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アクティブリスニング、「聴く」と「聞く」を考える

こんにちは、宮田です。
「本当に人の話をきいてないよね」と母親によく言われた記憶があります。

そのように言われて育てられたからか、今では“話をきいてくれる人”と思われることが増えました。言われてみれば、自分が話している時間よりも友人が話している時間の方が長い気がします。

さて今回は、アクティブリスニングのお話です。お伝えしたいポイントは、「聴く」スタンスが最も大切だ、ということです。

この話をしようと思った背景は、アクティブリスニングの講義をする中で、最近ある違和感を覚えたからです。

それは、スタンスよりもスキルに学習者の意識が向いていることです。スキルも大事ですが、何よりもスタンスを理解し、実践できなければアクティブリスニングの目的を果たせないと私は考えています。

アクティブリスニングとは?

アクティブリスニングとは、アメリカの臨床心理学者であるカール・ロジャースによって創り出されたカウンセリング手法です。日本語では”積極的傾聴”と言われています。

現在は、カウンセリング領域に留まらず、ビジネス領域でも注目されており、ビジネスパーソンの必須スキルの1つと考える人も少なくありません。そして、コミュニケーションスキルの1つなので、学習・実践をすればどのような方でも習得可能です。

アクティブリスニングの目的は、「相手を深く理解し、信頼関係を構築すること」。それには、何よりもスタンスが重要です。

聴くスタンス

結論を言うと、アクティブリスニングで最も重要なことは、何よりも相手を尊重し、相手の考えや発言に注意を向けること、です。「聞く」ではなく「聴く」ことが大切と言い換えられます。

前者は「Hear=耳に音が入ってくる状態」、後者は「Listen=相手の発言に意識を向ける状態」と区別できます。

アクティブ“リスニング”と言っているので、言わずもがな後者をしなければなりません。

聴くスタンスがないと陥ること

「聴く=Listen」ことができなければ、相手は心を開いて話をしてくれません。つまり、資質・性格・価値観、強みや弱みを言葉として伝えてくれないということです。心を開いてくれない限り、いくらテクニックを磨いても本質や本音にたどり着くことはできないでしょう。

アクティブリスニングの講座では、例えば「座り方」「相槌」「オウム返し」「リフレーミング」「オープンクエスチョン/クローズドクエスチョン」などの技術を学びます。相手を理解するにあたって役に立つことは間違いありません。

しかしながら、「この人は、私のことを一生懸命に知ろうとしてくれている。信頼できる。自分の弱み・気持ちを率直に伝えても大丈夫そうだ。」と相手に思われない限り、「聴いているフリをしているだけだ」と悪い印象を与えます。

アクティブリスニングの目的は、「相手を深く理解し、信頼関係を構築すること」。だからこそ、何よりも“聴く”ことが大切なのです。

「聞く」と「聴く」の判断方法

2つの“きく”の違いは理解できるが、実践が難しいとの声をよくいただきます。それは、自分が「聞いている」のか「聴いている」のか判断できないからです。

実際、アクティブリスニングを学んだ時に私も同じ思いになりました。
「これ、どうやって聴けているかを判断すればいいの…?」と。

判断基準は次のように考えることをおススメします。

①聞く
相手以外に思考が向いている状態。例えば、「次は何と質問しようかな」「あと5分で終わりか。最後、どうやって話をまとめようかな」と考えている。

②聴く
相手の発言や態度の背景を想像し、そこに思考を向けている状態。例えば、「なんでこういう発言をしたんだろう?」「どういう状況がこの行動をさせたのだろう?」「今、声のトーンが下がったのはなんでだろう?」と考えている。

①は、相手のためにこのミーティングをいいものしたいと考えているため一見よいと思われます。しかしながら、この思考は、相手を理解することに焦点があたっているわけではありません。

そのため、相手が聴いてほしいと思っていることを見逃したり、あるいは、価値観の押し付けに繋がっていってしまいます。結果的に、心を開いてもらえず、信頼関係の構築には至れません。

一方②は、相手を深く理解する方向へと進んでいく姿勢です。表出した言葉や態度の根幹には、相手の性格や価値観が関係しています。見えない部分を丁寧に理解しようとすることが、相手の心を開き、信頼関係をつくることへ
繋がります。


いかがでしたか。

私は”聞いて”いるのか?それとも、”聴いて”いるのか?と自問自答してみてください。少しでもアクティブリスニングの習得に役立てば嬉しいです。
(執筆者:宮田)

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