東京都初のPark-PFI「都立明治公園」 GPSを使った来訪者分析に挑戦!
こんにちは。アライアンスビジネス営業部の池畑です。
今回は、2024年1月31日にグランドオープンした「都立明治公園」を分析してみます。
東京都初の「Park-PFI」(公募設置管理制度)導入事例としても注目を集めるこちら。
Park-PFIは近年全国的に関心が高まっている公園の運営方法で、民間事業者が、行政の所有・運営する公園内にレストランやカフェなどを整備・管理・運営するとともに、その周辺の園路や広場などを整備・改修することで、行政側のコストを抑えつつ、民間事業者側が収益を上げ、公園のにぎわいも創出していくという、いわば「三方良し」を目指す試みと言えます。
特にチケット制ではない公共施設の場合、来訪者の実態把握が難しいため、施設の企画・運営者としては、どのように利用実態を把握して、今後の施設運営に活かしていくかが課題となります。
そこで今回は、最近話題の施設「明治公園」をテーマにKDDI Location Analyzerでどこまで分析ができるのか、ご紹介させていただきたいと思います。
*KDDI Location Analyzerとは、「どこに、どんな人が、どれだけいるのか」を把握できるGPS位置情報分析サービスです。
*結果は20歳以上来訪者の日ユニークでの推計値となります。
*GPS位置情報の利用許諾をいただいた方のデータを基に拡大推計しております。
1.来訪者を「平日」と「祝休日」で比較!
まずは明治公園をGoogle マップ上で定義(フリーハンドで作成)
<集計方法>
・直近3か月間の1日当たり平均で算出
・明治公園での滞在時間を「15分以上かつ300分以下」に限定してデータを抽出
・平日と祝休日に分けて、「性別」「年代」「時間帯別」の来訪者を分析
<集計結果>
では集計結果をご覧いただきましょう。
以下、平日と祝休日それぞれの、性別、年代別、時間帯別の来訪者数をグラフにまとめてみました。
せっかくなので平日の利用者についてもう少し掘り下げてみたいと思います。
都心にある公園の場合、平日は周辺勤務者の利用も多そうですが、そういった方はどれくらいの割合なのでしょうか?
以下、時間帯別で集計してみました。
30分刻みの棒グラフで、公園から徒歩10分圏内に推定勤務地がある方を橙色(勤務者)で表しています。
お昼時にお弁当など片手に休憩に来られる方や、レストランやベーカリーを利用する方もいるのかなと想像していましたが、実際には12時前後の利用者は他の時間と比べてそれほど多くはないようです。
周辺には飲食店も多いエリアなので、ランチタイムは公園ではなく他の飲食店へ流れるのかもしれません。
また公園来訪者全体を見ると15時頃がピークとなりますが、こと勤務者に関して言えば、17時頃に立ち寄る方が多いようです。
仕事帰りに立ち寄って休憩したり、公園内のレストランやカフェで飲食をされる方が多いのかもしれません。
2.公園内のカフェやショップの利用状況は?
公園内には、カフェ・レストラン・ショップが点在しており、その利用率も気になるところです。
公園利用者の内のどのくらいの割合の人が、これらのテナント施設も利用しているのでしょうか?
ちなみに公園内にあるテナントは以下の通り、複数の建物に入っています。
以下、公園来訪者の内、テナントのあるA~E棟に立ち寄った方の割合を示したグラフです。
半数近くの方がいずれかの商業施設部分も利用していることが分かります。
朝8:30~オープンしているベーカリー/コーヒースタンドや、23:00まで営業しているレストラン・リラクゼーション施設もあることから、朝から夜まで幅広い時間帯で気軽に立ち寄れる施設があることも、利用率が高い要因として考えられそうです。
また逆にこうした施設を目的として公園に来る人も多そうです。
ちなみに施設ごとの利用者の傾向などもKDDI Location Analyzer では分析可能ですので、ご要望の声が多ければまた次回以降、分析してみたいと思います。
3.まとめ
今回は新たなスタイルで注目を集める都立明治公園について分析してみましたが、いかがでしょうか?
なかなか捉えることの難しい公園の利用実態について、性年代別の傾向や、時間帯別の傾向を、平日/祝休日ごとに分けて見てみました。
個人的には、想像以上にテナント施設の利用率が高いことが印象的でした。
幼い子どもを持つ身としては、単に広場で子どもを遊ばせるだけでなく、カフェやレストランで一息つけるのはとても魅力的です。
特に暑い夏や、寒い冬は過ごせる建物があるだけでとってもありがたいもの。
こういった施設がもっと増えてくれないかしら…。
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また、テーマや「こんなこと、こんな場所を分析してみてほしい」などご要望ございましたら、お気軽にコメント欄にお寄せください。可能な限りお応えしていければと思います。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
それではまた次回もよろしくお願いします。
<今回使用したGIS>
KDDI Location Analyzer(GPS位置情報分析ツール)
*今回の分析例のように、調べたいエリアや施設をピンポイントに設定して、日本全国どこでも人流や来訪者居住地を調べることが可能です。
*無料トライアルも受け付けておりますので、会社等で人流分析ツール導入をご検討の際はぜひご活用いただけますと幸いです。
<執筆者プロフィール>
池畑
営業歴10年。前職の出版営業では全国の本屋さんを行脚する日々だったが、縁あって現職では商圏分析、位置情報分析を扱うように。世界史とSFと登山とパデルが好き。「技研サウナ同好会」所属。
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