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イリノイ州(シカゴ)

ビールの販売が面倒だったもう一つの州はイリノイ州である。

どこの州もライセンスがカウンティごとに仕切られている。

カウンティにつき1卸問屋しか認められていないのだが、シカゴは、同カウンティの中に2つ以上の卸問屋が1つのブランドを販売することが出来る。

そのため、テリトリーの把握がかなり難しい。

 シカゴのビールライセンスがカウンティごとに限定されず、同一カウンティ内で複数の卸売業者が販売できる理由には、いくつかの要因がある。

まず、シカゴはその地理的および経済的特性から、酒類の流通に関して多様なアプローチを必要としてきた。

シカゴは、アメリカ中西部の主要な商業中心地であり、多種多様な人口を抱えている。

この多様性に対応するため、酒類の販売には柔軟性が求められるようになった。

複数の卸売業者が同一地域で活動することで、消費者により幅広い選択肢と競争による価格の引き下げが提供される。

また、シカゴの歴史的背景も影響している。

禁酒法時代には密造酒や違法な酒類取引が蔓延していたため、禁酒法廃止後も厳格な規制が敷かれた。

しかし、時代が進むにつれて、規制の一部が緩和され、より自由な市場競争が促進されるようになった。

さらに、法律および規制の観点からも、複数の卸売業者が同一地域で活動できる仕組みが整えられている。

これにより、特定の業者が市場を独占することを防ぎ、健全な競争環境が維持されるようになっている。

また、異なる業者が異なるブランドや製品を取り扱うことで、消費者の多様なニーズに応えることが可能になる。

このように、シカゴでは複数のビール卸売業者が同一カウンティ内で販売できるようにすることで、市場の多様性と競争を促進し、消費者に対するサービスの質を向上させている。

シカゴの酒類業界の歴史を振り返ると、禁酒法時代(1920―1933)に根強い影響を受けた。

禁酒法廃止後も、酒類販売に関する規制は厳しく維持された。これは、アルコールの乱用を抑制し、社会秩序を保つための措置として正当化された。

また、違法な密造酒取引やギャングの活動が頻繁であったため、規制を強化することで犯罪を抑制する狙いもあった​​。

さらに、地域ごとの規制やモラトリアム(新規ライセンス発行の停止)が存在し、特定の地区では新しい酒類ライセンスの発行が制限されている。

これにより、既存のライセンスを保持する店舗が優位に立つ一方、新規参入は難しくなっている。

このようなモラトリアムは、特定の地域コミュニティが酒類販売による問題を回避しようとするために設けられている​。

また、シカゴ市内のアルコール販売に関するライセンスは、異なるタイプ(例:タバーンライセンス、パッケージドグッズライセンス、消費オンプレミスライセンスなど)に細分化されており、それぞれのライセンスに応じた厳格な規制と要件がある。

これも、複雑さを増す一因となっている​​。

結果として、シカゴの酒類ライセンスのテリトリーは、歴史的な背景と地域ごとの独自の規制が絡み合っており、非常に細かく複雑に分かれている。

これは、地域社会の要望や安全性、秩序を維持するための一環として理解される。

シカゴは、実は人口が多い都市と知られている。全米で3番目に人口が多い都市だ。

それにも関わらず私のブランドは、一度も営業マンが顔を見せたことがない都市だったのだ。

またシカゴはビールのテストマーケティングの都市として知られている。

シカゴは長いビールの歴史を持ち、ビール消費が盛んな都市である。

例えば、1988年に設立されたGoose Island Breweryは、シカゴをクラフトビールの中心地として位置づける重要な役割を果たした。

それ以前もシカゴには多くの地元醸造所が存在し、ビール文化が根付いていた。

シカゴはアメリカ中西部の主要な商業都市であり、人口が多く多様性に富んでいる。

これにより、ビールメーカーは異なる市場セグメントに対する反応をテストするのに適した場所となっている。

シカゴの多様な消費者層は、新しいビールの受け入れや反応を測定するのに理想的なサンプルとなる。

全米で3番目に人口の多い都市であり、その市場規模は非常に大きい。

ビールメーカーにとって、ここで成功することは全米市場での成功を示唆するものとされている。

また、シカゴの市場で成功したビールは、他の主要都市でも成功する可能性が高いと見なされている。

シカゴには多くのクラフトビール醸造所やビール関連のイベントがあり、ビール文化が非常に活発である。

これにより、消費者が新しいビールを試す機会が多く、新製品の市場テストに最適な環境が整っている。

以上の理由から、シカゴはビールのテストマーケティングにおいて重要な都市となっている。

テストマーケティングの都市にビール営業に行かなかった歴代担当者からの理由は、売上がなかったから出張費用をペイオフできないからというのが理由だった。

売りに行かなければ売り上げなど立つはずもない。

それに出張費威容の費用対効果を概ね新規並みの売り上げしかない地域に、既存のマーケット同様のレベルを求めるのが無理な話である。

新規は、既存の最低5倍のコストがかかると言われているからだ。

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