関係なく、長期的に成長またランニングを楽しめる人は、いわばうまくいく人といかない人の差は、進歩が感じられない時期に他ではなく自分により意識を向けれる人だと思います。自分の問題を把握して対応するには感情も練習もスローダウンすること、ゆっくり丁寧に考え、実行することが大切です。

さて先日行われたレースで指導する一人の高校生が思ったほど走れずにレース後なぜうまく走れないのか困惑していました。
以前に故障をしてしばらく練習できなかった後に復帰のレースで出した記録と変わらなかったためです。本人としてはその時よりも練習しているので当然速く走れるものと考えていたようです。
「努力をする=ハードな練習」
このような考えを持ってしまうと、休養=マイナス要素という考えが身につき中々抑えを効かすことができません。
矛盾するようなことですが、このようなタイプは1-2週間の故障がいい休養となりプラスと働くことは多いにあります。もちろん故障がいいというわけではなく、故障が強制的に休むことを促し体調が整った可能性はあると思います。

SNSなどのインターネット上ではアスリート達のハードな練習の様子が頻繁にアップされます。そのためハードな練習こそが解決の鍵と認識してしまいがちです。しかしマラソン選手たちの練習の半分以上はゆっくりのジョギングが占めています。しかし「ゆっくり丁寧」になんて言われても魅力は中々感じられません。

感情が高まった彼が翌週からやろうとすることはさらにハードな練習でした。
おそらく今回の彼の結果が良くても、やろうとすることは同じだったかもしれません。もっとハードな練習をすればさらに伸びる、というようにです。
彼の中に「努力する=ゆっくり丁寧に」ということはまだありません。

指導の面白み、また難しさは個人の間違った努力の、力の向けどころを本人自身に気づかせて自ら律していけるように手伝う必要があります。
レース後に少し話をして長期でうまくいく選手は思い通りいかない時期にゆっくり丁寧にやれる力があることを少し話しました。どの程度本人に伝わったかは分かりません。ただいつも追い込むトラック練習の代わりに、彼からすると役に立たなそうな焦ったいペースでの練習を自らやると決断してくれました。
私と彼の旅はまだ始まったばかりで、私自身もどうすればという答えは分かりません。
彼がゆっくり丁寧に練習を進めるのを指導するには、私自身も短期的に彼の傾向を解決しようとせず、ゆっくり丁寧に教えていく必要があるのは明白です。


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原口孝徳
日常からの学び、ランニング情報を伝えていきたいと思います。次の活動を広げるためにいいなと思った方サポートいただけるとありがたいです。。