イヤなことを直球で告げてくれた上司
「年齢的には昇格試験を受けられるタイミングだけど、他の(若い)人を優先させるよ。一二年遅れたところでたいしたことないよ」
文字で書くとぶっきらぼうに見えるかもしれないが、その時上司は納得のいくように告げてくれた。もうずいぶん前の話だ。こういう件は最も話しにくい内容のひとつだろう。嫌味なく、大げさでもなく、それでいて軽視することなくきちんと伝えてくれた。
後に別の上司は面接時に、「うつだったから昇格が遅かったんだね、みんな(他の管理職)が言ってたよ」と今なら「危険球」のようなことを平気で言った。
入社後数年で希望していた部署に就き、多い時には月に三度も海外出張したこともあった。今のような「働き方改革」ではありえない深夜残業もあったが、全く苦にならなかった。知りたいことも、やりたいことも多かったし、何しろ楽しかった。
終電近くなってせっかく会社を出たのにそのまま飲みに行ったことも一度や二度ではない。それでも翌朝8時半には元気に出社していた。
うれしいはずだったし、頑張れるはずだった。だがいつしかぎくしゃくしてしまった。
うつ病社員は通常「腫れ物に触る」ような気づかいを受けるか、さもなくば前述の「危険球」を投げつけられるかという頃、冒頭の上司の対応には今でも感謝している。
もし今、自分に部下がいたとして、同じような境遇になった人がいたら、本人の意思を尊重しつつも、職場の規則や厳しい現実や処遇を説明することができるだろうか。
(できないだろうな)
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