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秋田に行ったら”キーステーション”への学びがたくさんあった話

6月8日〜10日の3日間、那須さんと津金さんは秋田県南秋田郡の五城目町(ごじょうめまち)に行かれました。
目的は「居場所づくりは地域づくり実行委員会」が主催するフィールドトリップに参加するためです。
「めちゃめちゃ学びになった」とのことなのでインタビューしました。

「居場所づくりは地域づくり」とは? 参加に至った背景 フィールドトリップの目的について

今回のフィールドトリップは、認定NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえとNPO法人ETIC. とが2022年11月から始めたオンライン連続セミナー「居場所づくりは地域づくり」のこれまでの登壇者を対象にしたもの。

「居場所づくりは地域づくり」セミナー第1回の「イベント背景」によるとセミナーの主旨はこうです。

「困っている子のための福祉活動」としての居場所づくりと、「人間関係の希薄化という地域課題解決の処方箋」としての居場所づくりは、同じなのか違うのか。「居場所づくりは地域づくり」と言えるとして、それはどのような視点、スコープ、そして意味においてなのか。
本セミナーは、居場所づくり・地域づくりの運営者や実践者の方々と目線を合わせつつ、居場所と地域の関係性を考え、気づきや学びを得る機会となることを願って企画しました。

むすびえの2022-10-19【お知らせ】(https://musubie.org/news/5764/)より抜粋

居場所づくりとか地域課題の解決とか、聞いたことはあるけどその2つを並べて考えたことはなかったです。
「居場所づくりは地域づくり」と言える、と仮定して深掘りしてみようということのよう。

那須さんは以前から「キーステーションを作りたい」「地域を巻き込んでいきたい」という話をETIC. にしていたので、そのつながりで第7回目のセミナーに登壇されました。
(那須さん登壇回はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=SN8MNPUfZvM

プログラムガイドによると今回のフィールドトリップの背景と目的は次のとおりです。

・新たな価値創造が始まりつつある地域(これが五城目町)の実践をともに視察・共通体験することで、「居場所」と「地域」の新たな融合がもたらす価値を言語化・認識を深める
・「居場所」と「地域」の新たな融合価値について、共通体験を得た実践者による継続的なネットワークができることで、日本社会を取り巻く人口減少や孤独・孤立の課題に対する新たなソリューションとムーブメントを生み出していく

プログラムガイドから抜粋

前置きはここまでにして、いざ。

フィールドトリップ

6月8日のお昼過ぎに秋田空港に到着。
そこからは「さとのば大学」の学生さんが運転する車で五城目町へ。
(さとのば大学:https://satonova.org

最初に「BABAME BASE」(五城目町地域活性化支援センター)でオリエンテーションや自己紹介をした後、このフィールドトリップへの期待を参加者が発表して
お互いに共有したそうです。

BABAME BASE。元は小学校。こんなにピカピカなのに廃校で、
今は一般社団法人ドチャベンジャーズが指定管理者となって
シェアオフィスとして運営されています
BABAME BASEの中はこんな感じ

那須さんのフィールドトリップへの”期待”は↓これです。

前半部分の
 「同じ瞬間に笑いあえる」をテーマに、
 テクノロジーを活用した新しいコミュニケーションのあり方を
 社会モデルとして見せられる場
というのは4Heartsがスタート当初から開設を目指しているもので、
”キーステーション”と呼んでいるものです。

 その地域を巻きこんだコンセプト作りと持続的な社会変革の旗艦店となる
 スペースづくりを学びたい!

