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デッドエンドの思い出(よしもとばなな)
この本は、一番好きな作品と書かれているnoteの記事を見て読む事にしました。
5つのお話が入っている短篇集です。
私には恋愛どうこうではないもっと奥深い人間同士のラブストーリーのように感じました。
以下、感想です。
幽霊の家
甘いお話でした。
最初の方に、言葉が人に与える重みや、その言葉を与えられた人がとんな気持ちになるのかについて理解しやすく書かれていて、ばななさんの本にしては珍しいなと思いました。
とても爽やかで優しい分かりやすいお話でした。
おかあさーん!
この短篇集の中で2番目に好きなお話です。
主人公が事件に巻き込まれて大変な思いをして人生に気づいていくお話でした。
主人公の辛く苦しく暗い沼にはまったような感情に影響されてしまったのか、私にも時々感じる例えようもない孤独感が出てきてしまい、読んでいて何とも言えない暗い気持ちになりました。
でも読み進めていくうちに、こんな暗い感情を持っているのが自分だけではなく、同じように感じている人が他にもいて、こんな感情が自分のどこかにあったとしてもおかしくないって事が分かってきて、少し安心して、さらに普段は蓋をしている感情だったり、無視している暗い感情に嫌悪ではない何か優しい気持ちを注げたような気がしました。
主人公に感情移入して一緒に回復したようです。
やっぱり、ばななさんのお話はそっとそばに寄り添ってくれる感じがあって、いいなぁと思いました。
あったかくなんかない
悲しいお話なのに、なぜか少し元気をもらえるような、不思議な感じのするお話でした。
2話目で私が感じた事がちょっと書いてあり、不思議なことにお話は違うけど繋がってると思いました。
ばななさんの意図は分かりませんが、すごいなぁと思いました。
ともちゃんの幸せ
話の内容が珍しい気がしました。
切なく、でも優しいお話でした。
人生を送る上でいつも気づいていたい事が書いてありました。
デッドエンドの思い出
一番好きなお話です。
なんとなく読んだら本が終わってしまうのが寂しい気がしたのか、読み始めるまでに時間がかかりました。
とても切ないお話で、同じではないかもしれないけど、誰でも人生で似たような悲しい経験をした事があると思います。そんな経験をした人にはとても助けになるお話ではないかと思います。
読んだ後、とても温かい気持ちになりました。
私はいつも勢いで本を買ってしまうので、この本を購入した後に短篇集だと知りました。
短篇集は物足りなく感じる事があり滅多に読まないので最初は失敗したかなと思いましたが、この本はとても読み応えがあり、一気読みする事なく、時間がある時に1話1話ゆっくり読めるので、短篇集もいいものだなと思える本でした。
私はこの中の「デッドエンドの思い出」という小説が、これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。
あとがきを読んで、この本に出会えて読めて本当に良かったと思いました。
どのお話も読んだ後、ホッとして、また人生やってけそうなそんな気持ちにさせてくれました。
ありがとうございました。
終わります。