上階の住民の騒音をサンバカーニバルにするためにタンバリンを買った話
今の部屋に引っ越してきて3ヶ月。
最初はたまたまかな、と思っていたものが徐々に疑念を生み、そして確信に変わるのに2週間はかからなかった。
ドンドン!!!ドンドドドンドン!!
(おっ今日も始まったな。上の階の人は一体毎日なにやってんだろうな。)
夜23時ごろから午前1時頃まで上階の住民がとにかく床を打ち鳴らして暴れ始めるんですよね。
正直騒音に対してはかなり寛容なので夜中に騒いでいようが床を打ち鳴らし大地を燃やす踊りをやっていようが
あまり気にしていなかったわけです。
(※これは「騒音」で調べたら出てきたフリーの素材。静と動の対比が良いですね。)
しかし、今住んでいる部屋は前より防音がしっかりしており、
それでこの床にここまで衝撃を与えるってボーリングの球でバスケットボールでもしとるんかいなと、そういう感じなワケですわ。
騒音について別に怒っても無いしな〜問題にもしたくないよなあ。
どうせなら互いに生活音を確認し合う、まあ言うなれば?生命のオーケストラというか?
命のダイヤルのように使っていけたらいいのにな?とか考えながね(騒音の話です)
ふと思うわけです。
(※これは「音楽」「ロック」で調べたら出てきた、ロックに人生掛けすぎて音が身体中を刻み、今にも液状化しそうな女性のフリー素材。)
じゃあ一緒に楽しめば良くない?
音を楽しむと書いて音楽と読みますね。
つまり騒音を楽しむには楽器を買うのが一番。
やっぱり逆転裁判がすごい好きなんで、基本的に問題が起きたら発想を逆転させちゃう。そういうことですわな。
異議を却下します。
そうと決まればどの楽器に挑戦してみようかなと、そうなってくるわけですね。上階のステップも心なしか今日は小気味良い。
しかしすぐにでも上階とのセッションを楽しみたい、そう考えるとね
打楽器がいいなと、なってくるわけですよ。
アンプリファーを通すコンマゼロ何秒でさえも惜しみてえと。すぐに空気を揺らしてくれと。
そしてセッションは相手の音を聴いてね、初めて成立しますから。
つまりこっちの音も聞こえてくれなきゃ困ると。そういうわけですわな。
しかしあんまり騒音チックなもの買うと攻撃的に思われてしまうかもしれないので、
優しさがありつつ、親しみが持てる楽器が良いと。
早速近所の打楽器の専門店に行ってみるわけです。
そんなわがままな楽器があるんかい?と、思いながらね、あるんですな。
相談してみるとめっちゃ親身なんすよ。
という暖かいやりとりもしながら。
挙げてもらう候補がまず
「スレイベル」
ただこれね、重たい。どれくらいの負担かと言うと、
人差し指と親指だけでお祭りの焼きとうもろこし持って振り続けるくらいしんどい。手首破壊されそう。
ちょっとこれはなあ、ビジュアルもなんか拷問器具ぽいし、
もし床に置いていて、小指をぶつけたらすごい痛そうだし、
家に来た人もびっくりするかもしれないんで。ということで次の候補に。
「サンバホイッスル」
こんなん集合住宅で吹いたら大問題になるわ。
でもいいな、これこそサンバみたいな音ですよ。マンボにもいけますわな。
家でサンバ出来たらいいのにな。そういう気持ちになってくるわけですよ。
自分「ちょっとサンバの風が浴びられる楽器、いいかもしんないっすね!」
店員「おっマジすか?じゃあこれどうです?」
「カバサ」
静かすぎるわ。
もう「サ」以外サンバと被らないし、値段も書いてないし、これは完全に「ガチ」の人の買い物だよ。
どうして急に店員さんがボケに走り始めたのかはわからないけども、これが楽器店店員ギャグというジャンルならば仕方がないな、そう思いながら話を聞いてると。
店員「タンバリンとかどうですかね?」
タンバリンとサンバって関係あるのかな?そう思うけれど、でも確かに小気味の良いステップを踏みながらタンバリンを打ち鳴らす生活。
検索結果からも老若男女楽しめる魅惑の楽器であることが伝わってきます。
何より下の候補の「和田アキ子」が気になるが、和田アキ子はタンバリンを嗜んでるのか?
ともあれ、確かにタンバリンはちょうど良いかもしれない。
家に置いていたって違和感はないし、
棚に飾ってもなんとなくオシャレだし、壁にかけてあっても、
この人は楽しくなったらタンバリンを嗜むのかな?
そんなリズミカルな家庭を築きたいので結婚してください。
となること間違いなし。縦の糸はあなた横の糸は私、表の拍はあなた裏の拍は私ってなるんじゃない?
互いの糸をテンポよく布にして、それを帆に困難という波も乗り越えちゃう?
こちとら人生も家庭もアップテンポに行きたい年頃なもんで。
世は大航海時代。インターネットの荒波に揉まれてきた経験はダテじゃねえよって。
へへッ兄ちゃん、なかなかやるじゃねえか・・・。
ということでお買い上げ。
何かあったとき柱に置いて木魚のように叩くこともできるアタッチメント付。う〜んお得だね。
タンバリンの鈴の音と一緒に、雑念や煩悩も消し去ってしまおうかとそういうことですね。
やっぱこう金物の音って魔を払うような感じもしますから。いいんじゃないですかね。
というわけで早速打ち鳴らしてみるわけです。
ガシャン!!!!
うるさ!!!!!!
日常生活で聴かない音域の音がする。
でも買ったものは使わねばならないし、これだけうるさければ上階とのセッションも叶うだろうと。
隣に誰も住んでない今こそ響かせよう、We are music.と。
こんなに心弾ませる夜は久しぶりなんて思いながらね、ワクワク待つわけですわ。
ドンドン!!!!
来たと。まずは呼応するように鳴らすわけですね。
ドン!!!
シャン!!!!
ドンドンドンドドンドン!!
シャンシャンシャンシャンシャンシャン!!!!
・・・
ドン!!
ドンドン!!
シャン!!
ドンドン!!
シャン!!
・・・・・・・・・。
ドンドンシャン!!ドンドンシャン!!
バディユァボーイメカビッノイペニザッ
(Buddy you're a boy, make a big noice
ドンドンシャン!!ドンドンシャン!!
スィーゴナビービガマッサンデユガッ
Playing in the street, gonna be a big man someday
ドンドンシャン!!ドンドンシャン!!
マドォンヨフェイッ ユビッディスグェイス
You got mud on your face, you big disgrace
ドンドンシャン!!ドンドンシャン!!
キキヨァカノーロバザプレイ スィギ!!
Kicking your can all over the place singin)
ドンドンシャン!!ドンドンシャン!!
「「WE WILL WE WILL ROCK YOU!!!!!」」
「「WE WILL WE WILL ROCK YOU!!!!!」」
気がつくと上階とか関係なく自分で床を踏み鳴らしながら欲望のままに音を楽しんでいた。
そこ以上は知らないのでそこまでを何回も繰り返していた。
いつしか狭い1Kマンションはロックフェスの会場と化していた。
上階の騒音などもはや忘却の彼方。
その晩は大いに盛り上がり、ロックファンの間では伝説の夜と呼ばれるに至ったという。