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【第2回】もしも孫子がGIS(地図情報システム)を使えたら…「人流を知れば百戦危うからず?」

こんにちは。アライアンスビジネス営業部の池畑です。

前回は、「夏の全国高校野球・決勝戦の来場者分析をど~~してもやりたい!」という私のわがままにより、急遽順番を入れ替えてお届けしましたが、今回こそ、第0回での予告通りお届けしてまいります。

「もしも〇〇がGISを使えたら…」(略して「もしGIS」)、ようやく本編スタートです!

<バックナンバー>
【第0回】そもそもGIS(地図情報システム)って何?
【第1回】もしも応援団員がGISを使えたら

導入編の第0回では、「そもそもGISって何?」「それで何がわかるの?」という点についてお話しました。
では具体的に、GISを使うことでどんなことができるのか?

今回は、歴史好きならずとも知っている古代中国の有名人にご登場いただき、ご紹介していきましょう。


1. 人流を知れば百戦危うからず

みんなご存じ中国古典中の古典『孫子』(「孫子の兵法書」とも呼ばれる)。ビジネスシーンでも好んで引用される一節に、

彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」(「謀攻篇」)

というものがあります。これをマーケティングに置き換えてみると、

競合他社を知り自社を知れば、百戦危うからず」

と言えそうです。もはや現代のビジネスパーソンにとっては常識かもしれません。さらに『孫子』にはこんな一節もあります。

天を知り地を知れば、すなわち勝、窮まらず」(「地形篇」)
(気候やタイミングと、戦いの地形を知るならば、常に勝利はものにできる)

すなわち、時流やエリアのことを知ることが重要であるとも言っているわけです。

「自社を知り、競合他社を知り、時流を知り、エリアのことを知る」ことができれば、リスクを最小限に抑えて、ビジネスにおいて成功を収めることができる

それは御説ごもっともなのですが、実際にどうすればそれを実現するのか?

「言うは易し。実際にこれらをまとめて把握するのが難しいわけで…」

そんな声も聞こえてきそうです。

では、もしこれらすべてを、
一つのモノサシで、定量的にズバッと分析する方法があります」
なんて言われたら、どうでしょう? ちょっと興味が湧いてこないでしょうか?

じつはこれらのことは、GIS(地図情報システム)を使って分析をすることで、ある程度実現できてしまうのです。

特に、人流データ・位置情報分析を活用すれば、「地を知る」ことはもちろん、「己を知る」「彼を知る」「天を知る」ことすらできてしまうのがすごいところ。

人流を分析することで、己を知り、彼を知り、地を知り、天を知る。
ビッグデータ時代の『孫子』の兵法、実践お役立ちツールここにあり!
というわけなのです。

2. 孫子降臨⁉ 位置情報分析で「己・彼・地・天」を知る

さて、ここからは孫子(孫武)にバトンタッチしたいと思います。

実際に、GPS位置情報を搭載した分析ツール「KDDI Location Analyzer」を使って、「地(エリア)」「天(タイミング)」「己(自社)」「彼(他社)」を分析していただきましょう。

孫武先生、よろしくお願いします!

孫武:いきなり呼び出して何かと思えば…仕方ない、まずは簡単に自己紹介でもするかのぅ。

我が名は孫武。兵法書『孫子』の作者じゃ。
紀元前500年前後の春秋時代に活躍したんだが…そうじゃな、今おぬしらの間で流行っている漫画『キングダム』の舞台となっている戦国時代の、一つ前の時代、と言えば分かるかの?

ワシが仕えた「呉」の国は、ちょうどワシが仕えた頃に隆盛を極めておってのぅ。首都の呉には、商人から武人まで、各地から人々が集まっておったわい。まあ、今みたいにGISなんてものはなかったわけで、それどころか人口を把握することすらままならん時代じゃったわ。

こっちに転生してきてからは、我が主君とともに「株式会社 呉国」を起業し、東京を中心にスーパーと百貨店を展開しておるのじゃ。ワシは前世で発揮していた情報収集力と策謀力を買われて、マーケティングや店舗開発など幅広く担当しておるところじゃ。

今日はGISを使って、我が知略の一端を披露してくれとの注文をもらっておる。さっそくはじめていこうかのぅ。

①【己を知る】自店来訪者の居住地・属性を調べる(顧客分析→販促戦略)

孫武:まずは「己を知る」ことからじゃな。

ワシらはいま東京を中心に「呉国スーパー」というスーパーマーケットを展開しているのじゃが、昨年桜新町に出店した新規店が絶好調でのぅ。
どれくらい栄えているのか、どれ、ちょっと「KDDI Location Analyzer」で見てみるかの。集計ボタン、ぽちっとな…

…もう集計完了じゃ。ほんの十数秒で結果が出るから、仕事がはかどるわい。初めてさわった時は、あまりの速さにたまげたもんじゃ。
ワシがかつて生きた時代じゃったら、相当な人手を割いて、人海戦術で調べるしかなかったからの。

