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【雑記】猫の日に何を書こうか

猫の日に何か書こうと思った。猫は今、家に一匹いる。多い時には三匹いたこともあるから普通に猫は好きなのであるが、ふと思い出したことがあって今回は猫ではなくある人について書いてみようと思った。

猫と言うと思い出す人がいて、大学で同期だった女の子だ。その子は思いっきり猫顔だった。だれがどう見ても犬顔ではなく猫顔だった。初めて見た時、即座にゲゲゲの鬼太郎に出てくる猫娘を思い浮かべた。しかも、猫っ毛らしく思い通りにならないヘアースタイルをよく嘆いていた。

僕は入学早々、ちょっと仲の良い女の子ができた。留美と言うその子と休みには二人で一緒に出かけることが多くなっていた。たぶん周りは僕らが恋人同士だと思っていたようだが、まだそこまで親しいわけではなかった。猫娘(猫ちゃん)は、留美と仲が良くいつも一緒にいた子だった。

ある日、なんでそうなったか良くわからなかったが、当時僕が住んでいた東京郊外のアパートに猫ちゃんが朝までいたことがある。もちろん一人だったらちょっとした泥沼だがそうではなかった。これもやはり同期のカップルが一緒だった。女子が少ない学部だったから女子達はどこかで繋がっているらしかった。

終電も終わった深夜。四人で僕のアパート近くの中央高速の高架下にある公園でだらだら喋っていた。そのうちにカップルと分かれ、それぞれ二人ずつになっていた。隣り合うブランコに乗って何てことのない会話をしていた僕らだったが、突然猫ちゃんはちょっと恥ずかしそうに眼を逸らすとこんなことを言った。

「いつの間にかあなたと留美が付き合い出したから、どうしたらいいかわからない。私の方が先に好きだったのに」

いつもラフな格好の猫ちゃんがその日は白のワンピースだったのに気が付いてはいた。

「ごめん」

何をどう言ったかまるで覚えていないが、きちんとお断りした。
もちろんこうして遊んでるくらいだから嫌いなわけではなかった。

タイミングが違えば何かが変わっていたと後で思う事は簡単だ。

本当のことは後になっても知りたい。今思うのはそれだけ。
 

その後、留美とは進展せず程なく普通の友人に戻った。
 

猫ちゃんとはその後もずっと長い間、電話で他愛もない話をするような仲だった。
大学卒業後もそんなかんじのままだったが、僕も猫ちゃんも結婚してからは電話はなくなった。今は年賀状だけ。

 
あの高架下の公園やブランコは、今もあるだろうか。
 

 
猫がそばにいてくれて良かった。
いなかったら今日こんなことを思い出すことも無かったのだから。

深夜の公園の湿った空気と猫ちゃんをぼんやりと思い出しながらビールをやる。

すぐ横に寝転がっている白い猫を見ながら。


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