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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2023年12月の記事一覧

「京都の風土」なぜ金閣は燃えたのか?『金閣炎上』

<概要>金閣寺を放火した犯人の修行僧、林養賢が、犯罪を犯すに至るその背景を出生から親子関係から、師弟関係まで精密な取材をもとに描いた小説的なスタイルをとったノンフィクション。 <コメント>梅原猛著『京都発見』で、金閣寺の放火に関しては、三島由紀夫の『金閣寺』よりも水上勉の『金閣炎上』を読むべし、と書いてあったので、遅ればせながらエジプトからの帰国後に読了。 本書は、金閣炎上に至るその要因もとても興味深いのですが、むしろ、昭和初期から戦後にかけての京都の寺院や丹波地方の社

「エジプトの風土」『古代エジプト全史』河合望著

<概要>先史時代から古代ローマ帝国に至る、約3000年の歴史を網羅的に扱った、2021年著述=最新の古代エジプト全史。 <コメント>先日、9日間のエジプトツアーに行ってきたのですが、ツアーで観光した文化遺産は、ムハンマド・アリー王朝のムハンマド・アリー・モスク(1848年)、ナセル大統領のアスワン・ハイ・ダム(1970年)を除いては、3000年続いた古代エジプト時代:BC3000〜BC332の遺跡オンリーです。 *初期王朝(第1〜2) →古王国(第3〜6)ピラミッド →第

「エジプトの風土」『エジプト近現代史』山口直彦著 読了

<概要>エジプトの近現代史を学ぶには最良の著書。啓蒙主義の価値観をベースにしつつ、日本などと比較もしつつの客観的かつ論理的に歴史の事象を時系列に従って記述されている点などは非常に好感が持てる。 <コメント>イスラーム教勉強の流れで、昨年11月のカタール、今年5月のトルコに続き、同じイスラーム圏の国家エジプトツアー参加にあたり、エジプト関連著作をいくつか通読中。 中でも本書はエジプトの近現代史を理解するには最良の著作でした。 本書のあとがきが、2011年の「アラブの春」