来訪者が、どこから、どれくらい来ているのか集計してみたぞ。
近所はもちろん、少し離れた地域からも集客できていることが、一目瞭然じゃろ。

赤色が濃いところが特に多い地域じゃ。
町丁目ごとに細かく見られて便利じゃのう。

<来訪者属性の分析 居住地(単独施設)>
指定施設への来訪者が、どの都道府県・市区町村・町丁目から、何人来訪しているのかを地図上に可視化。実商圏を定義し販促エリアが策定できる。

孫武:どこから来ているかわかれば、実商圏を定義したり、チラシの配布地域を設定することも容易になるというもの。まことに便利じゃのう。

次はワシが相談役を務めている、墨田区の摩天楼についても見てみるかの。
じつは副業でコンサルティングもやっておってのぅ。
施設にどんな人が来ているのか、その属性や来訪状況を見ていくぞ。

<来訪者属性の分析(単独施設)>
指定した店舗等の施設への来訪者ボリュームやその推移、来訪者がどのような人かを把握できる。
<リピーターの来訪者属性傾向>
<日別・移動平均の来訪者数推移>

孫武:20~40代の女性が特に多いのがわかるじゃろ。
最近、あの辺りのエリアは若い観光客や買物客が増えておるからのぅ。
ワシが助言して、若者向けやファミリー向けのテナントを増やしたんじゃ。

あとはほれ、来訪者の推移も見てみよ。
5月頭に波があるじゃろ。GWにしっかり来訪者数が増えておるのも見て取れるのぅ。

こんな風に、どんな者たち来ているのかがわかれば、自店の強化すべきポイントや販促施策のターゲットも、自ずと明確になってくるというものじゃ。

②【彼を知る】競合店の動向を調べる(競合分析→対抗施策)

孫武:己について把握したら、次は競合店との比較分析じゃ。

実は我が呉国スーパーの周りには競合がひしめいておってのうぅ。
楚、越、秦、晋、燕…周辺のスーパーと、日々、客の奪い合いじゃ。

下の地図を見てみよ。各地域の人々が、どの店により多く流れているのか分析したものじゃ。これでエリア別の顧客獲得状況が一目瞭然じゃ。

あぁ、この地図を見ていると、群雄割拠の春秋戦国時代を思い出すのぅ。

<来訪者属性の分析 居住地(6施設・吸引力分析)>
町丁目・市区町村別に、店舗等、施設別の来訪者数を比較し、吸引状況を可視化。

孫武:これを見れば、自店の強いエリア、他店の強いエリアが明確じゃ。
あとは、施設間の併用状況を見れば、競合店との食い合い(カニバリ)状況を確認することもできるぞ。

競合店や競合地域を明確にして、その動向をつぶさにウォッチすることで、後手を踏むことなく対策を打っていくことができるのじゃ。

次はどんな人が来ているのか、属性も比較してみるか。

<来訪者属性の分析(6施設)>
指定施設への来訪者数を曜日別や時間帯別などで比較し、自店と他施設の来訪者の傾向を可視化。
<構成比で来訪者の年代を比較>

孫武比較することで、自店の強み/弱み、競合の強み/弱みがよりはっきりしてくるのじゃ。どの性別・年代をターゲットに、どんなポジションをとるのか、自ずとブランディングの方向性も見えてくるというものよ。

自店についての情報は当然、自社の持つ会員データや肌感覚でも把握することが可能じゃが、他社についての方法を得るのはなかなか難しいものでのぅ。前世ではよく間者を送ったものじゃが、失敗することも多かったんじゃ。

それにいくらデータがあっても、同じ指標・モノサシで集計されていないと、単純比較するのは難しい。

同じモノサシで同列に比較できるところが、「位置情報分析」の強みじゃな。

ちなみに、時系列で来訪者数の推移も比較できるぞ。

<移動平均線での日時推移比較>

孫武:推移を見ると、自店の施策前後での動きはもとより、競合店の動きもよく分かるのう…むむ、6月末から「越」スーパーだけが急激に伸長しておるのぅ…もしやリニューアルでもやりおったのかもしれん。完全に出し抜かれたわい! これは急ぎ確認せねば…。

③【地を知る】店舗の出店地を探す、調べる(商圏分析→出店戦略)

孫武:さて次は、「地を知る」ことじゃ。

前世でも戦いの前には必ず、戦場の地形を綿密に調べたものじゃ。

位置情報を用いれば、どんな人が(属性)、どの時期・時間帯に(時)、どれくらい(量)いるのかがわかるのじゃ。

<通行・滞在人口の分析(1)指定エリア内の通行人数と属性>
どこに・どんな人が・どれだけいるかを把握。周辺の通行人口を平日・休日・時間帯別・性年代別に集計できる。
<通行・滞在人口の分析(2)指定エリア内の滞在人口と属性>
同様に周辺の滞在人口を集計できる。
<公的統計を用いた商圏分析>
位置情報以外にも、任意のエリアを指定して国勢調査などの公的統計データをダッシュボード表示可能。

