植田正治の写真集「植田正治作品集」は写真のお手本。表現、構図、余白の学び。
どうもgucchon(@gucchon07)といいます。
今日は、写真家の太祖である植田正治(うえだしょうじ)先生の写真集「植田正治作品集」についてです。
植田先生は、1930年後頃から活躍しており、鳥取砂丘などでの秀逸な構図かつ前衛的なモノクロ写真が有名です。
しかし、後年はカラー写真による表現や静物にもチャレンジしていきます。
2000年に亡くなったのですが、植田先生が残した功績は計り知れません。
今日は「植田正治作品集」についてレビューします。
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感想
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主な感想は下記の3点です。
・前衛的かつ秀逸な構図、特に余白がすばらしい
・氏の出身地である鳥取砂丘での写真が印象的
・カラー写真ではモノクロ写真とは異なる捉え方
以下、それぞれについて、簡単に書いていきます。
前衛的かつ秀逸な構図、特に余白がすばらしい
かなり「表現的」というか、「前衛的」な写真が多いです。
例えば、それは表紙になっている「少女四態」しかり「船」しかり。
少女四態では、4人の少女が、平面的には等間隔に並んでいるものの、奥行きやポージングはそれぞれ異なり、バランスとアンバランスのハーモニーがすごいです。
「船」では、ロープや船の傾き、船員の、ラインの巧みさが際立っています。
秀逸な構図と感じるのは、「余白」の使い方が絶妙であることが理由の一つです。
題名不詳の人の足を写した写真など、余白を生かすことで、「上品さ」であったり「動き」だったりを想起させます。
また、全力で横向きにジャンプしながら、顔はカメラを向いているセルフポートレート「ジャンプする僕」。あまりにもひょうきんな笑顔で飛んでいるので、みたとき笑ってしまいました笑。
こういった表現方法や構図の観点から、非常に「前衛的」な印象を感じました。
今みても、そう思うので、当時にしたら、よりインパクトがあったのではないでしょうか。
あげたのは一例ですが、それ以外の写真を一つ一つじっくり見ていくと、実際に撮るまでに、配置やバランス、構図などを徹底的に考えていることが伺えます。偶然性というよりは、必然的な写真が印象的です。
氏の出身地である鳥取砂丘での写真が印象的
特に活動初期など、鳥取県出身ならでは、鳥取砂丘で撮った写真が多いです。
身近なところをテーマに、アイディアで勝負する姿勢に感動しました。
それと、砂丘って、無駄なものが入り込まないのが良いですよね。
被写体に注目がいきやすいというか。
砂丘での写真は、より植田先生の「余白」の使い方を学ぶ事例となります。
カラー写真ではモノクロ写真とは異なる捉え方
モノクロ写真が有名ですが、1970年くらいからはカラー写真の作品も掲載されていました。
「木馬」や「遠い日」「晩夏」など、カラーであることを生かした写真です。
例えば、晩夏は、手前にある白馬のお尻と尻尾にピントを合わせ、背景に茶色の土、草の緑、青い海?空?という3色が鮮やかに、良い水平線を保ちながら、配置されています。
おそらく、モノクロ写真では、この感じを出すことは難しいです。
木馬という写真は、ウイリアム・エグルストンの三輪車をイメージしてしまいました笑。日本版「ニューカラー」的な。
モノクロ写真も素晴らしいのですが、カラー写真も見事としかいいようがないです。
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まとめ
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・余白の使い方や前衛的な表現がすばらしい
・身近な鳥取砂丘をテーマとした写真は、より余白を感じさせる
・モノクロ写真だけでなく、カラー写真もすごい
総じて、「写真の教科書」といっても過言ではないです。
一読ならず、何回読んでも面白い傑作でした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
*本日の写真集 植田正治「植田正治作品集」