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rei92x
【短歌】あそび
【以前発表したものに少し直しを入れたり、入れなかったり。言葉遊びの終着地点です。】
夕食の支度を止めて台所 テレビ「もうすぐ桜が見頃」
店員の「いらっしゃいませ」聞き比べ旅で学んだコンビニ風情
止まり木の多さに羽根を休ませることができない鳥もいるかな
グローブを持ってるだけで会話などできるわけなし泣くな子よ
石鹸の硬さで骨を作りたいゆっくりお湯に溶けたら終わり
付箋紙にドガの錯覚ーー鉛筆の線に捉ふる胡乱なプリマ
刺繍糸絡んだ影を眺めては日がな一日宇宙を想う
星の屑ぬめりぬめりと残しては宇宙を食んで蝸牛生まれつ
生きながら死んでしまった言葉さえ拾い集めて鞭を打ちたい
チョコレート摘み上げたら神様がくっついてきて食べてしまった
「beef or chicken?」の声が遠ざかり「泣いているの?」と聞かれた気がした
シリアルのレベルの信仰(牛乳の甘いやつ飲み幸せになる)
ダ・ヴィンチの曲線なのだ人知れず消える眉毛に芸術を見よ
立ち枯れの電柱ガスのない町で無縁仏の墓眠りをり
自販前100円落とす音がして巻き戻れ時ーーア、ちがう世界。
最愛のひとが死んだらこの家の天井外して寝ることにする
外海に嵐色した雲が浮く魚よ生きろ吾が食ふまで
衣剥ぎ剥ぎ天南を丁寧に食う日の幸を知る人ありや
捨てられたバランスボールに鼻が生え泣いていたので家で飼ってる
冷えてゆく皿だ どこにも行けないし割れもしないし音すらもない