読書感想 大阿闍梨の掃除術
光永圓道『比叡山大阿闍梨 心を掃除する』を読み終えた。
まろやかな語り口が非常に親しみやすく、スイスイ読み進めることができた。千日回峰行とは、また北嶺大行満大阿闍梨とはいかなる存在かということを改めて知ることで、私の中に漠然と存在していた「苦行」に対する負のイメージが払拭された。
また作中にあった「千日回峰行は歩行禅の究極の形」という言葉に、千日回峰行という選ばれし者のみが成し遂げることのできる苦行と、平凡に過ぎてゆく自分の日常は全くの別世界だとは言い切れないのでは…と感じる。
ところどころに写真が載っているのだが、歩き方や座り方、立ち方、掃除のし方に至るまで、無駄が一切感じられない。(大阿闍梨がそこに至るまでの小僧時代のエピソードも必読)
重要なのは「合理性」と「型」である。
特に、「掃除」とは「綺麗にすること」であり、いくら心掛けがあっても、実際に綺麗になっていないと意味がない。という言葉に、わかってはいたものの頭を軽く殴られたような衝撃を受けた…そうですよね、綺麗になってないと意味ないですよね…(涙)!!!
武道のように正しい型を繰り返すことで、掃除へ向き合う心が出来上がってゆく。
なにより、そこには「雑巾以外はダメ!」のような根性論は存在しない。極めて合理的。しかも大阿闍梨はクイックルハンディがお気に入りらしく「そうか、クイックルハンディ使うんだ…便利だもんね…私も使ってる…」と謎の親近感を覚えた。
毎日の掃除、毎月の掃除、いかにして習慣化するかということも書かれているので、掃除迷子の方は一度読んでみることをおすすめしたい。
私は早速、朝一番のトイレ掃除を始めた。これなら続けられそうだ…!