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生物学上の「同性愛」とは

マット・リドレー著「赤の女王」は性差に関する興味深い知見多く、これまで本ブログで「オスとメスがあるのは感染抑止のため」「オスの異形は性淘汰が目的」「不倫が多いのはオスがより多くのメスを求めメスはより質の高いオスを求めるから」を紹介しましたが、今回は「同性愛」に関しても興味深い知見を紹介。

◼️ゲイはより多くの男性を求め、レズビアンはより質の高い女性を求める
同性愛者でも「性の原理=男(オス)は数を求め、女(メス)は質を求める」は裏付けられている。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のドナルド・サイモンズによると

キンゼー協会がサンフランシスコのゲイを調査(1979年=エイズ到来前)した結果、ゲイの75%は100人以上のパートナーを、25%が1,000人以上のパートナーを持っている

→「エイズ到来前」というのが大事で、エイズ到来後は死の恐怖から量を求める傾向は減少したのかもしれない

多くのレズビアンは、パートナーの数が生涯で10人に満たない

という。ゲイが多くのパートナーを持つのは、男が女の性の原理(女は質を求める)に束縛されず、男の性の原理(男は数を求める)のみのパートナー関係になるため結果としてパートナーが増える。レズビアンの場合は逆に「質を求める」のみのため、パートナー数が少ない。

◼️男が胎児の時にテストステロンの刺激が少ないとゲイになりやすい
男が胎児期に男自身が分泌するテストステロン(アンドロゲンの一部)によって男は男性らしい形質や性質を身につけるが、

イギリス、アメリカ、ドイツで行われた研究のどれもが、生まれる前にテストステロン不足に見舞われると、男性が同性愛になる可能性が増すことを確証している

また、極度の非常時に受胎・出産された男性に同性愛が多いらしい。これも非常時に分泌されるストレスホルモン=コルチゾールを増産するために、母体から供給される同じ原料を使うテストステロン(男の胎児自身が生産)の分泌が減ってしまうからだそう。

◼️同性愛者は、異性の性質を持ちやすい
テストステロンが多い=男性、少ない=女性、という性差が生まれるので、ゲイの場合はテストステロンが少ない要因から男性の脳が一般に得意な物事をゲイの脳はしばしば不得意とする。

性の原理とは矛盾するが、例えば男性脳は「狩猟が男の役割」ということもあって、空間的作業が得意だが、ゲイの場合は空間的作業が苦手らしい。

◼️ゲイ遺伝子
双生児研究によれば、ゲイ遺伝子があるのは明らか。遺伝学では、一般に一卵性双生児(遺伝子が同じ)と二卵性双生児(遺伝子が半分同じ)の違いによって遺伝の影響があるかどうか、をチェックするが、二卵生双生児の一致率が25%に対して一卵性双生児の率は50%と明らかに遺伝の影響がある。

それではなぜゲイは子供を生まないのに、ゲイ遺伝子は存続しているのか? これは未だ不明らしい。憶測レベルの仮説としては、ゲイ遺伝子を女性が受け継ぐと女性の繁殖力が、男性が受け継いだ場合の繁殖停止のマイナスを上回っているので、そのままゲイ遺伝子が継承されているのでは、という仮説。

ただし、2019年のBBC記事によると最近の研究では「ゲイ遺伝子はない」という研究も。

ということは、男が胎児期にテストステロン刺激が少ないというのは「遺伝というよりも胎内での何らかの環境によって」ということになるが、これも一卵性双生児よりも二卵生双生児の方が相関が低い、という結果と矛盾する。

また、脳科学的にはゲイの男の脳の「前視床下部間質核」(ぜんししょうかぶかんしつかく)はストレート(異性愛)の男よりもサイズが小さいらしい

が、これも遺伝ではなく環境的要因に基づくテストステロンの影響という結果か。

まだまだ不明な点もあるというのが興味深いが、いずれにしろ人は

「生まれる前に同性愛かどうかが決まっている」

というのは定説といっても良いかもしれない。

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