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【CLE】なんか強いガーディアンズ【15勝1番乗り】
お疲れ様です。いつも読んでいただきありがとうございます。Windiansです。
ガーディアンズの勢いが止まりません。開幕直後からあれよあれよと勝ちまくり、気がつけば勝率でメジャートップに躍り出ました。開幕前の予想では軒並み地区3位以下、勝率も良くて5割前後と低評価でしたが、今このチームに何が起こっているのでしょうか。
1. チーム成績
まずはメジャー30球団の中でどのくらいの成績を残しているか確認します(数字は現地4/23時点)。
野手
・スラッシュライン .257/.326/.408(8位/8位/7位)
・22ホームラン(16位タイ)
・175三振(5位)
・65四球(28位タイ)
・19盗塁(9位)
・wRC+ +115(5位)
投手
・防御率 3.03(4位) / FIP 3.66(7位)
・209奪三振(8位タイ)
・K/9 9.45(4位)
・85四球(21位タイ)
・BB/9 3.84(24位)
・18被本塁打(7位タイ)
・HR/9 0.81(8位)
パッと見た感想は、野手は「パワーレスだったはずなのに長打がやけに多いな」、投手は「ずいぶんコントロールが怪しいけど三振でカバーしてそう」といったところでしょうか。特に投手の奪三振数は、近年のガーディアンズ投手陣と比べると見違えるように良くなっています。
野手が点を取って投手がそのリードを守るという理想的な展開ができていると予想できますが、メジャーで一番勝っているとひと目でわかるような突出した指標はありません。それでもここまで勝てているのは、次のような強みを発揮しているからだと考えられます。
2. 強み
2-1 1~4番で荒稼ぎ
打線の好調を支えているのは、ほぼ固定されている上位打線です。
1番Steven Kwan、2番Andrés Giménez、3番José Ramírez、4番Josh Naylorは、開幕から休養日を除いてほぼ固定されています。1,2番で出塁し、不調ながら打点は稼いでくれるRamírezが繋ぎ、Naylorが「残ったランナーを一掃する」という流れができています。特にNaylorが昨年のアベレージフォルムを残しつつ、そこにパワーを融合させられたことで手がつけられなくなっています。
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対照的に5番以降が物足りない成績ですが、好調なDavid Fryがスタメンの日、Gabriel Áriasに当たりが出ている時期といった単発でハマる日が来ると、更に盤石な展開を披露できています。
2-2 フル回転のリリーフ陣
先ほどの成績紹介で投手はなかなかいい出来でしたが、これはリリーフ陣がかなり貢献しています。
・防御率 2.05 / FIP 2.67(2位/1位)
・110奪三振(1位)
・K/9 10.72(3位)
・34四球(10位タイ)
・BB/9 3.31(11位)
・4被本塁打(1位)
・HR/9 0.39(1位)
平均以下だった四球の数もメジャー上位の少なさで、他の指標はほぼ全てトップと圧巻の成績を残しています。
ブルペンは昨年からはトレードやケガで半分近く入れ替わり、開幕前の時点では最も不安なポジションでした。それが蓋を開けてみればバウンスバックや躍進のオンパレードで、不安要素はScott Barlowの球速低下くらいという圧巻の出来です。特に、40人枠外から開幕ロースターを勝ち取ったCade Smithと元巨人のTyler Beedeは、それぞれ快速球と新球スプリッターを駆使して、高い奪三振能力を発揮しています。便利屋ポジションではありますが火消しにも躊躇なく使えるので、継投の順番をあまり気にせず誰でも投入できるのが強みとなっています。そのおかげで、現地4/23時点でリリーフの8人中7人が10.1~12.0回の間に投球回が収まっています。
また、Stephen Vogt監督が他球団より先発の球数制限を緩めるペースが遅く、かつ全員出来が不安定なため、彼らを早めに出さざるを得なくなっていることも、結果的に勝ち星を落とさずにこられた要因になっています。なんとか負担は分散させていますがそれでも登板過多気味になっているので、今後も勝ち続けるにはこのあたりの管理が重要になってくるでしょう。
2-3 Austin Hedgesの帰還
We have signed C Austin Hedges to a one-year Major League contract.
— Cleveland Guardians (@CleGuardians) December 15, 2023
To make room on the 40-man, we have designated 1B Alfonso Rivas for assignment.
Welcome back, Hedgey! 😌#ForTheLand pic.twitter.com/8YjPSj8W6L
成績面では以上のとおりですが、クラブハウスにも立役者がいます。
ガーディアンズはとにかく若い選手を中心にチームを構成していますが、昨年はAustin HedgesがFAで抜けたことで、まとめ役の選手が誰も居なくなってしまいました。若いチームは勢いに乗ると2022年のガーディアンズのようにどこまでも勝てるような感覚でプレーできますが、一度崩れると立て直しが非常に難しいです。RamírezやNaylorはプレーでチームを引っ張ってくれますが、若い選手たちを支えるにはプレーで背中を見せるだけでは足りませんでした。戦力層の薄さも大きかったですが、昨シーズンガーディアンズが沈んだ要因のひとつはこの点でした。
今年の彼の役割は控え捕手のほかに、クラブハウスのまとめ役と若手捕手のメンターの2つも任されています。そして開幕してすぐですが、早速その役割を果たしました。
4/9のホワイトソックス戦、ガーディアンズは序盤に負った5点のビハインドを中盤には帳消しにしていました。そこにはベンチで声をかけ続け、絶対に諦めない雰囲気を作ったHedgesの功績がありました。
Even with a 5-0 deficit, the Guardians took Austin Hedges' message to heart and battled to tie the game up. Bo Naylor describes what that does for the clubhouse. pic.twitter.com/HZ5UOdIysm
— Bally Sports Cleveland (@BallySportsCLE) April 10, 2024
この試合は結局勝ち越されて負けましたが、翌日も同じような展開になったところをしっかり逆転し、そのまま勝ち切ることに成功しました。
4/9の敗戦から残りのホワイトソックス戦とヤンキース、レッドソックスを相手に8勝3敗と大きく勝ち越し、ホームに戻ってアスレチックス戦を迎えました。ここでHedgesはこの3連戦を「罠となるシリーズ」だと言い、ここまで負け越している相手だからと気を緩めず戦うよう伝えます。選手たちはこれに応え、見事アスレチックスをスイープしてメジャートップの勝率を維持しました。
積極的に他の選手と話し、クラブハウスの雰囲気をコントロールしてチームが崩れないようにする。これはまさしくVogt監督とフロントが契約時に彼に期待していたことです。打撃は相変わらずからっきしで得意の守備も出番が少ないですが、今は打率やWARなどといったプレーでの数値に表れないところでチームに貢献しています。今の野球界はデータの活用が席巻していますが、プレーしているのは人間であり、メンタルの持ちようだけでも成績に大きく影響を与えます。彼がいるだけで若い選手たちを落ち着かせ、この好成績に影響を与えることに成功しました。
3. 今後の展望
まだシーズンは2割も終わっておらず、このスモールサンプルだけで今年はメジャートップクラスのチームだと言い切るのは早計です。貯金は二桁作っているものの、楽な試合展開は少ないのも事実で、どこかで調子が落ちてくるでしょう。そこでミスを少なく抑えて踏ん張れるかが今後の鍵になります。
それでも今のチームは地区優勝した2022年の雰囲気と酷似しています。当時の成功体験を持つ選手はまだ多く残っているので、2年前から成熟した選手たちによって2年ぶりの地区優勝がもたらされる可能性は高いでしょう。
参考記事