孫武:エリア内で、特にどの場所にどれくらい人が集まるのかを把握することで、出店戦略を考えたり、屋外広告看板の掲出エリアを検討したり、様々な施策検討の指標にできるのじゃ。

それから、性別、年代、タイプ(居住者/勤務者/来街者)などの属性を知ることで、どんなコンセプト(ブランド、志向性、価格帯)の店舗、商品、広告、イベントを展開するのか、ターゲットを明確にした上で施策展開をすることも可能じゃな。

④【天を知る】時期・曜日・時間帯ごとの通行・滞在人口を調べる(商圏分析→販促戦略)

孫武:同じ機能を使って、何曜日に、どんな属性(性別・年代・タイプ)の方が、どれくらい来ているのかも調べられるようじゃな。また日/月/年ごとの推移や、時間帯による推移も見られるぞ。

<通行・滞在人口の分析(3)日別や曜日別の通行人口・滞在人口>
エリア全体の通行人口・滞在人口をさらに詳細に把握。曜日別や日別の傾向可視化。
性別・年代・タイプごとの内訳も見ることができる。

孫武:こうした「時間軸」での分析を加えることで、イベント・フェアなどの販促施策の実施時期を検討したり、品揃えに関して、

「午前中は中高年が多いので健康志向食品をPRしよう」
「夕方~夜は通勤・通学の20~50代が多いので短時間で手軽に食べられる食品を強化しよう」。

「平日は中高年と学生世代が多いので1~2人世帯で消費しやすい小さめのパックを並べよう」
「土日はファミリーが多いので3人以上で消費できるやや大きめのパックを展開しよう」

など、時宜に適った販促施策ができるようになるのじゃ。

さらに①で分析した自店の来訪傾向と比較すれば、エリアのポテンシャルに対して、自店がどれくらい客をキャッチできているのか、そのギャップから課題となるターゲット層をあぶり出すことも可能じゃ。

・・・と、気が付いたらもうこんな時間か。時が過ぎるのが早いのぅ。

今日のところはここまでとしておこう。それでは。

※以上の孫武の語りはすべて筆者の妄想です。史実や実在する人物・団体・施設とは異なりますのでご了承ください。


3. まとめ

ということで、孫武さんにはるばるご登場いただき、「己を知る」「彼を知る」「地を知る」「天を知る」のテーマごとに、位置情報分析を実演してもらいましたが、いかがでしょうか。

もし孫子(孫武)が現代にやってきてマーケターや開発・販促担当者になっていたら、きっとGISをぐりぐり使い倒して、己・彼・地・天を徹底的に分析した上で、有効な一手を打つことでしょう。

逆に孫子の時代にこんな便利なツールがあったら、一体どんなふうに活用するのだろう・・・などと異世界転生的な妄想も膨らんでしまうところです。

さて、それでは本日のまとめです。

<まとめ>
ビジネスにおいても「己(自社)」「彼(他社)」「地(エリア)」「天(タイミング)」を知ることが肝要なり
「同じモノサシで、定量的にズバッと可視化できる」ことこそ位置情報分析の強みなり
分析機能・分析方法は様々。活用法は無限大なり


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また、テーマや「こんなこと、こんな場所を分析してみてほしい」などご要望ございましたら、お気軽にコメント欄にお寄せください。可能な限りお応えしていければと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

それではまた次回もよろしくお願いします。

<今回使用したGIS>
KDDI Location Analyzer

無料トライアルもご利用いただけます。
 会社等で人流分析ツール導入ご検討の際はぜひご利用ください。

<登場人物プロフィール>

孫 武(そん ぶ、紀元前535年頃 - 没年不詳)
中国古代・春秋時代の武将・軍事思想家。兵法書『孫子』の作者とされており、兵家の代表的人物。斉国出身。字は長卿。孫臏の先祖。「孫子」は尊称である。
「戦わずして勝つ」という戦略思想、戦闘の防勢主義と短期決戦主義、またスパイの重要視など、軍事研究において戦略や戦術、情報戦など幅広い領域で業績を顕し、ベイジル・リデル=ハート、毛沢東など、現代の軍事研究者、軍事指導者にも重要な思想的影響を与えた。その軍事思想は航空技術や核兵器など、古代に想定できなかった軍事技術の発展した数千年後の現代においても有効性を失わず、今なお研究対象とされている。

(出典:ウィキペディア「孫武」) 

<執筆者プロフィール>

池畑 索季(いけはた・もとき、紀元20世紀後半 - 現在)
営業歴10年、ではあるが、最近異業種から転職してきたばかりで、地図情報システム、商圏分析はいずれも初心者、必死に勉強中。世界史とSFとパデルと登山が好き。一周遅れてサウナにハマっている(「技研サウナ同好会」なるものにも所属)。「キングダム」だと王翦が好き。

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