マスカレード・ナイト 備忘録

Amazon Primeに来ていたのでマスカレード・ナイトを視聴しました。

自分の中でいくつか気になったところを備忘として挙げていきたいと思います。ネタバレを含みますので悪しからず。

ホテル側は、わざわざ新田に言われるまで殺人が起きる可能性を考えなかったのか?

本編の序盤は「人を信じる」ホテル側と「人を疑う」警察側の対立を描き、新田の一言でホテル側と警察側がある程度和解していく、という筋書きでした。「例え殺人犯であっても、当ホテルに来たお客様は信じるに値するため、疑うような行為は認められない」と述べるホテル側に対して、新田が「今日ここで殺人事件が起きるかもしれない」と告げることで、ホテル側がある程度捜査に協力する流れとなります。
 ここで疑問に思うのは、ホテル側はホテルでは殺人が一切行われないと思っていたところです。警察側はホテル側に対して最低でも「数日前に殺人を起こした犯人がこのホテルで泊まるという情報がある」という情報は渡しているはずです。そして、それに対するホテル側は「その犯人が他のお客様に対して危害を加えるか」を気にして、「犯行の動機は分かっているのか」を聞いているはずです。警察側は犯行の動機さえ分かっていない状態だったので、この犯人が他のお客様に対して危害を加える可能性は十分にあることをホテル側は認識していると考えられます。なのに、ホテル側は新田の発言を聞くまで、能天気に「殺人犯がただホテルで余暇を楽しみに来る」程度に考えていたのは何故なのでしょうかね。

年明けカウントダウンに合わせて山岸尚美と貝塚由里を殺すには、準備不足過ぎでは?

 本作の犯人である仲根緑は、強請をかけてきた貝塚と犯行の発見者である山岸をスタンガンで眠らせ、感電による殺害を行います。
仲根は、山岸の腕時計から年明けの時間を逆算しタイマーをセットするわけですが、実は山岸の時計は5分ほど時間がずれていて、新田が現場に到着した時点ではまだ二人は死んでいなかったという筋書きでした。
 ここで疑問に思うのが、元々仲根が年明けカウントダウンに合わせて感電死させる予定であるならば、なぜ自分で腕時計をしていなかったのか、ということになります。仲根は犯行以前にチャペルに赴き、そこに壁掛時計がないことを確認しているはずですし、腕時計をしている山岸が現場に来たのは想定外の事象だったはずです。
 となると、元々仲根は年明けカウントダウンに合わせて二人を殺すつもりは無かったのでしょうか。現段階で私が考えてる仮説は2つあります。

  1. 年明けカウントダウンに合わせて殺すつもりは無かった。

  2. 仲根は腕時計をしていたが、自分の腕時計の時間に自信が無くなった。

 1つ目は、年明けカウントダウンに合わせて殺すつもりは無かった、という仮説です。仲根がタイマーを使って殺人をする理由は、人が死ぬ瞬間を自分で見たくないという理由だと本編で説明されていました。であれば、わざわざ年明けカウントダウンに合わせて殺す必要は無いのですが、ちょっとした気の迷いによりタイマーを年明けカウントダウンにセットしたという可能性が考えられます。ちょっとした気の迷いが何であるかは、例えば、年明けと同時に殺したほうが美しい、とかそんな理由でしょうかね。
 そんな訳の分からないことをせずに、5分や10分のタイマーでさっさと殺してしまえば良かったのです。そうすれば、ダンスした後の新田に対して「もう死んでしまってるんじゃないでしょうか」等と絶望的なセリフを吐けたのに。勝ちを確信して歯茎を見せた仲根には少しがっかりです。

 2つ目は、仲根は腕時計をしていたが、自分の腕時計の時間に自信が無くなった、という仮説です。
 仲根は年明けカウントダウンに合わせて貝塚(と山岸)を殺す想定であり、腕時計をして現場に到着しました。想定外の山岸も無事スタンガンで気絶させた後、年明けカウントダウンに時間をセットしようとしたとき、仲根は気付いてしまったのです。自分の腕時計の時間と山岸の腕時計の時間がずれていることに。仲根は山岸がとても優秀なホテルマンであることを見ていました。そんな人の腕時計の時間がずれているはずがない。間違っているのは自分の腕時計の方だと・・・。そう考えた仲根はとっさにタイマーの時間を修正してしまい、タイマーが間違った時間にセットされたまま、仲根はチャペルを後にするのだった・・・。

 過去2度の事件で何の痕跡も残していない用意周到な犯人が、ちょっとした気の迷いで予定を変更するとは考えにくいので、2つ目の仮説が正しいのではないかと思っています。それだけ仲根にとって山岸は優秀に見えたということですね。

仲根緑がわざわざ不審な挙動を取る必要は無かったのでは?

 仲根は自分に対する容疑を完全に晴らすために、あえて不審人物を装い、その理由を詳らかにすることで犯人候補から外れようとしていました。
 でも、仲根がわざわざこんなことする必要ってありましたか?警察が犯人候補としてチェックしたのは「ホテルのチェックイン事項と当人の間に不審な箇所があること」と「練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」です。今回、仲根は不審人物を装うことで前者の理由で警察から容疑者にチェックされていましたが、仲根はこんな仕掛けをする必要はないのです。こんな手の込んだ仕掛けを行い犯人候補として認識されていないのであれば、犯人候補から外れ、割と自由に犯行を実行できたはずです。
 今回は、たまたま警察側が「仲根が練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」を発見できていなかったですが、もし警察側が「仲根が練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」を発見できていた場合、つまり、仲根が後者で疑われていた場合を考えてみます。このとき、仲根は犯人候補に挙がります。理由は「ホテルのチェックイン事項と当人の間に不審な箇所があること」と「練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」なります。その後、本編にあったように、新田と山岸の協力により「ホテルのチェックイン事項と当人の間に不審な箇所があること」の理由は取り除かれます。ただ、その状態になっても「練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」に対する容疑は残るのです。そりゃそうですよね。「ホテルのチェックイン事項と当人の間に不審な箇所があること」と「練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」にはなんの因果関係も無いのですから。
 つまり、仲根が犯人候補として残るかどうかは、警察側が「仲根が練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」を発見できるか否かであり、それ以外に疑念を抱かせるのは全くもって無意味、どころか自分への疑いを増やす危険な行為ということになります。そもそも新田が強行捜査をしなければ最後まで犯人候補に残ってしまい、犯行現場を抑えられていた可能性もあります。今回は、たまたま警察側が「仲根が練馬区での犯行現場の周辺に出没していたこと」を発見できなかったため犯人候補から外れたのであって、不必要な仕掛けをしたことは犯人候補から外れたことの何の理由にもなりません。

最後に

 他にも細かな気になった箇所はいくつかありましたが、結構簡単に消化できたものばかりなので割愛して、自分の中で消化に手間取った/消化出来ていない3件を挙げました。細かいことが気になると夜も眠れない・・・。

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