私はこの「持続的な社会変革」というところに目が行きました。
期間限定、単発で、イベント的に”ボン!”と打ち上げるのではなく、持続的な社会変革につながるようにしたい。
すごく大切なことだと思います。


”キーステーション”についてはこちらの記事もぜひお読みください


BABAME BASEから始まったフィールドトリップ。
見学した”居場所”を挙げると・・・
<1日目>
 ・五城目町地域活性化支援センター(愛称:BABAME BASE https://babame.net/index.html
 ・Share Village町村(https://sharevillage.co
 ・森山ビレッジ(https://kankei.a-iju.jp/news/p3282
 ・湯の越温泉(https://nanmoda.jp/2022/01/12094/
<2日目>
 ・まどいの家
 ・ただの遊び場(https://tadanoasobiba.jp
 ・ハイラボ(https://hy-labo.com
 ・貸し棚おうみや(https://sharevillage.co/villages/oumiya/landingPage
 ・ものかたり(https://mono-katari.jp
 ・市とコージ(https://www.chillnn.com/18f03ff8be7297
 ・いちカフェ(https://gojome.net/map_post/いちカフェ/
 ・吉田邸(さとのば大学の学生寮)
<3日目>
 ・五城目朝市(https://www.town.gojome.akita.jp/kanko/asobu/gojomeasaichi/26
 ・HIKOBE(https://hikobe.fukurokuju.jp
 ・五城目小学校(https://www.goshou.net
 ・gaccoちゃっこ(https://camp-fire.jp/projects/view/672387

いやこれはかなりのハードスケジュールですね。

たくさん見た中で一番面白かったのは3日目に行った五城目朝市だそうです。
えっ? 朝市?
一日に3,000人が訪れるという「ごじょうめ朝市plus+」の開催日ではなく、
通常日の朝市?
(五城目町朝市ライブカメラ:https://www.town.gojome.akita.jp/kanko/asobu/gojomeasaichi/734
(ごじょうめ朝市plus+:https://www.town.gojome.akita.jp/kankosangyo/syokogyo/1053
https://www.facebook.com/asaichimoriagetai

見学した日(=通常日)の朝市の様子

「面白かった」のその意味は、
たくさんのいろいろな”居場所”を見てきて、
 最後に朝市を見て、話を聞いて、「なるほどな」と思った』

ということだそう。

朝市を見る前に見学した”居場所”の特徴はどんなものだったか、
インタビューした内容からかい摘んで書くと、こういう感じだったそうです。

  • カフェとかギャラリーとか、何かお店や施設を作ろうとすると「ターゲットとする顧客は誰?」と聞かれます。普通そうですよね? でも、五城目の”居場所”を作った人たちは皆さん「顧客ターゲットは絞っていない」と言われていたそうです。

  • 2日目に見学した「まどいの家」は誰か特定の人の所有ではなく、地元のじじばば達による共同管理になっていて、そこにじじばばが集まってお茶したり、おしゃべりしたり。時には「墓参りに来たけど泊まるところがない」なんて人がいればできる範囲で手助けしたりするそう。(那須さんの祖父母の家の感じに似ているそう。イメージ的には「となりのトトロ」のサツキとメイが住んでた家のような感じだと。)

  • 朝市のエリアの”居場所”の建物はみんな長屋形式。入ってすぐが土間のようになっていて、そこがコミュニティーを作れる空間になっているそう。

  • いろいろな”居場所”があちらこちらにポコポコと生まれるにあたって、誰か全体を仕切るコーディネーターがいるわけではなく、少しずつ面白いことがあちこちに生まれて、それがお互いに関わり合いが増えて”縁”がつながっているそうです。

まどいの家
「ShareVillage町村」。茅葺き屋根でなんとも懐かしい雰囲気
茅葺の古民家の中は土間と太い梁と高い天井
土間にはかまども
朝市のエリアの”居場所”の一つ「貸し棚おうみや」さん。
建物に入ってすぐが土間のようになっていて、両側の壁に貸し棚があり、
真ん中に机があってコミュニケーションの場に。
正面奥が畳のスペース、右奥には廊下があってさらにスペースが続いている
「貸し棚おうみや」さん、入って右手はほぼ壁一面が貸し棚
同じくおうみやさん、入って左手の壁は雲の形をした棚

