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憧れの目黒区と世田谷区住むならどのエリアが良い?《自分のこだわりをGISで分析してみた》

こんにちは。技術開発本部でGIS(地図情報システム)のエンジニアをやっている山澤です。

皆さん、将来を考えるにあたってどこが住むのに良さそうなのか考えたりすることはありませんか?具体的な物件ではなく、◯◯エリアというような話です。

私は仕事柄、地図をよく見ていて「このあたりがいいかも?」なんて思うことがあります。
学生時代に東京都の目黒区や世田谷区にある友達の家に行った際、周辺を散策したことがあるのですが、静かで住みやすそうな雰囲気だなぁと思って、それ以降住んでみたい場所の候補になっています。

目黒区と世田谷区をインターネットで調べみると、アクセスがよい住宅街で高級なエリアも多く、とても人気のあるエリアらしいですね。さらに”見晴らしが良い”というキーワードも出てきました。

見晴らしが良いということは、標高に高低差のある地域ということですよね。
GISの世界では、地図で分析するデータの一つに「標高データ」があります。
ということで、目黒区と世田谷区のどこが自分にとって住むには良いエリアか、当社のGIS「MarketAnalyzer® 5」で調べて見ました!

*   *   *

■MarketAnalyzer® 5とは?
MarketAnalyzer® 5は地図上に様々なデータを可視化・分析するシステムです。GISの用途は色々ありますが、こちらは商圏分析・エリアマーケティングに特化したものです。
その機能のひとつに「特定の条件に合致するエリアを検索する」という機能があります。
自分が住みたい条件をデータに置き換えて、目黒区と世田谷区内でどこが良いのか探してみようというストーリーです。



■こだわり条件

独断と偏見で、以下のこだわり条件を設定してみました。

・見晴らしが良い
 日当たりと風通しがいいことと視界が開けている方が好みであるためです。
・一戸建てが多い
 私はマンションじゃなくて一戸建て派。先人たちが多いなら安心そうです。
・土地が安い
 家計的に助かります。
・駅近
 通勤時の移動など近い方が良いですよね。

なんて欲張りかもしれませんが、これらの条件をデータに置き換えると以下の項目となります。

見晴らし:国土地理院の標高(海抜)データ
一戸建て:総務省の国勢調査から一戸建て世帯数
土地代:国土交通省の公示地価ポイントデータ
駅近:国土交通省の駅乗降客数ポイントデータ

これらのデータをMarketAnalyzer® 5にインポートや設定をして、実際にエリアを検索していきましょう!

■見晴らし(=標高)が良いところはどこか?

初めに目黒区と世田谷区の標高(海抜)データを見てみます。
まずはそもそも目黒区と世田谷区の位置を確認しておきましょう。

【目黒区と世田谷区】

データは国土地理院のサイトがダウンロードしてきました。5次メッシュという250m四方のマス目単位で標高や傾斜角度などのデータ項目が収録されています。

まずは標高データを地図上に可視化してみました。暖色系のメッシュは標高が高いエリア、寒色系のメッシュは標高が低いエリアということを表します。こうしてヒートマップで可視化すると高低差がわかりやすくなりましたね。東京湾から見て西側に位置する世田谷区側のほうが標高は高いようです。北東側と南側にはそれぞれ目黒川と多摩川が流れていますが、やはり川沿いは標高が低いことも見て取れます。

【平均標高】


■余談(傾斜角度)

この標高データには標高だけではなく傾斜角度という項目も収録されています。「平均傾斜角度」という項目で色塗りをしてみました。暖色系(茶色や赤やオレンジ)のところは高低差が激しいということですので、見晴らしという意味では狙い目かもしれません。私のこだわり条件には入れてないので、こちらは参考まで。

