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君に贈る火星の
君はいつも空ばかり見てる。何をそんなに見ているのと聞くと、「火星」と答える。
「火星好きなの?」
「うん」
「どこが?」
「きらきらしてるとこ」
そんな話をしていた事を思い出した。
君が不慮の事故で亡くなってからもう3年は経つ。
僕は死んだ君の為になるかはわからなかったが、火星に行こうと思い立った。
民間でも宇宙へ行ける様になった今では、飛行訓練を重ねて1年後には行ける。
ーそれから一年後
「ここが火星か、何もないな。」
あるのは砂で出来た山とゴロゴロと転がっている石位だった。
「すみません、ここにあるこれ一つだけ持って帰っても良いですか?」
そうして手に入れた、君に贈る火星の石がそっと墓石の前には置いてある。
君は好きだった火星に近づく事が出来たかな。