では、五城目の朝市はどんなところかというと。

  • 五城目町の朝市は1494年から500年!にわたって続く市。

  • 市場なので、よそ者が来ても受け入れる懐の広さのようなものがあった。朝市で町のウチとソトが自然と混ざり合うような文化や風土が元々あった。

  • 地理的には西に八郎潟がありその向こうは海、東には山があり、海の幸と山の幸の両方が集まる場所で、お金でのやり取りだけでなく、「ちょっと山菜取れたから持ってきたで〜」と物々交換や助け合いが成り立っていた場所。この物々交換や助け合いが「精神的な通貨」となって地域を繋いでいた。

五城目の”居場所”の
「ターゲットを絞らない」
「自然に助け合う、自然にコミュニケーションが生まれる」
「コーディネーターがいなくてもちゃんと繋がりができている」
といった特徴は、
五城目のもつ立地や風土、歴史、朝市の文化から成る町民性によって為せるもの
だった、ということ。
那須さんはそこに「なるほど」と思ったそう。

先に朝市を見学するのではなく、いろいろな”居場所”を見学して、たくさんの「?」を頭に浮かべた状態で朝市を見学したので、「?」がパーッと「!」に変わったのではないかと思いました。
朝市は毎月2、5、7、0のつく日に開催されるそうなので、最終日に朝市を見れるように行程を組んだのか、単なる偶然か、、、

”キーステーション”開設に向けての「問い」

フィールドトリップを終えて、キーステーションへの想いやこれから考えていきたいことを語ってもらいました。
まとめると・・・

①ターゲットは絞らない。絞っていると見られないような方法を考えたい

・キーステーションから子供が出てきたり、じじばばも何か関わっているような、繋がりが生まれる場になるといい。
・まどいの家で懐かしさを感じた。土間や囲炉裏のある家に住んだことのない人でも、古民家に行くとなぜかみんな懐かしさを感じる。
 そういう日本人が持ってる何か、民族のレベルで刷り込まれている何か、それを呼び起こせるような場所になるといい。
・そこにテクノロジーをプラスしたら、スマートグラスをかけているじじばばがお茶を飲んでいたりしたら、懐かしさも感じながら、未来感もありつつ、そのアンマッチが面白いんじゃないか。

②キーステーションの場所は湘南? 都内?

・人の往来の多さや、外国人なども含めて多様な人が来てくれることを期待すると都内は魅力。
 一方で、都内だとどうしても日常生活に密着したモデル提示になりづらいかもしれない。(期間限定やアンテナショップならそれでもいいけど)
・地域を巻き込むにはその土地の歴史や文化、地域性やそこに住む人の市民性が深く関わってくるということも今回学んだ。
・そう考えると、都内よりは湘南地域のどこかの方が4Heartsの考えにフィットすると思う。

③「精神的な通貨」は何か?

・五城目は「繋がりましょう」と誰かが音頭をとって繋がっているわけではなく、勝手に、自然に、繋がっている。湘南地域でも面白い場所が色々生まれてはいるが、繋がっていない。
・そこに「精神的な通貨」があれば自然につながるのではないか。なので、通貨が何なのか見つけたい。

2日目に行われた振り返りの「3つの学び」と、
「次にフィールドトリップに行くとしたらどんなところがいい?」
という質問への那須さんの回答

最後に、私が五城目町の話を聞いて、また、それぞれの”居場所”のサイトなどを見て、特に強く感じたことを。
「誰かコーディネーターやリーダーがいるわけではない」というところがすごく重要だし、理想的だなと感じました。
もちろん4Heartsのリーダーは那須さん津金さんなのだけれど、お二人がずーっと”キーステーション”に張り付いていられるわけもない。
勝手に学生さんや地元のじじばばとかがやってきて「ここのスペース、今度〇〇で使わせてもらいます」って、お二人がいなくても勝手にその場所が回っている、
勝手にその場に人が集まってワチャワチャとコミュニケーションが起きている、
そんなのが理想的だなぁと思いました。

”キーステーション”についてはまだまだディスカッション中です。
これからも記事にしていきますので、注目していてください!


今回のフィールドトリップ全般については、
NPO法人こまちぷらす理事長の森さんのレポートが
とても詳しいので、そちらをご覧ください。

<BABAME BASE>

<まどいの家>

<貸し棚おうみや>


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