お金についての心配がなかったら
「私たちに子供がいなかったら、あなたは転職していたかしら?」
ある週末の午後、妻の何気ない一言。どうなのだろう。夫婦で働いていて使う対象も自分たちだけだったら、当時の世帯年収でも特に不便は感じなかったかもしれない。我が家は小学生の子供が二人。二人目の子供が生まれるタイミングで外資系ITに転職した。自分の目指したい家族像を叶えるには転職が必要だろうとずいぶんと転職活動をした上でのこと。そんな今回はお金について思うこと。
お金と投資の話
収入を増やす方法は様々。起業するも良し。自分が勤め人だったら、副業も良し、ボーナス制度の有無やインセンティブについて理解してシステムを利用するも良し。あるいは転職するのも一つの方法だ。それぞれ一つの記事になるぐらいのネタではあるが、私がオススメしたいのは投資。
私が投資を始めるキッカケになったのは「1000ドルから本気でやるアメリカ株式投資」という本をアメリカ赴任時に読んだこと。当時の自分にとって1000ドルは大きな額だったが工面できるし、万が一無くなってしまっても大丈夫だと判断できる額だった。
投資する対象を決定するに当たってのテクニックは様々だが、本の中のアドバイスでも今でも覚えているのは「自分にとって親しみのある対象に投資する」ということ。それに従って投資した対象は20年かけて順調に成長し、今でも資産の一部を担っている。
もちろん失敗もある。当時はITバブルが弾ける直前。成長の勢いで投資したIT株はバブルが弾けると共に急速に落ち込んだ。当時、「無くなっても良い額」と割り切っていたとは言え、毎日、手持ちの額が減っていくのを見るのは非常に辛かった。
ちなみに外資に勤めると会社によっては給与の一部がストックオプションとなったりもする。これは株で給与の一部が支払われるということだが、もし会社の株価が順調に伸びていれば、それに合わせて手元の資産が増えるということも生じる。
隣の億万長者
ここ4、5年の間に読んで私の中でバイブルとなった本がある。それが「隣の億万長者」。こちらも刊行されたのは90年代だが、物事の本質を捉えるクラシックとして素晴らしい。日本での刊行は2013年。ハウツー本ではないが、これを読むとどのような人が億万長者なのかということが様々なアングルとデーターから分析されていて面白い。
究極的には資産を増やす方法はシンプルで、稼いでいる金額より低い金額で生活を営めば良いのである。野村総合研究所の調査によると日本で富裕層(純金融資産保有額が1億円以上5億円未満)と超富裕層(同5億円以上)と合わせて132.7万世帯もいるらしい。総務省の国勢調査によると日本の世帯数が5583万なので、2.3%程度。50人のクラスに1人ぐらいいるイメージかもしれない。
本の中で私にとって目から鱗だったのは、本当の金持ちは必ずしも一般的にイメージされている金持ちとは違うということだ。豪邸に住んでいて外車に乗っているとは限らず、びっくりするぐらい普通の人たち。
具体的にどうなりたいのか
お金のことを言い訳にしたくない。これは私の一つのポリシー。個々人のやりたいことやライフステージによって、いくら必要になるかは人それぞれだが、私の場合はこの発想が土台にある。なので妻が冒頭の質問をした時、確かに子供がいなければ転職をする必要性に駆られることはなかったかも、と思った。
私の場合、株投資は長期戦。何年も持ち続け、資産の一部とする。慎重に投資先を見つけて投資した後は、持っていることを半分忘れているぐらいの心持ちで生活をする。そこから先は好みの問題で、投資先にせよ資産にせよ、どのように分散するのかしないのかなどは、自身の生き方や、家計と共にするパートナーとの相談次第かもしれない。「隣の億万長者」他、色々な本に書かれているが、お金についての感情はその人の根幹に関わることもあるので、パートナーとの金銭感覚は似ている方が良い。
そんな我が家の夫婦の最近の話題は子供向けのファイナンシャル・リテラシーをどのように身につけさせるか。ジュニアNISAなども視野に入れながら、試行錯誤中である。