【CLE】Carlos Carrascoとマイナー契約
お疲れ様です。いつも読んでいただきありがとうございます。Windiansです。
今年に入ってからスプリングトレーニング招待付きのマイナー契約ばかり結んでいたガーディアンズですが、その中でネームバリューのある功労者、Carlos Carrascoと再び手を取り合うことになりました。既にリークされていましたが、チームから正式に発表がありましたので、今回はその紹介になります。
1. 契約内容と印象
契約内容は以下の通りです。
メジャー昇格で年俸が変わるスプリット契約
昇格した際の年俸は$2M
スプリングトレーニング招待付き
FA取得年であった2023年シーズンは、20先発はしたものの大幅に成績が悪化していました。今オフFAとなった選手の中で同年代、ダウンイヤー、右の先発という共通点があったCorey Kluber、Johnny Cuetoがまだ契約に漕ぎ着けていないところをみると、Carrascoの元にも契約の話が来ていなかった、もしくは届いたオファーが希望するものではなかったのではないでしょうか。
ガーディアンズ側からの目線では、実績十分な先発をほぼノーリスクで契約できたのはとても良い動きだと思います。今年のガーディアンズ投手陣は30代が他にBen Livelyしかいないくらい若い選手がひしめいているので、メジャーに昇格できたらプレー面だけでなく投手陣のまとめ役としても期待しているようにもみえます。そもそもLivelyすら開幕まで残れるかも怪しいし…
キャリアの晩年が近づいてきたCarrascoには、長年慣れ親しんできた地でもう一度投げるという願いがありました。同程度のオファーが他球団から来ていたなら拒否した可能性が高いですが、メジャーの枠の確約がなくても合意したということは、それほどまでに本人の中で古巣に復帰することの優先順位が高かったのだと思われます。
2. 今後のCarrascoについて
Carrascoが復帰したことは非常に喜ばしいですが、現時点ではまだスタートラインに立ったばかりです。マイナー契約ですから、当然メジャーの枠が確保されているわけではありません。
まずはスプリングトレーニングで、他の投手と開幕ロースターの枠を競うことになります。先発ローテーションはけが人が出ない限り既に固まっており、ショートイニングのリリーフも去年と陣容がほぼ変わっていません。よって、恐らくロングリリーフのポジションを狙うことになるでしょう。対抗馬は以下の通りになります。
Xzavion Curry:先発・リリーフ合計でチーム5位の95イニングを消化
Hunter Gaddis:昨季リリーフ時に10.2回を防御率2.53
Ben Lively:メジャー契約のため、現時点ではCarrascoより優先順位が上
特にCurryは敗戦処理から一時期ハイレバレッジな場面を任せられるほど信頼を得ていたので、そう簡単には場所を奪うことはできません。現実的な路線としては、マイナースタートで怪我や不振でスポットが空くのを待つことになると思われます。
3. 「Cookie」とは
Carrascoはファンから「Cookie」と呼ばれています。契約ポストにも彼の顔の周りにクッキーが散りばめられていました。ではなぜ彼の愛称はCookieとなったのでしょうか。
2016年のスプリングトレーニング中に公式アカウントを使い、ファンの質問に答えていました。
Carrascoは2010年の9月からインディアンズの先発ローテーションに定着し、翌年のスプリングトレーニングはまだチームに馴染み始めているところでした。投手陣の中では2番目に若かった彼がうまく溶け込めるよう、当時クローザーを務めていたChris Perézが呼び始めたところから広まったようです。そのまま活躍するにつれて、愛くるしい笑顔とともにファンにもこの呼び名が定着していきました。
4. おわりに
2章でも書きましたが、現時点ではあくまで組織に戻ってきただけで、まだガーディアンズでは投げていません。胸元に「CLEVELAND」の文字を纏ったグレーのユニフォームに袖を通し、プログレッシブ・フィールドのマウンドに立った時が本当の「帰還」だと思います。
Carrascoとクリーブランドの人々とは切っても切れない関係で結ばれています。
2009年から20年までの在籍12年間で、Carrascoは多額の寄付や病院訪問といった慈善活動を数多く行ってきました。彼の行動によって救われた人は数知れません。そんな彼が2012年にトミー・ジョン手術を受けることになったとき、人々は彼を諦めず、復活を待ち続けました。そして2019年に白血病にかかったときも、彼らは球場に集まり、「Stand Up For Cookie」と印刷された服を着て彼を支えることを表明しました。選手に温かいクリーブランドの人々でしたが、なかでもCarrascoへの愛は一際大きいものがありました。
そんな彼がトレードでFrancisco Lindorと共にチームを去って以来、3年ぶりの復帰まであと少しのところまで来ました。酸いも甘いも経験したマウンドに戻ってきたとき、満員の観衆から温かい大歓声を受ける姿を目に浮かべながらこの記事を締めます。
参考記事