【平均傾斜角度】


■一戸建てエリアと見晴らし(標高)の重ね合わせ

次に一戸建て世帯数データを、先の標高データに重ね合わせてみました。下の地図の凡例を見てください。目黒区と世田谷区を9色に分割しています。縦軸は標高なので、赤が高い、青が普通、緑が低いということです。横軸は一戸建て世帯数なので、濃い色は一戸建てが多いエリア、薄い色は少ないエリアとなります。つまり、“赤が濃い”エリアは標高が高くて一戸建てが多いエリアということを表します。

【平均標高×一戸建て世帯数】

標高が高く一戸建てが多いエリアを更に抽出してみます。標高が36.5m以上で一戸建て260世帯以上あるところが、下の地図の赤いエリアです。

【標高が高く、一戸建てが多いエリア】


■地価と駅

ここまで、標高/一戸建てと来ました。3つ目は地価です。公示地価の元データはメッシュ単位ではなく、ポイント(調査地点)単位です。地図上にマッピングしてみました。
公示地価が高ければ暖色系、低ければ寒色系です。やはり世田谷区よりも目黒区のほうが全体的に高いですね。

【公示地価】

さらに駅からの距離という軸です。駅もポイントデータなので、マッピングするとこのようになります。


■結局どこが良いの?データスコア化してみました

これで私のこだわりポイントのデータが揃いました。これらのデータを総合的に見て、どこが良いのかを見ていきます。
先に平均標高と一戸建てデータから抽出した69箇所のメッシュについて、公示地価と駅のポイントを紐づけていきます。メッシュの中心点からそれぞれの最寄りのポイントを割り当て、公示地価の金額と、駅までの距離をメッシュに集計しました。
集計結果が下の図の左側です。標高(m)、一戸建て(世帯)、地価公示(円)、最寄り駅までの距離(km)と単位が異なるものを合計するにはそのままではなく指数化(スコア化)する必要があります。今回はそれぞれ一番良いエリアは69点、最下位のエリアは1点としてみました。
標高と一戸建ては実数値の高いものが良く、地価公示と最寄駅距離は実数が低いものを良しとしています。

【こだわりエリアの実数をスコア化し合計】

このスコア合計が高いところが私のこだわりにマッチするエリアをいうことになります!最後にTOP3を見ていきましょう。

■第3位

世田谷区給田1丁目付近。左側のピンク色の駅は仙川駅なのでもはや調布市という感じではありますが。駅からも近くて良さそうですね。

■第2位

世田谷区千歳台2丁目付近。祖師谷大蔵駅が南側に見えます。

そして、第1位は・・・??

今回の順位は私の主観的なこだわりなので、そもそもの街やエリアの評価をしたり、優劣をつけたりするものではありません。あしからず。

■第1位

世田谷区祖師谷1丁目付近!!

第2位の南側、祖師ヶ谷大蔵駅のすぐ北側のところでした。駅からすぐなのに住宅街になっている様子ですね。

*   *   *

皆様いかがでしたでしょうか?
自分ならこういうこだわりがある、そうなるとどのエリアなんだろう?なんて気になってくれたら嬉しいです。
今回は私が開発に携わっているGIS「MarketAnalyzer® 5」を使ってやってみました。すごいツールなんだなって少しでも思ってくれたらもっと嬉しいです!

最後まで読んでいただきありがとうございました。


■分析ツールのご紹介

ご紹介したMarketAnalyzer® 5は、期間限定で無償提供を実施中です。
チェーンストア企業の出店戦略や販促施策、店舗マーケティング全般に役立つ分析ツールです。
地域の特性やそこに住む人のペルソナ、自社店舗の状況や競合店舗の影響等を細かく分析でき、自社のビジネスエリアのポテンシャルを見極めることができます。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

〇 詳しくは: https://www.giken.co.jp/mka-lp202304/

<執筆者プロフィール>
技術開発本部 山澤
2023年より技研商事インターナショナルに入社。
MarketAnalyzer®チームのエンジニアで、最近はWebView2絡みの担当が多め。
近所のごはん屋さんを開拓するのにハマってます。