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日本とは何か?

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日本列島における人間の営みについて思想を軸にした書評中心のライティング。
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#地球科学

「日本列島100万年史」書評ー列島編

<概要> 最初にプレートテクトニクスから入って全体の説明をした後、日本列島を「北海道」「東北」「関東」「近畿」「中国・ 四国」「九州」の5つのエリアに分けて、エリアごとの地球科学的な地形の成立にまつわるエピソードを紹介したブルーバックスシリーズ。 <コメント> 地形学は地理学なのか地球科学なのか微妙なところですが、地理学自体はサイエンスとカルチャーをクロスオーバーした最も興味深い学問の一つであることには間違いありません。 まず地形そして文化、という順番で人間社会を俯瞰す

日本列島百万年史 「関東編」

◼️関東平野はなぜ日本最大の平野なのか 徳川家康が秀吉の命令で江戸に来るまで、関東平野、特に江戸の辺りは大湿地帯で洪水も多く、人の住めるような環境ではありませんでした。街道も、相模国(神奈川県)から東京湾を渡って上総に入るルートが昔のルートで、だから今の千葉県も上総→下総という順に日本の中心だった関西からみれば、このような順番になっていたのです。 ところが家康がこの広大な大湿地帯の開拓に成功して以降、日本の第二の中心となり、明治時代以降は、日本の首都となって、今は日本の人口

日本列島100万年史 「中部編」

■富士山はどうして美しいのか? 富士山は、紐や鎖などの両端を持って垂らした時にできる「カテナリー曲線」と呼ばれる曲線状の斜面を持った成層火山 だから。 火山はマグマの噴出によって形成されますが、マグマはシリカ(二酸化珪素)の成分(※)の割合によってその性格が決まります。 富士山はシリカが少ないために粘り気がない「玄武岩質マグマ」となり、噴火のたびに緩やかに流れて、ちょうど溶かしたチョコレートを山の上から何重にも垂らしてかけたようになるので、美しい「カテナリー曲線」とな

「日本列島100万年史」 近畿・中国・四国編

「日本列島100万年史」、遅ればせながら近畿・中国・四国地方の形成史を整理しました。ポイントはフィリピン海プレートの斜め沈み込みです。 近畿・中国・四国地方は、フィリピン海プレートが西北西に向かって斜めに沈み込むことで、太平洋側が西に移動し、日本海側が東に移動して、①右横ずれが起きて中央構造線が形成され、中央構造線につられて雁行状にシワが寄り、②近畿地方に山地&湖盆、中国・四国に瀬戸内海が作られ、③太平洋側に岬(潮岬・室戸岬・足摺岬)が形成されました。 ①中央構造線 四国