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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2021年8月の記事一覧

「アレクサンドロス大王」澤田典子著 書評

<概要> 数多の伝説に彩られたアレクサンドロス大王(三世)に関して、歴史学的手法による最新の研究成果に基づき、その実像を可能な限り手繰り寄せると同時に、それぞれに時代や地域においてアレクサンドロスがどのように解釈されてきたのか紹介した著作。 <コメント> 数あるアレクサンドロス大王に関する著作の中で本書を選択したのは、最新の出版でなおかつ著者が現役のギリシア研究者かつ、自分と同世代の方だから。 歴史学は新しい発見や解釈によって、その史実はどんどんアップデートされるため現役

「学問としてのオリンピック」 書評

<概要> 高度に商業化した今日のオリンピックを、古代オリンピック、近代オリンピック双方の思想・歴史を主に、教養としての知の文脈の中で捉え直した著作。 <コメント> オリンピックボランティアとして参画したTOKYO2020ですが、そもそもオリンピックってどんなイベントなのか、その由来を知りたくて本書を手に取りました。 ボランティア研修でよく聞かされた「オリンピズム」だとか「オリンピックムーブメント」といった概念は、正直いって「上滑り状態」でそんなの理解して活動してる人いるん

「歴史」に学ぶために

歴史を学ぶにあたっては、以下の視点に基づき整理すると、より納得性の高い歴史評価が可能になり「知の悦び」に繋がっていくではないかと思っています。 ⒈事実の歴史=史実の視点これは、その時代ごとにどのような事象が起きたのか?政治・経済・社会・文化・自然環境などのジャンル別に一次史料に基づき、記述していく。 事実といっても、研究者たちの関心のある視点・見方によって取り上げる事象は、大きく変わっていきます。したがって我々のような素人は、一次史料に基づいて作成された複数の研究者たちの