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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2021年11月の記事一覧

大阪の風土:大阪市のエリア分析(核心編)

大阪中心街は、かつては大阪三郷と言って「北船場・南船場」と、日本一長い商店街がある風情ある天満で、大阪の2大繁華街であるキタとミナミは、町外れの墓地と処刑場でした。 ■大阪三郷大阪城を中心に台地の麓に広がる大阪三郷は、もともとあった秀吉の区割りをベースに徳川家康の外孫にあたる松平忠明が、大坂冬・夏の陣で戦災に遭った大阪の復興によって誕生した大阪の街並み。 (北浜の綿業会館:2021年11月撮影。以下同様) 忠明は、大坂夏の陣で荒廃した大阪を復興させるため、烏合霧散した町

大阪の風土:大阪市のエリア分析(上町台地編)

大阪市をエリア分析したところ、下図のようになりました。中沢新一著「大阪アースダイバー」をベースに自分が実際に自転車で巡って実地見聞してきた結果です。 地元の方にとっては当たり前かもしれませんが、大阪非居住者から大阪を把握する場合「こんな感じでイメージするとわかりやすいのでは」と思います。 今回は上町台地について。 ■上町台地の先端以前、本ブログで述べた通り、大阪市のキモは「上町台地」、特にその先端。 上町台地の先端には、坐摩(イカスリ)神社&浪速神社(かつては一つだっ

大阪の風土:人口分布編

大阪の人口分布について、興味深いのは昨今の都心回帰という世界的な都市化現象に比べ、都心に低所得者が多く郊外に高所得者が多いという、未だインナーシティ問題(※)が残存していること。以下その詳細について。 ※インナーシティ問題 都市が拡大する過程で都市の中心市街地の住宅環境が悪化し,夜間人口が減少して,都市空間としての機能が低下する現象 ■東京23区よりも低い大阪市の人口密度2015年国勢調査によれば、大阪都構想で解体されなかった大阪市の人口は275万人と10年前より2.4%

大阪府の風土:環境編

■大阪の気候(気象庁のデータより) 大阪市は、全国平均と比較すると真夏は酷暑になるものの、冬は温暖で1年中雨が少なく日照時間が長い暮らしやすい土地。 大阪市の夏は平均気温29℃(2020年、以下同様)と、福岡市(28.1℃)などと比べても暑さが厳しい一方、冬は最低平均6.1℃(1月)と高め。平均気温も日本平均の16.5℃に対し、17.1℃と全般的に気温は高い。ちなみに隣の奈良市と比較すると、奈良市は盆地のせいで最低気温が1月0.1℃と大阪市と6℃も気温差があり「生駒山地を

古墳にみる「事実の歴史」と「価値の歴史」

歴史には「事実の歴史」と「価値の歴史」があります。何度かココでも紹介しましたが、大阪府を実地見聞していると、何度もこの問題に突き当たります。 ■事実の歴史=歴史学のこと 啓蒙主義に基づく、誰もが納得できる事実に基づいた人文科学としての歴史学。 ■価値の歴史=神話や各種創世記・宗教の経典や近代以前の歴史書のこと 歴史上の出来事をベースに、何らかの価値観や物語に基づいて創作・編集した歴史。著者の意図に即して展開するよう、その意図と矛盾する、あるいは都合の悪い事実については言及