バイトに行ったら今日で辞めることになっていた
夏休みにマクドナルドのオープンのシフトで週の6日間を埋め尽くすことに効率性を見出していた。
出勤は朝早いが、まだ明るいうちにバイトを切り上げることができ、夕方の時間を自分の時間に充てることが出来るからだ。
同じ1日8時間労働をするにしても、バイトが終わったら夕飯時となると、一日が終わった気がするが、まだ明るいと何か得した気分になる。
夏休みの間は、正社員並みに週40時間働き詰めだった。
バイトとバンドの2本柱の生活により勉強は疎かになっていた。
それを懸念した母が、私のいない間にバイト先に電話を入れて、「今日を持ってバイトを辞めることになっています」と告げたという。
バイト先に到着して制服に着替え店に入ると
「お母さんから、今日で辞めることになっているって電話があったぞ。そうなのか?」
と副店長。
「えっ、知らないですけど」
「そうか、取り敢えず、親御さんから辞めると電話を貰っておいて、働かせるわけにはいかないから、今日はもういいから帰った方がいい。明日からのシフトもキャンセルしておくから。親御さんと話し合って、再開できるようだったらまた連絡して。」
と言われ、そのまま着替えて店を出た。それが私のマクドナルドのラストデイだった。
次のバイト
マクドナルドのバイトは、母の介入により強制的に終了となったが、再度バイトは見つけた。
今度は、清掃員の仕事だ。
清掃場所は、某GMSの閉店後の店内清掃と立体駐車場のごみ拾いだった。
店内の清掃は、日ごとに清掃区画がアナウンスされ、どのチームがどの区画を清掃していくのか、当日通達される。
大きく分けて二つの清掃で、一つが指定されたテナント内の旧ワックスを剥離、清掃後、ワックスを塗り乾燥させて終了。
もう一つのチームは、店舗全体の動線部分にオートスクラバーを教えていき、全体的に拭き掃除をする。
このバイトは時給が1000円と当時のマクドナルドと比較すると、凡そ倍の時給を貰えるのだが、閉店後数時間だけの仕事になるため、一日8時間勤務をしたらマクドナルドの方が稼げるが、マクドナルドを平日の夕方から数時間しか働かない場合で考えれば、倍のお金を稼げるので、割のいいバイトだと思った。それに対して忙しくもなかった。
ワックスを剥離するのは、ベテラン勢に任せ、その際に発生する、剥離したワックスと床の汚れの水分を、塵取りに取り込みバケツに捨てるという作業を繰り返していく。この作業が意外と好きだった。
バケツに捨てた後、業務用扇風機で床を乾燥させる。
乾燥させたら、新しいワックスを、何重か重ねて塗っていく。
塗り終わったら完了。
週末は、開店前に立体駐車場のごみ拾いをしていくのだが、これが楽過ぎてたまらない。
日本にもポイ捨てする人はいるものの、海外のそれと比較したら、全然捨てられていない方の部類に入る。
立体駐車場の1回から最上階まで歩きながら上がっていく。
その道中で落ちていたごみを全て拾い、最後に1回の事務所へ戻る。
これで1回3000円くらい貰えるのは、当時の時給レートで比較すると非常にいいバイトだったと思う。
ここの所長は、温厚で非常に優しい人なのだが、所長の部下で、現場監督的な上司がいたのだが、その上司が面倒くさい。
なんだか知らないが、私に集中してケチをつけてくる。
しまいには、「お前、もう明日から来なくていいから」と言われる。
翌日、私はのこのこと職場に現れる。
すると上司が
「なんで来たんだ? 昨日、もう来なくていいと言っただろう」
と言う。
「所長に最終決断を仰ぐためにきました。実際、来なくていいと私が言われたことは存じ上げなかったようです。それに、『引き続き来てください』と言われましたので、明日からも来ます。」
と伝えると黙り込んでしまった。
周りの従業員も、この上司の感情の起伏に参っていたようで、普段から文句を言っていた。
恐らく所長も、彼には問題があると分かっていたかもしれないが、大人しい性格の人だったので、強く言うことはできなかったのかもしれない。
それを、何も言われないから自分に権限があると勘違いをしている状態と見えた。
結局、受験の時期に差し掛かったため、1年ほどで清掃のバイトは卒業した。