ホンマタカシ氏の写真集" 東京郊外 TOKYO SUBURBIA"は、郊外感の切り取り方が秀逸
どうもgucchon(@gucchon07)といいます。
本日も、写真集のレビューをしていきます。
前回は佐内正史氏の「生きている」という写真集で、今日はホンマタカシ氏の「東京郊外 TOKYO SUBURBIA 」という本です。
本はこちらです。
感想
非常に見応えのある写真集でおもしろく、郊外感をうまくすくって切り抜いているなと感じました。
特に印象に残った点は以下の通りです。
・開発した土地に突如たたずむ住宅地・マンションの風景
・郊外感といえば飲食チェーン店。特にマクドナルド。捨てられたゴミも含めて。
・良い意味で洗練されていない、無垢な小児、ヤンキーフレーバーが漂う学生〜20代
・都心のビル街を羨望するような風景写真。
・本がデカイ!ページが厚い!
以下に各項目について、述べていきます。
開発した土地に突如たたずむ住宅地・マンションの風景
これはアルアル言いたい。
キレイに区画分けされた、いかにもな計画都市の風景。
これから新たに建設されていくであろう緑が生い茂る空き地=住宅予定地。
このバランスが私のイメージの郊外感をくすぐります笑。
なんというか、建物と緑の「境界線」が激しいんですよね。バシッと分けられている感じ。
あと、本写真集にもあるように、マンションとかアパートの入り口や敷地でヤシの実っぽい、南国っぽい木を生やすの、なんでなんでしょうね。
加えていえば、だだっ広い駐車場も、郊外の風景アルアル。
雪が降った時の写真は、住宅予定地の広大な感じが伝わってきました。
郊外感といえば飲食チェーン店。特にマクドナルド。捨てられたゴミも含めて。
飲食チェーンの写真が印象的に使われています。
ケンチキ、ジョナサン、サブウェイもうつっていますが、やはりマクドナルド多めです。
あと面白かったのが、明確に「マクドナルド」と「マクドナルドにいる人」を撮り分けている点です。
24時間空いていることを表現している時間帯が異なる4枚の組み写真がありますが、そこに人は全く写っていないんですよね。
でもマクドナルドにいる人を撮っているときは、「マクドナルド」という記号がわかるようにしつつ、窓越しに人にピントをあわせて撮っているという。もちろんうつっているのは、ヤンチャ臭がする若者という。
あとは、マクドナルドはただハンバーガーを食べる場所という意味だけでなく、近くの駐車場に落ちているゴミも含めて、「マクドナルド」という概念・記号だと感じました。
駐車場でくっちゃべってたであろう数人分のゴミが散乱しているのが、夜の溜まり場感を想起させます。
良い意味で洗練されていない、無垢な小児、ヤンキーフレーバーが漂う学生〜20代
洗練されていない若者は主に2種類で、それぞれ特徴がありました。
1. 小学生あたり:なんか無垢。ゲームに興じているあたり。
2.中学、高校生〜20代:ヤンキーフレーバーが漂う。主に長髪、眉毛、目つき。
でも写真をとらせていると考えると、きっと根っこは素直な人たちなんでしょうね。
田舎アルアルの、することない→グレる、という法則。
でも、本写真集は「グレる」とは違う印象で、どっちかというと「色気付く」なのかなと。
都心のビル街を羨望するような風景写真。
この写真が非常に好きです。
あえて手前に柵かなにかを写すことで、「こちら感」「from 郊外」をあらわしていて、海の向こうに「高層ビル=都会」が見えているという。
なんというか都心への憧れのようなものを感じました。
逆に、都心に憧れないなら見ないですからね。
それと、個人的な感覚としては、海を隔てていることで、今いる場所=郊外に対する「閉塞感」も感じてしまいました。
人によって、見方が変わってくるかもしれませんね。
本がデカイ!ページが厚い!
最後に、そのままですが、デカイ!
めちゃ重かったです笑。
ただの深読みですが、郊外のだだっ広さ、広大さを意識して、写真集もデカめなんでしょうか。こういった製本のところの意図を考えるのは難しいです。。
ページも厚みがすごく、これも郊外感?と思いながら、めくっていました笑。
まとめ
以上まとめます。
・計画都市と住宅予定地や緑の整理された感じやコントラスト、境目が特徴的
・マックは郊外感を表す「記号」。時間推移やゴミなども含めて。
・大人になるとグレがち
・都心への羨望が潜んでいる
・本の大きさも郊外感を表している?
再び感想
見応えのある写真集で、郊外の特徴をうまくすくって切り抜いていました。
ただし、写真集全体を通した意味があるはずで、私はまだそれを拾えてないので、まだまだ見る目を養っていかねばと改めて感じました。日々精進。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!