【第3回】もしも球団関係者がGISを使えたら「プロ野球ファンはどこにいる?~ヤクルト、巨人、西武、ロッテ、DeNA 関東5球団編~」
こんにちは。アライアンスビジネス営業部の池畑です。
プロ野球の日本シリーズがいよいよ10月28日に開幕しますね。
先日、プロ野球関連の面白い記事を見つけました。
ケーブルTVの視聴履歴から「各球団のファンはどこに住んでいるのか」を明らかにしたこちらのレポート。
調査の結果、ファン居住地の分布とホーム球場への鉄道アクセスに関係性が見られる、という興味深い考察もなされておりました。
もしかしてそれって、GPS位置情報からも検証できるのでは?
ということで今回は、GPS位置情報分析システム「KDDI Location Analyzer」を使い、関東に拠点を構える5球団の本拠地球場への来訪者分布を調べてみたいと思います。
*ちなみに筆者は野球シロウトですので、もしトンチンカンな記載などありましたらご遠慮なく突っ込んでいただけますと幸いです。
さっそく、今年のペナントレース期間中の来訪者居住地を、下記の条件で地図上に可視化してみます。
じゃん!
大きくエリアごとに、きれいに分かれる結果になっていますね。
必ずしも「ホーム球場来訪者=ファン」という訳ではありませんが、おおよそ「その地域からのホーム球場来訪者が多い≒その球団のファンの数も多い」と考えられそうです。
もちろん、アクセスその他の関係で、推し球団以外の球場に多くいくケースも考えられますが、一旦、上図が各球団のファン分布(勢力図)に近いものを示しているものとして捉えて、見ていきたいと思います。
では各球場の来訪者はどこから来ているのか、各球団・球場ごとに細かく見ていきましょう。
◆千葉ロッテマリーンズ @ZOZOマリンスタジアム(黄色)
きれいに千葉県一帯が黄色に染まっており、地元・千葉ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアムへ来訪する方が多数派ということが分かります。
逆に、千葉県内で黄色以外の地域、つまり他球場への来訪者の方が多い地域を挙げると、柏市、我孫子市、成田市、そして南房総の一部が赤色となっており、東京ドーム(巨人)への来訪者の方が多いことが見て取れます。
球場アクセスや、移住者・転勤者の多さなども影響しているかもしれません。
ちなみに球場への来訪者総数としては、西武・ベルーナドームと同率の4位という結果でした。
◆横浜DeNAベイスターズ @横浜スタジアム(オレンジ色)
こちらも非常に分かりやすい結果が出ました。
神奈川県一帯がほぼオレンジ色一色に染まっており、地元・横浜DeNAべスターズの本拠地・横浜スタジアムへの来訪者が多数派となっています。
例外は川崎市の多摩区、麻生区や愛甲郡愛川町、足柄上郡大井町など。
川崎市多摩区、麻生区については、小田急小田原線が通っており都心へのアクセスも良く、地理的な距離やアクセスの面で東京ドームや明治神宮野球場への来訪が容易ということが、影響しているかもしれません。
◆埼玉西武ライオンズ @ベルーナドーム(青色)
埼玉県と東京都北西部にまたがって分布。
こちらは都道府県単位の地元意識よりも、鉄道の影響が大きいようです。
西武と言えば母体は鉄道会社。西武新宿線、池袋線、秩父線、拝島線、国分寺線、多摩湖線など、西武線沿線地域がしっかりと青色に染まっています。
◆読売ジャイアンツ @東京ドーム(赤色)
やはりというべきか、期間中の総来場者数ではダントツ1位の東京ドーム。
赤色のエリアが幅広く分布しています。
また赤色以外の地域でも、2番手で多くの来訪者を獲得しているケースが非常に多いです。
球場アクセスの良さに関わらず、巨人ファンは各地に根強くいらっしゃることが伺えます。
◆東京ヤクルトスワローズ @明治神宮野球場(緑色)
地図の色塗りをパッと見た感じですと少ない印象がありますが、来訪者総数としては東京ドーム、横浜スタジアムに次いで3番目に多い明治神宮野球場。
球場との距離が近く、アクセスも良い渋谷区・新宿区・港区・世田谷区・杉並区のほか、狛江市・府中市・戸田市・北足立郡伊奈町・北葛飾郡杉戸町・足柄上郡大井町なども飛び地的にシェアトップとなっているのが興味深いです。
◆おまけ:施設の併用者率
同じ集計条件で期間中の各施設間の併用者率も出してみました。
5球場の内、各球場のみ訪問している人の割合を水色、他球場にも訪れている人の割合をオレンジ色で表しています。
これを見ると東京ドームでは併用率3割弱と低いのに対して、明治神宮野球場では半数以上の方が他球場と併用しているという対照的な結果が浮き彫りとなりました。
あくまで推測となりますが、明治神宮野球場に訪れる方は、他の球場にもよく運ぶような「濃いプロ野球ファン」の比率が高いのかもしれません。
逆に東京ドームには、一見さんを含めライトなプロ野球ファンも気軽に来訪されているのかもしれません。
◆分析してみて(まとめ)
冒頭でご紹介したのケーブルTV視聴者分析と比較してみると、もちろん対象や条件が異なるため単純比較はできないものの、各球団ファンの分布についてはかなり一致する部分が多いという結果となりました。
特にロッテ(千葉県)とDeNA(神奈川県)は都道府県単位で球場来場者が分布しているのに対して、西武は鉄道(西武線)沿線が勢力圏になっているという特徴がありました。
オーナー企業のPRやキャンペーン活動がどう展開されているのか、ホーム意識・アイデンティティをどこに置いているのかを示す、興味深い結果です。
また5球団中で最も捉えづらかったのがヤクルトです。
来場者数自体は中くらいであるものの、同じ東京都内を拠点とする巨人が全国的にも最もファンの多いと言える人気の球団。
各地域のシェアトップではなく、2番手、3番手でファンが分散して存在するため、先ほどの勢力図では可視化されづらいようです。
オーナー企業のヤクルトの事業展開エリアを考えても、全国にあまねく接点があるため、あえて「地元」推しではない展開となっているのかもしれません。
以上、今回の分析はいかがでしたでしょうか?
あくまで球場来訪者からの限定的な分析ではありましたが、各球団の地域性などが明らかになり非常に面白かったです。
皆様も、もし面白いと感じたり、何かのお役に立ちましたら、「スキ!」ボタンを押していただけますと励みになります。
また、テーマや「こんなこと、こんな場所を分析してみてほしい」などご要望ございましたら、お気軽にコメント欄にお寄せください。可能な限りお応えしていければと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
それではまた次回もよろしくお願いします。
<今回使用したGIS>
KDDI Location Analyzer
*無料トライアルもご利用いただけます。
会社等で人流分析ツール導入ご検討の際はぜひご利用ください。
<執筆者プロフィール>
池畑 索季(いけはた・もとき、紀元20世紀後半 - 現在)
営業歴10年、ではあるが、最近異業種から転職してきたばかりで、地図情報システム、商圏分析はいずれも初心者、必死に勉強中。世界史とSFとパデルと登山が好き。一周遅れてサウナにハマっている(「技研サウナ同好会」なるものにも所属)。野球に疎い。
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