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あ、それに日本酒と煮込みもね

今年は参った。

昨年末に区の健診を受けたら、血液検査でこれまで全く馴染みのない数値が突出していた
今年に入り郵送で届いた知らせには精密検査を促す内容が赤い大きな文字で記されていた。近所のクリニックへ行き、再度血液検査、所定の機関でCTなどの指示が出る。その結果を見た医師は断言こそしないものの、あるがんの「ほぼ当確」を告げた。

次の指示は総合病院での生検だった。「ほぼ当確」を「当確」とするためだ。どうしても一泊二日にはなる。まだ妻には言いにくかったがしかたがない。大病院は「じゃあ来週」というわけにはいかず、検査入院は二カ月経ったあとだった。それから結果を告げられるまでの二週間は何とも耐え難い気分に、まんじりともしない日が続いた。多少自暴自棄にもなった。だが結果は「落選」だった。

心の底から安堵した。検査結果を隣で聞いていた妻は泣き出しそうだった。泣きたいのはこっちだぜ。次の瞬間、近所のクリニックの医師に対しては「ビビらせやがって」という憤りも感じた。

普通はそんな経験をすれば、健康まっしぐらに向かうべく食事、睡眠、運動と気を付けるのが当たり前だが現時点では不健康に向いている。「ゴール」を確実に意識した結果、酒も、美味いモノも賞味できるときにしておきたいという、非常にあさましい考えが今は勝っているからだ。人間って(俺って)弱いね。
美味いモノといっても高級食材ではない。きちんと出汁を取った味噌汁とか、味のする野菜とか、米とか。あ、それに日本酒と煮込みもね。

健康体は維持(できるなら)するものであって、元に戻るということは絶対にない。人が生まれ持った四百四病。付き合い方を考えるしかない。

さて、忘年会。

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